144、
今日はあまり人がいなかった。
何故かはわからないけど在学同級生の半分くらいしかいない。
必修教科なのに。
講義中の先生がそれを見て嘆いていた。
理由は結局よくわからないが、授業日数が足りた生徒で旅行に行ってるのではないだろうかという結論に至った。
そんな中、お昼に食堂に行くと美晴が先に食べていた。
正直、美晴もいないのだろうと勝手に思っていた。
ささっと味噌ラーメンを頼み、美晴に合流する。
美晴のまだ半分残っているそれは学食で1番安い玉子丼単品だった。
「お、やっと来たか」
「ごめん」
だが授業が終わってまだ10分も経っていない。
そこまで待たせたつもりはないが、待って貰ったのだからしょうがない。
謝罪を述べておいて、トレーを置いた。
「お、味噌ラーメンか。美味そうだな」
「え? 美味しいと思うよ」
「ちょっとだけもらっていい?」
「う、うん。いいよ」
私は箸とレンゲを持ち、麺をレンゲに取り、レンゲを美晴に渡す。
するとそれを飲み込むように食べた。
正直私はそれを見て驚いた。
今までそんなことなかった。
私にくれることはあれど、私から貰うことなんて。
「ありがとう。うまかったよ!」
その笑みは決して演技なんかではなく、純粋この上ない、私の好きな笑顔だった。
「いえいえ、どういたしまして」
レンゲを返してもらい、腹の虫がなりやまなくない私の胃袋に麺を入れた。
美晴も食べ途中の玉子丼をまた食べ始める。
「ねぇ、やっぱり最近げっそりしてるよね。ちゃんと食べてる?」
「食べてる食べてる」
ガツガツと丼を食べながら箸を休めずにそう言った。
「ウソだ! 絶対食べてない!」
箸を置いてレンゲを美晴に向けてそう叱咤する。
聞いてくれているのかわからないが頷き、プラスチックの食器を置いた。
「ご馳走様でした」
「はや!」
私がラーメンを2口食べたと同時に半分残っていた玉子丼がなくなった。
なんだ、どうしたんだ?
やっぱり、違和感がある。
なんでこんなに、彼は食に貪欲にやったのだろう。
それなのになんで、げっそりしているのだろう。
ここは、強行突破しかない。
「そうだ! ねぇ、いつでもいいから美晴の家に行かせて? ご飯作りに行くから!」
「え゛! なんで?」
「いいから! はい、決定ー! 今日行っていい? いいでしょ? 今日暇なんだからさぁ」
嫌な顔を見せた。
だけどこれくらいしないといけないんだろう。
げっそりしている理由が知りたい。
私はレンゲをラーメンに入れてスープを飲んだ。