149、
ある意味、推理小説の中に入ったようだ。
なにが本当で、なにが嘘で、それでいて誰がなんのために、そんなことを考えている。
ライブが終わり、ダンドリオンの後輩バンドのCDを3枚貰って、今日は何もなく帰宅。
ってかなんで3枚もくれたのだろうか?
友だちにあげて欲しいというなら私には非適だ。
とりあえずお風呂に入る前にそのCDを聞く。
ロック。
昔はさほど好きではなかった。
ような気がする。
中学時代はみんなが好きなバンドやら歌手やらが好きだったから、POPs系が特に好きだった。
まぁ、今はバンドが好きというだけで、特に後悔とか懐かしさとかあまりないが。
このCDが鳴らす音楽は美晴が描く音楽ほど綺麗ではない。
だが、初々しさとでもいうのだろうか、なんとも言えないワクワク感がある。
聴き終わって、なんとなくカジくんにメールをした。
率直な感想を伝えて欲しかったのだ。
返ってきたメールは、わかった伝えておく、とそれだけだった。
また、ダンドリオンのライブが近くで行うときにバイトすることを契約して帰ってきたが、意外と直ぐにやるらしい。
今度は飲むらしく、しっかりホテルを予約しておくよと冗談なのかわからない笑みで言われた。
風呂場に入ると熱気が湯気となって私の体を若干濡らした。
並々に沸かされたお湯は無動を示し波さえも無かった。
縛った髪は後で洗うとして、体だけ洗って湯船に浸かることにした。
今日のお風呂は熱かった。
冷ますほどでは無かったが、長風呂できるような温度では無かった。
直ぐにお風呂から上がり、頭だけササッと洗い、風呂場からでて体を拭き着替え、ご飯を食べに居間に行くと、大智が怒った表情で私を睨みつけてきた。
お風呂を熱くした張本人がコイツか。
私は椅子に座ると大智が直ぐに切り出してきた。
「なぁ、なにしたんだよ」
「は?」
「は? じゃねぇよ! 美晴になにしたんだよ!」
なぜコイツが介入してくるかわからない。
「なになに? ケンカしたの?」
お母さんは相変わらずこういう話が好きだ。
思わず溜め息が出る。
めんどくさいことになった。
「別にそんなんじゃないし。お腹空いた」
「よくねぇよ! 美晴が今日来なかったんだぞ! 絶対姉ちゃんのせいだろ!」
いやぁ、私関係ないような気がするなぁ。
どうせ女の子たちと遊びに行ったに決まってる。
私じゃなくたってアイツには可愛い子が直ぐにくっついてくる。
私はなにもしてない。
「もう! 今日こそは一緒にやってくれるって言ってたのに!!」
いつも一緒にやってくれてるではないか。
お母さんはなんやかんや目の前にご飯を出してくれた。
とんかつだ。
ソースをたんまり掛けて先に1つ食べる。
「あぁ! もう! 姉ちゃんのバカ!」
なんとでも言うがいいわ我が弟。
なんだろ。
悪役みたいなセリフだ。
今日のとんかつは揚げたてなのか、とても熱かった。