114、
なんで、そんなことを語っているのかわからなかった。
なんで過去なんて長々と話しているのかなんてわからなかった。
「1つだけわからないことがあることは、今はどうでもええ。わかるか? ヨシくんのものはカジくんのもの的な感じになっとるんや。だから、あの、最低な男の手に落ちることがなくなるように、別れ話を出したんやと思う」
わかったよ。
わかったからこれ以上なにも言わないで欲しい。
もうなにが正しいのかわからない。
人が信じられない。
また騙されてるに違いない。
そうだ、そうに違いない。
でも、大好きなの!
大好きなの。
「時雨ちゃん!!?」
もう無理だ。
その場に崩れるように倒れ、枯れたはずの涙が出てきた。
枯れた声で叫ぶように声が出ていく。
皐月さんが駆け寄ってきて抱擁してくれた。
私は抱かれたまま、記憶がなくなった。
寝てしまったのだろうか。
自分でもわからない。
今は夢の中のようだ。
視界が白いモヤのようなものにかけられているがやけに明るい。
側に美晴がいて、手をつなぎながら公園のベンチに座っていた。
陽気な天気。
2人とも半袖なところを見ると、夏なのだろうか。
またなんで公園なんだろうと思ったが、周りで走っている子どもたちを見ているのも悪くはなかった。
子どもたちの中に、3人で遊んでいる子たちがいた。
わんぱくな男の子2人に、年齢的にも上なのだろうか、お姉さん的な女の子1人が遊んでいる。
なにをやっているのだろうと思って見ていたら公園の茂みとかを調べている。
お宝探しかな?
視線を美晴に移した。
夏でも長袖な彼は、少しばかり汗をかいてるよつだった。
なんだか、変な感じだ。
手を繋いでるのに遠いし、見えているのにぼやけている。
美晴ってこんな顔だったっけ?
全然覚えてないんだな。
ゆっくり、顔なんて見たこと無かったし。
あぁ、会いたい。
話がしたい。
一緒に、いるだけでいい。
一緒に……。
ーーーーもう、一緒にいることできないのかな?