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温かい手を掴んで 第10話

──── 後日 ────

あれから警察で色々と話を聞かれてしばらくしてから家に帰された。

両親は私を助けてくれた晃に涙を流さんばかりに感謝していた。

別れ際、晃はいつもの笑顔で手を振った。

今日私はあれから初めて学校に出る。

精神的なものなのか、あの晩から私は熱を出して寝込んでいた。

「行ってきます」

ドアを開けて外に出る。門を出ると晃が立っていた。

「おはようさん」

「…おはよう…」

ぎこちなく笑う。なんとなく顔を合わせづらい。

「もう体の方はええの?」

「うん。もう平気」

門を閉めて歩き出す。

晃は相変わらず脳天気で馬鹿で…。それなのにあの時の晃はとてもしっかりしていた。あの手が酷く頼もしいものに感じられた。私は晃のその手に縋った。情けなく縋った私の手を晃はゆっくりと包んだ。安心した。

あの時の晃を思うと、とても顔を真っ直ぐ見ることなんてできない。

頑張って目を合わせようとすると、顔が熱くなるのだ。

ふと思った。あの時だけじゃなかったかも。もっと前から───。

後ろから人の歩く音が聞こえた。

思わず体を竦ませる。

隣を女の子が歩いていった。安心して体の力を抜いた。

それを見て晃が少しだけ口元を引き締めた。

「怖いん?」

「え?」

「後ろからの足音気にしとったから」 

「…ちょっとだけね…」

無意識に晃の服を掴む。こうすると守られているような気分になるから不思議だ。

「………」

晃がその手を掴む。その手は心地いい温かな手だった。

「俺がおっても?」

「え?」

思わず顔を上げる。

「玲奈」

「今なんて?」

「俺が守るって言ったら、玲奈は安心できる?」

「…でき、る…」

「それなら傍におってもええ?」

「でも…それじゃあ晃を利用してるようなものなんじゃ…」

「ええよ。玲奈が安心して俺の隣で笑えるんならそれでええ」

強い目だった。ドクリと鼓動が跳ねる。

その瞳に思わず引き寄せられる。

「なんで…?」

それを聞いて晃は照れたように笑った。晃が手を少し強く握る。

「それはなかなか言いにくいことやね。ただ───」

「……?」

見上げていると晃が繋いでいる手を持ち上げた。

「この手をずっと繋いでいてくれるんなら頑張るわ」

「!!」

それに答えるように握り返す。

「…馬鹿…」

「ええねん。俺、馬鹿やも─ん」

いつかこの手が私から離れることがあるだろうか。温かい、この手が。その時私はどうするだろう。泣き叫ぶだろうか。涙で顔をグシャグシャにして。それとも───。

どうなるかなんてわからない。

それでも、この手だけは。

空を仰いで息を吸った。

太陽が煌めく。この手と同じ温かい光で私を照らした。


はじめまして。

関西あたりの方言を使ってみたいなあと思い、使ってみたはいいものの、非常に難しい。なんとかなるだろうと思っていたら、見事になめるな!!という感じでした。

恐るべし、関西弁。

なので間違っているところが多々あると思われます。どうかご了承ください。


読んでくださり、ありがとうございましたm(_ _)m

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