温かい手を掴んで 第5話
── 数日後 ──
「モデル?」
帰り道、駅前で声をかけられた。
「そう!!やってみない?」
「え…」
「ダーメーでーすーやめてください、行こう玲奈ちゃん」
「え、あ、う、うん」
織ちゃん(ちょっと前に初めに話しかけてくれた子)が手を引っ張って歩き出した。
「あっちょっと待ってよ」
「しつっこい!!どっか行って!!」
不満そうに向こうへ消えていく。
「………」
「いい?玲奈ちゃん、ああいうのには気をつけてよ?玲奈ちゃんみたいに可愛い子を売ってやろうって思ってる人だっているんだから、もしやる気なら絶対親と一緒に話をしに行くんだよ」
初めてああいうのされたなぁ。ビックリした…。
「玲奈ちゃん?聞いてる?」
「え、あ、うん。大丈夫、するつもりないから」
「それならいいけど…」
織ちゃんが溜め息を吐く。
「あ、この店行ったことないや。行ってもいい?」
「いいよ~」
そうしてこの日は乗り切った。
だけど、その日から無言電話とか家に毎日誰かが手紙を送ってくるようになった。
毎晩携帯にかかってくる電話に私は怯えるようになった。
プルルルルと電話の音がした。
体を竦ませる。
「はいもしもし~」
あ、なんだ晃のか…。ホッと溜め息をつく。
晃が電話を切る。少し考え込んでから私を見て首を傾げた。
「なんかあったん?」
「え?」
「携帯にビクッてなってたやろ」
「な、なってないわよ」
「いいやなっとったね」
「なんでよ」
「なんとなくや」
「何それ」
プハッと吹き出す。
「……まぁ」
ポンと頭を叩かれた。
「なんかあったら話聞くわ」
フッと笑う。
「お節介」
「うっさいねん」
「…大丈夫よ。何もないデス」
「それはよかった」
そう言って晃は向こうに行ってしまった。
短い…。