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しぐれぐむ  作者: kazuha
その出会い
10/200

10、




 テラコさんが仕事に戻ってから20分が過ぎたろう頃だろう。



 私はまだひとりでお茶を飲んでいた。



 いい加減に暇だったので携帯をいじり始める。




「よー。お、可愛いじゃん」



 急に現れて私の隣に座った。



「あぁ、だりぃ。聞いてくれよ。他のバンドから曲作ってくれって言われてよぉ。まじ自分達の曲とかに自身ないのかねぇ。まじ腐ってるよ」



 私にはわからないことだったが、そんなことどうでもよかった。



「かなり待ったんですけど」




 ブスっとして柘植くんを睨んだ。



 彼は無愛想に私をちらっと見て視線を戻した。



「……ごめん」



 多少拍子抜けだった。



 まさか謝られるとは思っていなかった。



「いや、別に……」



 つい口を出てしまった。



 自分の言っていることがめちゃくちゃだった。



 謝って欲しかったのに、何故か私が申し訳ない気持ちになった。



「ホント、すまん。俺仕事になると時間忘れちまうからさ」



 頷くだけで私は少し泣きそうだった。



「私こそごめんなさい。買って貰ったのに」


「……、あぁいやぁ、いいよ別に。前のお詫びにさ」


「前?」


「あぁ。なんか怒らせちまったからさ」



 あの時は確かにガチで怒りました。



「ん? 値札ついてんぞ」



 柘植くんは私の首筋に手を回し、プチんという音が耳付近で鳴った。



「ったく、テラコはこういうの適当だよな」



 一気に心拍数が上がった。



 一瞬、首筋を触られた。



「ん? どうした? 耳赤いぞ?」



「な、なんでもない!」



 と言ってフードを被った。



「まぁ、なんでもいいけど。さぁ帰るか。仕事増えちまったし」



 彼は立ち上がり私に手を差し出した。



 私はその手を取って立ち上がる。



「そうそう、時雨は彼氏いるの?」



 いきなりそう切り出された。


 どういう意味ですかそれは??



「い、いないけど」

「今までずっと?」

「そうよ。なにか?」

「いや。気になってさ」



 柘植くんは手をポケットに入れて歩きだした。


 ほんっと意味わからない。


 なんで、そんなこと聞くのさ!



「あ、それと、俺のことくん付けしないで。そして美晴の方がありがたい。柘植って嫌いなんだ」


「え? あ? はぁ?」


「わかったな」


「うん」


 そのままスタスタ歩いていく彼を私は少し後ろから着いて行く。


 横にまで出ると顔が赤いのがバレそうで嫌だったから。










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