4話
「な、なんでダンジョン知らないんですか!?」
「あー、いや、えっと………」
ダンジョンってこの世界に普通にあるものなのか?でもフィレスは何も言ってなかったしな……
「あーっと………、そう。俺さ、ものすごいド田舎から出て来たばっかでいまいちわからないんだ。できればそのダンジョンのこと教えてほしいんだけど」
とっさに作った嘘で対応する。誤魔化せるかはわからないが、なにも理由がないのも不自然だろう。
「いくら田舎だってダンジョンのことくらい伝わってるはずじゃ……、まあいいです。じゃあ説明します」
ふう、どうにかなったようだ。ここで不思議に思われていろいろ聞かれても困るしな、助かった。田舎ありがとう!田舎万歳!
「ダンジョンとは、今から50年前に世界各地に出現し始めた巨大地下迷宮のことです。ダンジョンには、あたりにいる魔物に比べて強いものが多いですが経験値が稼ぎやすく、冒険者がよく利用します。それに魔物からとれる部位は売れるものもあり、それでお金を稼ぐ人が多いです。まあ、割合的には冒険者の5人に4人はダンジョンでの稼ぎで生活をしています」
「ふむ……」
魔物に経験値って、完璧にゲームのようだな。まあ〈フルガイア・オンライン〉に似てる世界だし、当然と言えば当然なのか?ともあれダンジョンなら結構稼げるようだな。
「他にも、ダンジョンには希少価値の高いアイテムや武器などが眠っていることがあり、それを見つけて一攫千金しようとたくらむ人もたくさんいます。それにクロキさんが持ってる魔剣だって、もとはダンジョンにあったはずです」
「そうなのか?」
「違いますよマスター。私はずっと昔、200年くらい前から、あの森にいました」
おまえ何歳だよ!とツッコミたくなったが、それを言う前に先に受付嬢に先を越されてしまった。
「え!?ダンジョンにあった魔剣じゃないんですか!?魔剣はすべてダンジョンから見つかった、と聞いていたのですが……」
「例外もある、ということです」
例外か…ってことはフィレスって結構すごい魔剣なのか?まあ使ってみれば自然とわかるだろう。
しかし200年前からずっとか、だからフィレスはダンジョンのこと知らなかったのか…?
「まあ、話を戻しますが、要するにダンジョンでの稼ぎで生活している人も多いので、できるのならダンジョンの稼ぎでの生活をおすすめしますってことです。稼ごうと思えば一日でいくらでも稼げますからね」
「そうなのか…」
それなら、ダンジョンに行けばいいのだろう。ステータスには自信があるし、フィレスもいるしな。
「ありがとう。教えてくれて、助かったよ」
「いえ、これくらいはお安いご用です」
俺は受付嬢に礼を言って、立ち去ろうとすると受付嬢が俺を呼び止めてきた。
「あ、ちょっと待ってください。一つ渡すのを忘れてました」
「……?」
「ここがダンジョンか…なんか似てるな」
「似てる?マスターの前いた世界にもあったのですか?」
「あ、いやなんでもない」
もちろん似てると言ったのは〈フルガイア・オンライン〉だ。でもあっちはダンジョンじゃなくて、バトルフィールド(プレイヤー同士が戦闘をするところ)だったが。
ちなみに目の前には高さ3m位の門がある、その門には『ともし火の迷宮』と書いてあり、その中心を怪しげな光が渦巻いている。
どうでもいいが『ともし火』ってすぐ消えちゃいそうだな……
「さて、いくか」
俺は門の中心を渦まく光に手を伸ばし触れると、体が軽くなるような気がして視界が消えた。
【ともし火の迷宮】第一層
視界が戻ってくると、そこには少し広めの洞窟のような風景が広がっていた。
しかし不思議だ、なぜ光源がないのにほのかに明るいのだろう?『ともし火の迷宮』だからか?
そんなこと考えていると、少し離れたところに動くものが見えた。目を凝らすと、ゼリー状の何かが見て取れた。その時頭に(スライム・Lv1)という単語が浮かんできた。これが登録した時に追加されたサポート機能とかいうのだろう。
「よし、行くか。フィレス、剣になってくれ」
「はい、マスター」
フィレスが力を込めるように目をつぶると、全身が銀色の光に包まれ始めた。それが一ヶ所に収縮すると、そこには………
銀色に輝く美しい剣があった。
すいません。
前回のあとがきに戦闘シーンを書くとか何とか言ったのですが、
そこまでいけませんでした。
次回こそ戦闘シーン書きますんで、
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