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しぐれぐむ  作者: kazuha
その見える眼前の景色
143/200

143、




 そこから月日が流れるのは早かった。


 白や黄色の小さな花は、五月病と共に少なくなっていき、そろそろ夏が近づく頃のムシっとした空気が外を出た瞬間に肌を撫でた。



 特になにもないわけでもないが、日記にはさほど記憶に残るような出来事は書かれていない。


 私は未だ引きずっている憂鬱な気持ちで学校に向かった。


 そろそろテストが近いためしっかりとやらなければ。




 こんな時に美晴は研究室に篭っていた。


 夏までに卒業論文を書き上げる気でいるらしい。


 私と遊んでくれもしない。



 たまにカジくんからメールが来るが適当に流している。



 内容なんて会えだの飲みにいくぞだのなのだ。



 美晴と一緒ならと言うとメールが返ってこなくなった。





 あぁ、暑くなってきた。


 カバンからペットボトルの紅茶を取り出しゴクゴクと飲む。


 テラコさんのところで買った夏仕様のファッションもなかなか様に着こなせるようになってきたが、露出度が高いし、ミニスカートも際どいしでまだぎこちない。



 電車内もそろそろクーラーが入り始め、それでも満員に近い車両はサウナ状態だった。



 そういえば、カジくんとそろそろ会わなければいけない。


 美晴が行くと言ってしまったらしく、ちと厄介だ。





 通勤の電車の中、ぐるぐると回る思考回路。


 次が学校最寄りの駅だった。



 一時的に思考を止め、止まった電車と共に降りる人々と降りる。



 イヤホンからは夏を感じさせる歌詞が聞こえた。


 緑々とした木々が南から北へと一気に抜ける風になびき、さらさらと森の音楽を鳴らした。


 太陽の照り付けは刺すようではないがジリジリと露出部分を焼いていく。


 日焼け止めを塗ってはいるが、甲斐なく焼けてしまいそうだ。


 日差しはコンクリートの地面を、そろそろ目玉焼きくらい焼けそうな温度にしていた。



 暑い。


 クーラーが恋しい。


 兎に角、今は学校に急いで向かう。

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