104、
日記もだいぶ日数が重なり、そろそろ10ページ目が終わる。
何気なく始めてみたし、ここまでしっかり書くとは思ってもなかった。
色々なことがあった。
たった少しだけなのに、沢山の思い出がある。
思い返せば、なんかみんなに隠し事をされているようだった。
それは決まって私がなにかしたあとだから尚更気になっていた。
そんな、4月の終わりの日だった。
美晴が新曲を作ったから、読んでくれ、と言うので学校の食堂で紙1枚を見ていた。
ワードかなんかでタイプされたA4用紙を見て少なからず私はつまらないと思った。
「……またって感じ」
って言うと彼はものすごい形相で睨んできた。
あの、ものすごく怖いんですけど。
「こ、怖い……」
息を吸ったように言うと彼は手で目を隠した。
だけど、口は怒ったままで威圧感は変わらない。
「いいよ、続けて」
「う、うん……」
続けるもなにも、ただそれだけなんだけどな。
「えっとね。ダンドリオンもサレチもこんな感じの曲ばっかりじゃん? 新しくない。シナリオ調の歌詞好きだけど、ただそれだけ。聞いてて飽きてきたし」
彼は1度頷いた。
納得したのだろうか。
「あと、言葉のチョイスとか、なんかワンパターンな気がする」
「ーーーーやっぱか」
最早奪われるように紙を取られた。
「ありがと」
え?
なにか、変な感じを出して立ち上がってどっか行ってしまった。
その雰囲気に、泣きそうになった。
怒った?
そんな雰囲気。
私を置いて、どっかへ。
なんで?
確かに酷いこと言ったかもだけど、私は、もっと綺麗な美晴の歌詞が聴きたいだけなのに。
もっと、共感できるような、そんな曲になればいいと思って言ったのに。
そんなんじゃ、ファンも離れていっちゃうよ……。
私は意を決して追いかける、なんてことはできなかった。
なんか、深く傷つけたような気がして。
とりあえず、誰かに相談してみよう。