12、
本格的に寒くなってきた。
とうとうコートまで出して、ニット帽も被り、手袋もふかふかの白いやつにした。
今日は午前で終わる。
柘植く……、じゃなくて美晴く……でもなくて美晴はむしろ今日午後からでさらにサークルだそうだ。
サークルは軽音系じゃなくむしろ小説を読むとかポエムを書くとか、そういった所に入ってるのだそうだ。
というのを、学生食堂にて聞いていた。
私はチャーハンを、美晴はしょうゆのラーメンを食べていた。
「なんで軽音じゃないの?」
「ん? 俺、外部でバンド組んでるし、必要性ねぇじゃん?」
まぁ、そうなのだが、如何せん納得できないのだ。
「そうじゃなくても音楽系でも良かったじゃん」
「いいだろ別に」
まぁ、いいのですが。
「にしても、冷えるなぁ。雪でも降るんじゃねぇか?」
私は外を見た。
快晴。
空は高く、透き通っているようにその青色が断層的に濃くなっているように、雪なんか連想できなかった。
「降らないでしょ」
「いや、降るな。……明日」
「明日なんかい」
そんなこんな話していたら、周りが騒がしいことに気が付いた。
視線を美晴から声のする方に向けた。
同学年の女子たちだ。
顔は知っている。
名前は知らない。
そんな彼女らがどうやら柘植美晴に釣られて近寄ったきたらしい。
「時雨ちゃんおはよう」
私は視線をチャーハンに移してレンゲですくった。
「美晴先輩とご飯っていいなぁ。私たちもご一緒いいですか?」
知ってる。
コイツらはこんな奴らだ。
「ん? 俺もう授業行くけど? なんなら、時雨と食ってけば」
は!
何言ってんの!
バカじゃない!
「そうなんですか。残念です。じゃぁ、時雨ちゃんと一緒に食べますね」
ラーメンのスープを一気に飲み干すと彼は立ち上がり食器を戻しに歩いていった。
そして、美晴が座っていた所に話しかけてきた、多分ボス的存在の1番ケバい化粧をしている子が座った。
そしてこういうのだ。
「生意気なのよ。美晴様と一緒にご飯だなんて」
小さく強い言い方。
「ねぇ、これで美晴様の彼女にでもなってみなさい。殺すわよ」
こんな奴らだ。
私はまだ少し残っているチャーハンの乗っているトレーを持って戻しに行く。
ったく、
――――美晴のバカ……。