116、
「え!? ダンドリオンのカジから美晴を引き離す方法!?」
思い立ったが吉日とはよく言う。
翌日まともに学校に向かい、授業を受けてからさっさとカフェまで来た。
既にいたのは皐月さんと星空君だった。
この場に来て、一番初めに口に出したのはその内容だった。
「またなんでお前がそんなこと言い出すんだ?」
多分、もはやオススメしか頼まない私への食事を作っているフライパンを持って土門さんが私に問いかける。
「あのですねぇ。なんかですねぇ」
好きだからなんて言えない……。
まさに、リア充爆発しろとでも言われても仕方がないから。
そんな私の言葉を代弁したのは皐月さんだった。
「簡単に、いじめられてるんよ、美晴」
そうそう。
それ。
「あの、だから、助けたい……、的な?」
思い立って行動したわいいが、なんとも自信がないことこの上ない。
だって、自分から提案することなんてなかったし。
「でも、時雨ちゃん。美晴とカジくんは中学からの仲なんでしょ? しかもいじめがあったのなら、美晴、自分から身を引くでしょ馬鹿じゃないから」
確かに。
一理ある。
「なにか事情でもあるんじゃない? お金とかも絡んでるし」
星空君は紅茶を飲んで土門さんを見た。
「土門はさぁ、お金と友達どっち取る?」
星空君は時折爆弾発言をする。
かなり究極な選択だと思うのだけど……。
「オレか? なら友達だな!」
お。
お金って言ったら多分私引いてた。
「僕はお金」
はい。
引きました。
ドン引きです。
「あたしもお金かなぁ」
「え!?」
予想外にお金派がいる。
「時雨ちゃんは友達派でしょ。僕はお金が友達を呼ぶって思う方だからさ」
「あ、あたしも」
「オレは友達がいればビンボーでも楽しいって感じだな」
「うんうん」
2体2。
なんとも世の中平等だ。
「まぁそうだよね普通」
星空君は楽しそうに笑いながら言葉を続ける。
「じゃぁ、お金を持ってる友達とお金をくれる友達。どっちを捨てる?」
捨てる?
そんな選択……。
「じゃぁもっといくよ。お金をくれるカジと、お金を消費する僕たち。どっちをとる?」
ーーーーいきなり核心を突かれた感じだ。
誰もそれは答えられなかった。
「それが、今の美晴のいるところだと思うよ。需要と供給が成り立った彼の居場所に、今更僕たちが介入できるわけないよ。むしろ、とりどころによっては、いじめてるの僕らだって言えなくもないんだから」
言い返すこともできなかった。
「ものごとはとりよう。愛されているが故に怒られているのか、ウザイから怒られにいっているのか、そんなの解釈の感情なんだから、誰かが助けと聞いただけじゃホントのことかわからないし、判断もできない。僕はそう思うけどな。彼はそれで納得してるんだろ? 僕らが今更なにかできるはずがないんだ。わかるだろ? 時雨ちゃん。君になら……」
私の目の前に炒飯が出てきたのはそのすぐあとだった。