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悪意の矛先  作者: 山田中 太郎
プロローグ
1/4

先日、不幸に逢う。

 運が悪かった。

 そう形容するしかない状況だ。

 高校の入学式を終え、先日引っ越してきたばかりのこの街を探索した俺は、最後にこの街で有名な中央公園とやらを見て帰るかーなんて思っちまった。


 その結果が、これだ。


 鼻歌を歌いながら日の沈んだ公園を歩いていた俺の目に飛び込んできたのは、一人の高校生らしき女と、それを取り囲む四、五人の奴ら。

 最初は、テレビ番組か何かの撮影かと思った。暴漢に襲われている可能性を無視したのは、女子高生を取り囲んでいる奴らの服装が──なんというか、“奇抜”な──衣装で統一されていたからだ。さながら、ショッカーのような、全身黒単色のタイツのような服。


 おいおいマジかよ、なんて思いつつあたりを見回すが、カメラのようなものは確認できない。

 どうするかな、と思いつつ離れて様子を見ていると、


 「・・・!」

 「あ」


 女子高生と、目が合った。


 静寂。


 そしてその後、その口から出たのは、「すいません、撮影中です」なんて言葉でも、「助けてください!襲われているんです!」なんて言葉でもなく、


 「逃げろッ!!早く!!」


 恫喝するかのような、叫びだった。


 その尋常ではない声色を含んだ言葉に、俺の思考が一瞬途切れる。

 女子高生を取り囲んでいた奴らが一斉に俺の方へと振り返る。驚愕に俺の呼吸が止まる。

 奴らには、顔が無かった。


 タイツのように見えたのは、服ではなく、奴らの体自体がそのような色をしていたからだった。

 マネキンのように人の形をした黒い「物体」。それが、俺の対峙した物の正体。

 一瞬の間の後、奴らはまるでバネを巻き終え、手を放したミニカーのように走りだした。


 目標は当然、俺だ。

 おいおいマジかよ、と俺は混乱しそうな頭を抑えつけ、右手に持っていた鞄を体の前で盾にする。

 と、次の瞬間。


 俺の右腕が、鞄ごと吹き飛んだ。


 「────はあッ!?」


 視界の端に飛んでいく、俺の右腕(と、鞄)。

 俺の右腕は、パーツの外れたソフビ人形のように、三分袖あたりから先が無くなっていた。

 そして続けざまに来る腹への衝撃。俺の体は数十メートル後ろに吹き飛ばされ、歩道に背中から着地する。


 内蔵が揺れる。視界が霞む。

 声を出そうにも、喉が詰まって息すら吐き出すことができない。


 薄れ行く意識の中で、俺が最後に目にしたのは、


 真っ赤な空。


暇な時にだらだら書いていきたいと思います~・・・

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