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黒き英雄  作者: 玄野 洸
12/17

10話

 俺は目を開く。

 そこには見しらぬ天井があった。


 俺が今横たわっているらしいベットは、えらく寝心地が良い。ものすごく寝心地が良くて、このまま二度寝してしまいたいほどだ。ほどなんだが…………


「ここはどこだ?」


 そう、俺はこの場所を知らない。

 俺はゆっくりと体を起こし、そこらへんを見回すが、そこには俺が今の今まで寝ていたのと同じベットがたくさんあるだけで、他にはほとんどない。


(あの戦っていた森から瞬間移動でもしたわけじゃあるまいし・・・・・・・・)


 そんなことを考えていた時、不意に窓の外の景色が目に入った。

 そこには、森で見た蒼く澄んだ雲ひとつない空ではなく、さまざまの星たちが輝く闇色の空に変わっていた。


 ガチャッ


 「あ、マスターやっと起きましたか?」


 ドアの開く音とともに、今はもう見慣れたメイド服に身を包んだフィレスが入ってきた。


「おう。それで早速質問なんだけどさ、………ここってどこだ?」


「ここは、王都にあるギルドの医務室です」


「医務室? 俺ってどっかの森で、あのでっかいトカゲ男と戦っていたんじゃなかったっけか? そういえば、あの四人は無事か?」


「あまり覚えていないんですね………。

 マスターは森……タンタラの森と呼ばれているらしいですが、そこでそのでっかいトカゲ男と戦って、勝って、そのあとすぐ気絶しちゃったんですよ」


「で? そのあとはどうなんだ?」


「そのあとは、マスターが助けた四人が、あの転移できるピアスを使ってこのギルドまで転移してきて、医務室に運んだんです」


「と、言うことはあの四人はちゃんと無事なんだな? そりゃよかった………」


 思わず口から安堵のため息が出てくる。つか、森から瞬間移動(もとい転移)して来たって俺の推測は当たっていたらしい。意外すぎる。


「その四人は、今日はもう夜遅いので帰ったのですが、なぜかその中の一人が中々帰ろうとしないで、ここに残ろうと粘っていて大変でしたよ」


「ふーん」


 全員無事に帰れたなら安心だな。いやー本当に良かった。


「マスターその残ろうとした理由、何か知らないんですか?」


「ん? いや、知らねぇよ?」


 おい、フィレス。なぜこちらをジト目で睨んでるんだ。


 …………そういえば、


「なあ、フィレス。もしかしてさ、俺ってもう起きたし、ここから出て行った方がいい感じか?」


 医務室のベット貸してくれたからと言って、そのまま止めてくれるかどうかはわからない。もし出て行かなくちゃならないのなら、出ていくで早く宿を探さなくてはいけなくなる。野宿は嫌だし。


「あ、そのことなら、さっきここのギルドマスターに聞いてきました。それで、『ベットもたくさん余ってるし、別に泊まっていってくれて構わない』って言ってましたから、大丈夫だと思います」


「そっか。それなら良かった」


 どうやら今夜は追い出されないらしい。まあ、俺は一応けが人だから大丈夫かもしれないと思ったが、フィレスのことも了承してくれたし、本当に良かった。


 ………いや、改めて考えると、この状況でフィレスだけ追い出すって、人には普通は無理じゃないか? できるのなら、それは人以外のものに違いない。



 そんな風に考え事していたら、フィレスが、


「あ、マスターお腹空いてないですか? 何か食べるもの貰ってきましょうか?」


 と、言ってくれて、そこで初めて俺は自分の胃が空腹を訴えていたことに気がついた。


「おう、頼む」


 そう短く俺が答えると、フィレスは小走りで医務室を出て行き、食べ物をもらいに行った。









「お! これ美味いな!」


 俺はフィレスが先ほど持ってきてくれたサンドイッチ(これは元の世界と料理名も同じらしい)を頬張りながら、感想を述べた。


 具は、オーソドックスな感じで、トマトにレタス、それにハムが挟んである(これらのここの世界での名前は知らないが)。

 これらを麦で作った感じのパンで挟んだもので、みずみずしくて、相当美味い。トマトや、レタスとかは微妙に見た目は違っているが、味はそのままだ。


「そ、そうですか?」


「ああ、俺が食ったことあるサンドイッチの中で最高に美味いな!」


「ほ、本当ですか!?」


 なぜか頬を染めながら詰め寄ってくるフィレス。嘘は言っていない。

 まぁ、元の世界でもサンドウィッチなんで食ったのコンビニのくらいだけどな。


「そ、それ実は私が作ったんですよ」


「そうなのか? お前料理なんて出来たんだな」


「む、難しいのは無理ですけど、それくらいなら作れます」


 フィレスに料理が出来たなんて初めて知った。200年も台座に刺さってたし、てっきり出来ないかと思ってた。


「そうかー。そんなら難しい料理も作れるようになってくれよ。フィレスが作った他の手料理も食べてみたいしな」


「はいっ!」


 そう言って、満面の笑みで返事をするフィレス。これは今後の食事が楽しみになってきたな。










 その後は眠ることになった。俺はさっきまで寝ていたし、すぐ寝付けないかと思ったが、思ったより体に疲労がたまっていたらしく、すぐ俺を睡魔が襲ってきた。


「じゃあフィレス、おやすみ」


「はい、おやすみなさい。マスター」


 フィレスが隣のベットに寝ているのだが、そんなことを意識する間もなく、俺は深い眠りに落ちて行った…………




 ……………しかしこのベット、持ち帰りとか買い取りとか出来ないのだろうか? この寝心地なら正直どこでも寝れる気がする。気のせいか?



 


どうでしたでしょうか?

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