表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

温かい手を掴んで 第7話

──── 1ヵ月後 ────

体が水をかぶる。

「うわっ」

「あぁっごめん玲奈ちゃんっ水かかっちゃった!!」

水道にホ─スをつなごうと織ちゃんが頑張っていたところに私が通りかかって運悪く水をかぶってしまった。

「だ、大丈夫…多分…」

「ほんとごめん!!」

「いいよ、その代わり」

蛇口をひねって織ちゃんに向ける。

「え?」

「織ちゃんも濡れて 」

「えぇぇぇぇえ!!」

激しくホ─スが揺れて水が噴き出した。

……私に。何故。

織ちゃんが私を見て大笑いしている。

「な、なんで!?」

「へ…へたくそ玲奈ちゃん…っ」

「もーー!!」

突然織ちゃんが顔色を変えて慌てたように私の前に立った。

「どうしたの?織ちゃん」

「緊急事態発生!!す、透けております!!」

最後のあたりをがふんげふんと濁しながら小さい声で言う。

「えぇぇぇぇえ!!」

あまりの衝撃につい叫ぶ。

「どっどっどうしよう」

「あれ─?玲奈─?何しとる……ってうわ!!びしょびしょやん!!」

「え、う…あ、あんまり見ないでほしいんだけど…」

胸を隠すように織ちゃんの後ろに隠れる。体が冷えて身震いした。

「大変や!!玲奈が風邪ひいてまう!!それはあかん!!」

そう言うと自分のカッターを脱いで私にかけた。

「というわけでこれ着とき」

「え…」

「すぐ着替えぇよ」

「あ、ありがと…」

「あ、これも使い」

肩に持っていたタオルをかけられる。

「髪拭く時に使うて」

「…どうもすみません」

「よかったやん玲奈!!俺まだ使うてへんで!!まだ汚れてへんから思う存分使うたらええ!!」

「別に使ってても汚いなんて思わないわよ」

「アハハ、言うと思った」

「何よ」

「いーえーそれではね」

トイレに移動して着替える。

カッターを着ると晃の香りが体中からした。

う…っ地味に恥ずかしいな…。

外に出ると織ちゃんに笑われた。

「ブカブカだね─!!」

「うるさいわねっもともと誰の所為よ!!」

「私、私。ごめんって」

まだクスクスと笑っている織ちゃんに牙を剥く。

「もうっ」

袖を折りながら教室に入ると全員が私の方を見た。

「え…な、何…?」

ブバッと男子が鼻血を出す。

生まれて初めて人が鼻血を噴くのを目にした。

「あー玲奈にはちょっと大きすぎたんやな」

「晃」

「まぁカワエエから、ええか」

「なっ…」

顔が熱くなったのがわかる。

この男!!またさらりと言ったわね!!

「アハハ、赤くなった」

「うるさいっ」

ポンポンと晃の肩を男子が叩いた。

「?なん…」

「晃てめぇ!!いつの間にそんなおいしいことを!!でも可愛いからある意味グッジョブ!!」 

「グエエエ苦しいねん、早よ離して~」

「絶対離さん!!」

「嫌や~!!」

思わず笑う。

その日の帰り。

「あっ晃っ」

「ん?おぉ玲奈、どしたん?」

「こっこれっ明日洗って返すから っ」

「あぁ別にええのに。よろしゅうお願いします」

「うっうん 」

なんだか妙に晃の顔を見るのが恥ずかしい。

「じゃあ」

ポンと頭を叩かれた。

「また明日」

心臓が鼓動を打ち出す。ギュウと苦しくなった。

「また…明日…」

晃が笑って立ち去った後、

喘ぐように息をした。

後数話で終わります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ