6話
おいおい、ボス二撃ってどうなんだ?ここのシステム大丈夫か?まぁ、この世界にシステムなんてものはないだろうが………。
「マスターのステータスがLvに反して異常過ぎるだけです。マスターは筋力値も十分高かったですが、それ以上に敏捷値、つまり剣速がものすごく速いです。それなので、マスターはとんでもない攻撃力を生み出せるんです」
「そうか……。やっぱこのステータスが原因か……そういえば、ダンジョンクリアし終わったし、ステータスも多少は上がったかな?」
俺は“ステータス”と念じて、ステータスカードを虚空から取り出し確認すると………。
〈クロキ・シラカワ〉
17歳 Lv13
体力:88
筋力:88
魔力:22
精神:22
敏捷:159
器用さ:62
運:62
SP残量〈124〉
称号:魔剣との契約者
スキル:剣技【速撃型】
職業:魔剣士
装備:魔剣“フィレストール”
0Gill
………うん。Lv13でこのステータスはやっぱりありえんだろう。能力値はLvが一つ上がるごとに1増えるようだが、敏捷値とSPは2増えるようだ。この辺も〈フルガイア・オンライン〉と同じだ。〈フルガイア・オンライン〉では、伸びやすい能力値に個人差があったが、ここでも俺は敏捷値が伸びやすいようだった。
スキルは『剣技【速撃型】』が増えていて、これも〈フルガイア・オンライン〉の中にあった。これは剣技の他にも、盾技、槍技、槌技、拳技、弓技、魔技……その他いろいろあった気がしたが、あんまり覚えていないのでここでは割愛。
そして、技系からさらに細かく派生したものが【型】で、これには、
【速撃型】…速さを重視するもの。
【重撃型】…一撃の大きさを重視するもの。
【連撃型】…技の連続性を重視するもの。
この三つがある。正確には技の系統ごとにもう少し違うものもあるらしいが、詳しくは知らない。
そしてこれらの〇技【〇〇型】のスキルを覚えて、ステータスを一定まで上げることで初めて本当の技を使うことができる。
俺は〈フルガイア・オンライン〉の時の癖でステータスカードのスキル欄に触れる。そしてその直後、俺はこの世界では取得済み技確認用のホロウィンドウが出ないことを思い出す。―――――ヴゥン―――――って出るのかよ!!
俺は出てきた剣技【速撃型】の剣技スキルを確認するとそこには………、下位剣技に中位剣技に上位剣技、それに最上位剣技が少しだけだが習得されていた。
成長の仕方は〈フルガイア・オンライン〉のシステムと全く同じようだ。助かる。助かるのだが………
「………なんだこの最強さ加減は……」
「やはり私の目に狂いはなかったですね。さすがですマスター」
いつの間にやら人の姿に戻っていたフィレスが横からステータスカードを覗き込みながらそう言ってくる。
「さすがってなんだよ、さすがって………」
俺は今の今まですっかり忘れていたチュ―チの落し物(チュ―チの大翅)を拾い上げ、ポーチにしまいつつ、そう呟いていた。
「さ、このダンジョンはここで終わりのようです。地上に戻りましょう、マスター」
「おう」
そう短く答えると俺は左耳のピアスに手をかざす。
このピアスもポーチと同じく、冒険者として登録した時にもらったもので、マーキングすることで空間の座標をピアスに保存し、いつでもそこに転移できるようになる、というすぐれものだ。しかも座標の保存はいくらでもできるとのことなので、こんな凄いものをもらってしまってよいのか聞いてみると受付嬢曰く――――『これも空間魔法士とピアスさえあれば、いくらでも作れますから』とのことだったので、遠慮せずもらっておいた。
「んじゃ、行くか。フィレス、ほれ」
俺が手を差し出すと、フィレスが「?」と首をかしげるので、俺は言葉を付け足す。
「離れてると一緒に転移できないからな、だから、手」
「え!?あ、そ、そうですね…」
??? なぜかフィレスは頬を微かに染め、おずおずと手を差し出して俺の手を握る。
「よしっ、いざギルドへ! 転移!」
俺はあらかじめ座標を保存していたギルドの入り口を思い浮かべると、転移する。体が軽くなり、すぐ視界が途絶えた………。
………視界が戻ると、つい数時間前に見たばかりのギルドの入り口が目の前にあった。
「さて、魔物からいろいろ拾ったし……、さぁ金に換えよう!!」
俺は拾ったものがいくら位になるか、少しだけ期待しつつ、ギルドの中に入っていった。
どうでしたでしょうか?
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