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しぐれぐむ  作者: kazuha
カジとヨシと……
101/200

101、




 4月も始まりの日になり、桜が満開で始まりました。



 美晴と一緒に登校して、それぞれガイダンスとかとかをこなし、そのまま土門さんの所で食べて、くだらない話を始めた。



 本当は今日お花見予定だったけどみんな忙しいらしい。


 だからしょうがなく、ここで少人数のお花見になったのだ。




 まぁ、花なんて窓の外はおろか、店内にもないのだが。




「にしても、取る量多くないか?」

「しょうがないじゃない! 安定的にこんな感じでやってたんだから」

「はぁ!? 遊ぶ時間、少ねぇじゃねぇか!」

「なら私に合わせてよ!」

「オレだって忙しいの!」

「私だって忙しいよ!」



「寄りが戻ったと思ったらもう喧嘩かい? 飽きないねぇ」

「ちゃうちゃう。めおと漫才や」


「違う!」

「違います!!」



 声が重なり、逆にムカついてきたこの男。



「マネしないでよ!」

「お前がマネしたんだろ!」

「違いますー! 私の方が早く言ったもんねぇー」

「は! オレが早かったし」


「いい加減うるせぇな」

「ええやない? 賑やかで」

「耳が痛くてかなわねぇよ」



 激論も、美晴にお酒が入ると一気に収まる。


 出したのは土門さんだった。



 止め方知ってるならはやくして欲しかった……。



 おつまみのハムを食べながらわたしもオレンジジュースを飲んでいた。



「お待たせー」


 チャリンチャリン。


 軽い音と共に飛んできたのはテラコさんの声だった。



「あら? セラいないの?」

「なんか、次のライブのことでなんかやってるらしいんだよ。なんも知らねぇけど」



 土門さんの言葉を聞きながら、当たり前にいつも座る場所に座る。



「私もビール」

「はいよ」

「あら早いこと」

「どうせなって思って」



 テラコさんと美晴が乾杯して、ちまっと飲んだ。



「晋三はいつくるん?」

「これるか?」

「いやぁ、辛いんじゃないかなぁ。私が誘ったらなんか娘の入なんチャラとか言ってたし」

「そんな年だったか?」

「わからない。それよりご飯系ないかしら? お腹すいたわぁ」

「ほいこれ」

「あら、わかってるじゃない」

「どうせ、炒飯だろなってな」



 飛び交う言葉を聞きながら、次々に出てくる料理をちまちま食べる。

 それにしても、そらそろこの長いカウンターが埋まりそうだ。


「なぁ、そういえば時雨。特技とかない?」



 急にふられて真後ろにいる美晴の方を向いた。


「特技? うぅんそうねぇ……」




 考えたこともない。


 なにかできるか……。


 意外と徳川家の将軍言えたりするけど、そんなの特技じゃないしなぁ……。



「おわったぁ!!」


 考えてたら、星空君が入って来た。



「もぅ、嫌だホントに! 土門! 僕もビール!」

「はいよ」

「はや!」



 土門さんなんかすごいなぁ……。


 生ビールをこんな短時間で、ってか未来予知でも出来るのって感じで早い。



「聞いてよ美晴! 10月にあそこ取れたんだけど」

「どこだよ?」

「僕がソロライブやった場所」




 その一言で私意外の全員の雰囲気が変わった。


 一瞬の沈黙もわからないほど。



「ホントかよ!」

「マジ!?」

「どんなチートよ!」

「ホンマでっか!!!」



 もはや一斉に飛ぶ声に少なからず驚いた。



「あの時、ホールの人に気に入られたみたいでね。もしかしたらって思ったら案の定取れたよ。色々大変だったけどね」



「でかしたセラ!」


 土門さんに肩を殴られる星空君。


「もう、大好き! 結婚しましょ!」


 テラコさんに攻められる星空君。



「もう、えぇやつやなぁ! いい尻!」


 皐月さんにお尻を撫でられる星空君。




 かなり嫌な顔をして回避をしている。



「晋三いないけど、めでたいことだから乾杯すんぞ乾杯!!」


「ほらみんな持て!」



「セラ死ね!」

「なんでいきなり罵声!? 美晴何杯目!?」


「はーるよ、、、恋!」

「もう、誰だよテラコさんに飲ませたの!?」


「星空君、ツッコミ煩い」

「あ、ごめん。時雨ちゃん……」



「よっしゃぁ!! かんぱーーーい!!!」




 カチャカチャとグラスがぶつかり合う。




 カウントダウン。


 それは既に始まっている。




 オレンジジュースを飲んで、冷静にそう思ってしまった。

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