温かい手を掴んで 第2話
「転校生が来ています」
思わずそれに反応する。
いや、まさかね…。ありえないありえない。朝会った人が同じクラスでした~なんていう奇跡は。
「大阪からの転校生です、どうぞ」
先生が呼ぶとあの彼が扉を開けて入ってきた。大きく口をOの形に開ける。
あ、あった…!!奇跡発見!!
「藤堂 晃君です」
口を開けて驚いていると晃は私に気付いて顔を明るくした。
「お─!!玲奈やないか!!さっきぶりやなぁ!!」
「え、あ、う…」
勢いにつられてガクガクと頷く。ニコニコと嬉しそうに晃が笑っているのを見てちょっとうろたえた。
う、犬みたい。可愛い。
「なんだあなた達知り合い?それならちょうどいいわね、あなた、慣れるまでお世話係ね」
「えぇ!?」
「よろしゅう♥」
「え…」
突然の急展開に頭がついていかない。
あれ、なんかお世話係りを今言い渡された?あぁ、そっか、お世話係りね。
…って、え──っ!!
「な~なんで怒っとるんや?な~な~玲奈ぁ」
ざわざわと転校生に興味津々の騒がしいクラスの中、晃が周りの目線を気にせずに言った。
「別にっ怒ってなんかないわ!!」
「怒っとるやん」
シュルシュルと指で私の髪をいじりながら晃は聞いてきた。髪の間を晃の指が滑る。
せっかく整えてきた髪をいじられて怒らない人のほうが少ないのではないだろうか。
「……っ人の髪いじるのやめてよ」
「おうっこれで怒っとったんかい。別にええやないか減るもんでもないやろぉ」
「減るもんでもって…あ─の─ねぇ!!こう見えても髪だけは手入れしてるのよ!!」
寝癖がついてたら命がけで死ぬほど櫛を通すぐらい!!
「…こう見えてって?」
ガタンと机に晃が座った。
「だから…」
髪を整えながら晃の方を向いて───思っていたよりも近い距離にドキッとした。
う、おぉう。なんか、ちょっと照れるじゃない。
「こ、こう見えてよ」
「なんやそれぇっ!?」
プハッと晃が笑った。
…つくづく思うけど笑顔が明るい人だなぁ。目尻が下がって優しい感じの雰囲気になる。
「俺は玲奈の髪綺麗やと思うけどなぁ?」
首を傾げながら晃が私の髪を一房手にとってからさらりと流す。頬に軽く爪が掠った。
顔が一気に熱くなる。
…っ、ぎゃー!!て、ててて天然?あんな屈託なく笑いながらよくもあんな台詞が言えるものね!!
「あ、ありがと」
「おぉっ!!ところでなぁ玲奈。このガッコは購買あるんか?」
「あるわよ?それがどうかし…」
「よっしゃあ俺行きたい!!」
「あっ、こらっ、ちょっとどこ行くの!!」
晃は机から降りるやいなや脇目も振らず走っていってしまった。
あぁもう!!子供じゃないんだから!!
その後私が晃に追いついたとき、晃は数人の男子に囲まれて談笑していた。
中途半端で申し訳ありません。
これから書くのは少し長くなってしまうので…。
次回、頑張ります!!