13、
ったく、美晴く……、めんどくさいなぁ。
アイツはこのくらいわからないのだろうか。
アイツら絶対に私になにかするとかさぁ。
イライラしながら携帯をいじっていたらメールが送られて来た。
どうせメルマガだろう。
メールマークが邪魔なので、取りあえず開けてみた。
「あれ?」
電車内で小さく呟いた。
メールの送り主はセラくんだったのだ。
『やっほ! 元気??』
そう始まっていた。
それだけでイライラを忘れられた。
まぁ忘れただけだったが。
『美晴から聞いたけど、今日暇なんだって?
しかも服買いたそうだったとかなんとか……
僕も今日午後暇だからなんなら服でも見に行く?』
私は即答した。
『行きます!!』
思わずハートマークを付けてしまった。
いやぁ、なんだかセラくんは癒しな気がする。
いや、癒しだ。
いつものように県で1番栄えているであろう場所で待ち合わせをする。
跳ねるような気持ちに、足は早くなり、羽根でも生えたのかと思うくらい足取りは軽い。
空は快晴。
思わず背伸びをして、さらに深呼吸してみた。
冷たい空気は肺に入って火照った体を冷やす。
一足先についてしまった。
セラくんがまだ来ていない駅のホームに1人で待っていた。
それにしても寒い。雪でも降りそうだ。
携帯を取り出し開けて見る。
「……あっ」
シャットダウンします。
そう書かれている。
いやぁ、よりにもよってこのタイミングでなくても良くないですか?
そして、今更ながら気が付いた。
駅で待ち合わせはしたが、どこで待っているとかは決めていなかった。
まずい。
この、特に特徴もない駅構内では、大体どこらへんとかいうお決まりの場所は無いのだ。
改札口はみっつある。
どこかで待ってるか?
いや、中央に1本柱がある。
そこで待つか?
そんなこんな考えてたら後ろから誰かに肩を叩かれた。
驚き、振り返り、それがセラくん本人であることに私はとてつもない安堵を感じた。
「ここにいたんだ。急にメール来なくなったから驚いたよ」
背は小さい。
それだけで可愛いのだが、服がピンクのセーターとその上に黒のジャケットを着ているのを見るとなんだか、今すぐにでも抱きつきたくなる可愛さを感じる。
っと、淫乱だ。
私はそんなんじゃない。
「ごめんなさい。電池切れちゃって」
そうなのか、と笑顔が咲き、歩き出した。
「行こうか。服だっけ?」
「う、うん」
「よし、テラコさんじゃないけど、いいの探すよう努力するよ」
私はその小さな彼の横を取りどこに向かっているかわからない場所を進む。
会うのは2回目。
だけどそんな気がしなかった。