14、
私とセラくんは北口改札を出て、商店街を適当に歩いていた。
探せば服屋なんてそこら中にあると思ったけど意外とないので結構困っている。
そんな中、取りあえず見つけた所に入る。
セラくんは直ぐにコートを取って私に合わせる。
「時雨さんって、こういうコートの方が似合うよね。クール系っての?」
茶色のロングコートである。
クールなのかは少し疑問だが、確かにこういうのはあまり着なかったな。
「ってかまだ秋服だったの?」
「うん。……まだ平気かなって思って」
と言う今日の最高気温は18℃であった。
ヤセ我慢だが、いい加減に辛いのは確かだ。
「マフラーはしてるクセにねぇ。あ、マフラーもこういう色合いがいいんじゃん。水色」
モコモコした水色よりも褪せている淡い青のマフラー。
確かに基本的に黒とかピンクとかしつけませんでしたけど。
「そうそう。パーカーよりかこういうのも良くない?」
それはキャラクターが入ったワンピースだった。
「ってなると、タイツ、タイツ……。最近タトゥータイツ流行ってるし、こういうのどう?」
ハートが書かれているタイツ。
タトゥータイツなんて一生無縁だと思っていた。
「っで、こういうの着とけばいいかな」
そして、ベージュのカーディガンだった。
それを買って貰ってしまい、ついでに着ていくことになった。
単に自分のコーデが気になるからと言う事だ。
短期間で試着室でのお着替えをこんなにするなんて初めてだった。
服なんか適当だったし、髪も無難な感じにしかしたこと無い。
でも、なんでだろう。
可愛くなりたい。
着替え終わった私は思い切って試着室のカーテンを開けた。
目の前の暇そうに待っていたセラくんが、開いたのを感じ取って笑顔でこっちを向いた。
「あ、微妙」
私の思考は少し停止した。
「あはは、まぁそういう感じも僕は好きだよ」
なぜ、半笑いなのか。
そういえば鏡見ていなかった。
後ろを向き、そこにある巨大な鏡に写っている自分を見る。
確かに微妙だった。
何がとも判断しづらいこの感じ……。
「さ、もっと他のも探しに行こうか。1式じゃ足らないっしょ」
セラくんはもはやバカにしながら先を急ぐことにした。
そこから何着買ったのだろうか。
あまり覚えていないが、取りあえず結構買った。
お互いの両手が袋でいっぱいになり時間も時間だから帰ることにした。
私の最寄りの駅まで送ってくれたセラくん。
家まで送ると言ってくれたが、さすがに申し訳ないので断った。
その時のふてくされた顔は可愛かった。
何と言うか犬っぽい。
すごく優しいんだな。
ふと両手の袋の重さで感じる。
私が持っていた重さなんか、ごく少なく感じるほどに。