温かい手を掴んで 第1話
いつからなのか、あなたの温かい笑顔、言葉に私は惹かれていた。
こんな気持ちを初めて知った。
まるであなたは太陽──。
朝。学校に遅れそうな私はとにかく急いでいた。商店街の中を全速力で走る。
まだ朝は早いのに開店準備の人と会社や学校へ向かう人々で商店街は結構混雑している。周りにぶつかりそうになっているが気にしてられない。
前で同い年ぐらいの男の子がおばさんと何か話していた。なんか道を尋ねているらしい。
「あ~ええわ!!おおきになおばちゃん!!」
ダッとこちらに走ってくる。
まぁいいや。気にしてられない!!
その男の子との通り過ぎ際、男の子の隣にいた人が男の子にぶつかった。
「えっ!!」
「えっ?」
男の子の体が傾いて私にぶつかった。地面に倒れこむ。
「いたたたた…」
「あたた…こらぁ!!ぶつかっといてゴメンナサイの一言もないんかい!!」
ぶつかった人はそのまま走り去ろうとしていたらしく、渋々というように頭を下げると走っていった。
「なんやあれ!!どないなってんねやこの街は!!」
かっ、関西弁!?さらりと風に揺れる黒い髪と同じくらい真っ黒な綺麗で人懐っこそうな瞳。
男の子は私に気付くとすまなさそうに笑って手を差し出してきた。その手を取って立たせてもらう。
「ごめんなぁ怪我ない?」
「は、はい…大丈夫です」
「そんなら、えかった」
安堵の溜め息をついてまた笑う。なんか、人を安心させる笑顔だなぁ…。
「あ、せやぶつかっといてなんなんやけど…大河学院ってどこか知っとるか?」
「た、大河学院なら私が通ってるところですけど…?」
「ホンマか!?ほんなら話は早いなぁ!!」
一気に男の子の表情が明るくなる。
「えっ?」
「えっ?って言っとる暇ないで~?あんたにそこまで案内してもらうんやから!!」
「ちょっ、ちょっと!!」
「俺の名前は晃。藤堂 晃や!!あんたは?」
「し…城宮 玲奈…」
「ふ─ん、えぇ名前やなぁ」
「そ、そう?ありがとう」
なんだか照れてしまう。お世辞なのだとわかっていても、やっぱりこういう風に褒められるのは照れくさい。
「おぉ!!そんなんより早よ行かんと遅刻してしまうで」
「うそ!!やだもう予鈴鳴っちゃってる!!」
「そしたら急ごか!!玲奈!!」
「うん!!」
私は走りながら彼に聞いてみた。一体うちの学校に何をしに来るのかを。
「なんや、聞いてへんのか?俺、今日から2年に転校するんやで!!」
「え?私も2年…」
晃は2回目を瞬かせるとプハッと笑った。
「ほんならお友達第1号やん!!なかなか溶け込めれてないようやったら助けてや!!」
「アハハ!!あなたが溶け込めないなんてことはないわ!!だってこんなに喋りやすいのに!!」
「そんなことないで!!」
そんな会話をしたあと息切れで苦しくなった私はほぼ無言のまま学校まで走り、学校に着くと晃はお礼を言って職員室なほうに走っていった。
私は本鈴が鳴る直前に教室に駆け込んでギリギリ遅刻にならなかった。
あまり上手に書けませんが、どうかよろしくお願いします。