11話
例の最高の寝心地のベットから目覚めると、すっかり疲れも取れたようで気分爽快だった。
昨日の夜と同じサンドイッチを朝食にもらい、それを食べ終えたころ、
「ギルドマスターがお呼びです」
と、ギルドの人から言われたので、今はフィレスとともにギルドマスターの部屋へと案内されている。
「着きました。ここです」
そう言って一つの扉の前で立ち止まる。
「では、私はこれで」
「おう。ありがとう」
そう短くお礼を言うと、ギルドの人は頭を下げてその場を去っていった。
「さーてと、いきますかー」
俺はそう言って目の前の扉を確認し、「失礼しまーす」と、かつての高校の職員室に入っていったときのノリでギルドマスターの部屋へと入っていった。
部屋の中には柔らかそうなソファー(ここではソファーと呼ぶかはわからんが、俺の中ではソファーで)に腰かけた男がいた。
男は健康的に日焼けした肌に眼鏡をかけた『伊達男』といった感じの男で、たぶん歳は40代くらい。その男はこっちを見ると、こう言ってきた。
「お、やっと来たか。ほら、立ってないで座ってくれ」
そう言って男はソファーを指さす。俺はそこまで歩いていき、男と向い側のソファーに座る。その隣にはフィレスが座った。
「まずは自己紹介からかな?私は、このラバナスタのギルドでギルドマスターをしている、グイル・ガーラナだ。よろしく」
「俺は冒険者のクロキ・シラカワ。こっちは、えーっと……メイドのフィレスだ。よろしく」
その言葉と一緒にフィレスが隣で頭を下げる。
ここでフィレスのことを魔剣だとか言うと、前のアカリナのギルドの受付嬢みたいに驚かれたりしそうだから、フィレスが魔剣だということは伏せておく。だいたい、俺はそんな話をしに来たつもりはないし、あっちもそうだろう。
「そうしたら次はお礼だな。我がギルドの貴重な人材を救ってくれてありがとう。彼らは、半年でパーティー内の平均Lvを40近くまで上げた、将来有望な冒険者たちなんだ。本当に助かった」
「いや、こっちは好きでやったことだし、そんなお礼を言われることはしてない」
というか、半年でLvを40まで上げれば、将来有望な冒険者って言われるほどなのか………そうなると一週間で27まで上げた俺はどうなんだ? ゲームはこれくらいのペースが普通だったんだが………
やっぱり、この世界で俺はチートなんだな。
「ところで、どうしてあんな森にLv62の魔物が居たんだ? しかもボスだったが」
「それがこっちも良く分からないんだ。襲われた本人たちは、突然目の前に魔方陣が展開されて、そこからボスが出てきた。って言っていたから、召喚系の魔法かと思ったんだけど、ボスを召喚する魔法なんてこれまで聞いたことがないんだよ」
「そうなのか………」
結局あのボスのことはわからずじまいか。
今後はこんなことは起きなければいいのだが………
「それでだね、少し話は戻るのだが、彼らを助けてくれたお礼として君に報酬金を出したいと思うんだ。具体的な金額はこれくらい」
そう言ってグイルはこちらに小切手のようなものを差し出してくる。その内容を確認すると………
「ご、五十万!?」
そこには『500000Gill』と書いてあった。
1Gillは日本円に直すと大体は百円位だから………五千万円か!?
「本当はもう少し上げても良いかもしれないんだが、キリの良い感じだとそこらへんかと思ってね」
「いや、さすがにこんなには………」
「いやいや、これ位は貰ってくれ。そうじゃないと私が満足できないんだよ」
「そ、それなら遠慮なく………」
そう言って、俺は受け取った小切手を腰のポーチにしまう。
「それと、あのボスが落としたっていうアイテムはカウンターに預けてあるから、その小切手を交換するときに一緒に貰ってくれ。話は付けてあるから」
「わかった」
しかし、王都に来て早々にこんな臨時収入が入ってくるとは………
あの転送してくれたシュドミナのミスに感謝した方がいいかもしれない。
「それでは、これからも国のため、ギルドのために頑張ってくれたまえ」
「ああ、まかせとけ」
グイルのその言葉に俺は、にやりと笑みを浮かべながらそう返し、部屋を出て行った。
「この小切手を金に換えてほしい。それと、ボスが落としたっていうアイテムも貰いたいんだけど」
俺は腰のポーチから取り出した小切手を、カウンターにいた受付嬢に差し出しながらそう言った。
「あ、この小切手は………」
「? どうかしたのか?」
「もしかして、噂になってるあのクロキさんですか?」
「そうだけど……噂って何?」
「それはもちろん、昨日、格上のボス相手に一人で突っ込んでいって、そのまま一人で倒してしまった全身真っ黒な青年がいる………そういう噂です」
「あー、それか。もう噂になってるか、早いな……… でも、なんでそれだけで俺の名前が分ったんだ?」
俺はこっちの世界に来てあんまり時間もたっていないし、俺の名前を知っている奴なんてそうそういないはずなんだが………
疑問に思ったことを受付嬢に聞いてみると、意外なことにその答えは真横から返ってきた。
「それなら、マスターが寝ていた時に、私が少し話しました」
「お前かよ!」
なんでお前が喋るんだ………変な風に目立ったらどうする。
「噂に聞いたとおり全身真っ黒で、カッコイイですね~」
「いやいや、そんなお世辞要らないから」
「いや、お世辞じゃないですよ?」
何を言ってるんだろうかここのギルドの受付嬢は。真顔で冗談なんて言うものじゃない。俺がカッコイイわけなんてないだろう。
「とにかく、金とアイテムを頼む」
「あ、はいー。では、カードをお願いします」
俺はカードを取り出し、受付嬢に渡す。アカリナのギルドと同じように、機械にカードを押しつけた後、こちらに返してくる。
「これで振り込まれました。あと、アイテムですが、ここではとても出せない大きさだったので、こちらに入れました」
そう言って10cm四方ほどの箱をこちらに渡してくる。
「これは?」
「冒険者が持っているポーチの下位版………と言った所でしょうか、ポーチ程の容量は入りませんが、重量を消したりできる箱です」
「へー………」
俺はその箱を受け取ると、一応ポーチにしまう。
「じゃ、ありがとう」
「はい。これからも頑張ってくださいねー」
その言葉を聞いた後、俺はギルドをいったん出るべく歩き出そうとしたら………
「あ―――――――――――――っ!!!」
なぜか、黒髪巨乳の美少女が俺のことを見てこちらを指さし、目を見開いて固まっていた。
え? なぜに?
今日、見てみたらお気に入り登録が四桁超えててびっくりしました。
ありがとうございます!
これからもどうかよろしくお願いします!
どうだったでしょうか?
もし良かったら感想おねがいします。