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温かい手を掴んで 第6話

その帰り道。

ふと足を止めてみる。足音も止まった。

「………」

こっ怖い !!ストーカー!? 

強く鞄の紐を握り込む。

「………っ」

後ろを振り返ってみる。

…誰もいない…。

再び歩き出す。足音も歩き始めた。

やだ!!怖い!!

角を曲がる。

お願い、早く、家に帰りたい…っ!!

あの角に向かって走り出すと足音が急に早くなった。馬鹿!!どうせストーカーするなら足音消してしなさいよね!!…それも嫌かも…。

心臓が早鐘を打ち出す。

この人より早く道に出なきゃ…!!そうじゃなきゃ何されるか…!!

すぅっと背中が冷えた。

早く道に出なきゃ、私、何されるの?

体が震えだす。

あと少し…っ!!

足音が近くなった。

手が伸びてきている気がする。

やだ…っ誰か…っ!!

角を曲がろうとする。

もうそこまで手がきている気がして息が浅くなる。

「嫌…っ」

ドンッと誰かにぶつかった。

後ろに倒れそうになる。

「!!」

ガシッと手を掴まれた。心臓が冷えた。

「やだ…っ!!離して…っ誰かっ誰か っ!!」

「ちょっちょいっ玲奈っ俺や俺っ晃や晃っ」

ぶつかった人物が私の腕を掴んで言った。

「や…っ」

「玲奈っ俺や言うとるやないかっ!!」

ハッと我に返る。

「あ、晃 ?」

「そうやっ晃やっ」

安心して地面にへたり込む。

「わっ何っ?」

晃が私の腕を離そうとした。

「!!まっ待ってっ」

手を握って後ろを振り返る。

誰もいなかった。

よかった…晃がいてくれて…いなかったらきっと後ろを振り返れなかった 。

「で?何しとるんや?」

晃が震えている私の手を見て言った。

「…ううん。なんでもない」

「なんでもなくないやろ!!見てみこんなに震えてるやん」

握ったままの手を持ち上げて晃が言う。

「一人で少し怖かったのよ、私結構怖がりだから」

「そんな…!!」

「ありがとう、晃。じゃあね」

手を振って別れようとする。だけど言葉とは裏腹に手は晃の手を離さない。

「あ あれ?ごめん、今離す…」

グイッと手を引っ張る。

「あ、あれ?」

早くしないと晃が疑っちゃう。聞かれたら答えられない。あんまり人に知られたくない。

晃が溜め息をつきながら笑った。

「えぇよ、もう暗いし家まで送るわ」

「えっでもっ 」

「どうやら俺とは手ぇ離しとうないみたいやし?」

「ちっ違うわよっ!!」

「はいはいわかってますて~」

「~~~~っ馬鹿晃っ」

「はいはい」

温かい手を握るとすごく安心した。きっとこの手に守られる人はずっとこんな気持ちでいられるんだろうな。そう思ったら少し胸が苦しくなった。

そうしていたら家についた。

「あれ、なんか届いて 」

カタンと音をたてながら封筒を取る。心臓が嫌に早鐘を打った。

また、あの手紙──。

ギュウと晃の手を握る。そんな私を見て晃は手紙をヒョイと取り上げた。

「あ…っ」

「なんやこれ?差出人書いてへんやんけ」

「それはっ」

「うわぁ、こない気持ち悪いもん捨ててまえ!!うおっしかも玲奈宛てやんっ今までもこんなんきとったんちゃうやろな!!」

「えぇっと…それ…は…」

ギクッとしてしどろもどろに答える。

「きとったん!?いやぁ!!怖かったやろ!!」

「だ、大丈夫!!変なものじゃないよ」

「ほんまに~?」

「ほんとほんと」

「そんならええけど…」

「ありがとね、また明日」

「せやな、おやすみ」

バタンと中に入った。


ふぅと晃は溜め息をついた。

「女の子は難しいんやなぁ」

ジロッと暗い道を睨む。

「………」

ジャリッと音を立てて帰っていった。

よろしくお願いします!

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