「はい! こちら、パーティ追放代行業者〈ザマア〉です!」
超短編です。
「はい! こちら、パーティ追放代行業者〈ザマア〉です!」
──追放代行の朝は早い。
魔王復活により、昨今急増した勇者パーティ候補。
すると当然、身の丈に合わないパーティメンバーも出てくる。
そんな人の追放をパーティリーダーの代わりに行うのが、この「追放代行」ビジネスだ。
今日も朝から電話が鳴り響く。
「──なるほど! パーティの付与魔術師を解雇したいと。
お気持ちお察しします。彼ら、バトルには参加しないですからね~
……はいはい、A級パーティに昇格したので人員整理中ということですね」
追放代行といっても普通のビジネスと変わらない。
まずはクライアントのヒアリングから始まる。
「追放理由としましては……付与の恩恵の具体性に欠けるため、と。
たしかに、ゲームみたいに数値とかエフェクトで見えないですからね~
え? ゲームってなに?
……失礼しました。私の故郷の訛りが出てしまったようで、ええ」
追放理由を伺い、それとなくいい感じの言葉で本人に伝える。
なかなか胸の痛む仕事だ。
「はい! 料金についてですね〜。
弊社は基本の『安心追放プラン』と、『完全追放プラン』をご用意しております!
基本プランではご本人様にご納得していただいた上で追放させていただきます!
……納得させる方法については、企業秘密でして。ご勘弁ください!笑」
だが、安心プランだけではご満足いただけないクライアントも多い。
追放後のトラブルはどうしても尽きないものだ。
「ご不安なようでしたら……
少々お値段張りますが、完全追放プランの方はいかかがでしょうか!
こちらはですね、報復などの万が一が絶対に起きないように、弊社の方で処置させていただきます!
万全のアフターケアでして、追放されたご本人様からの不満の声も一度も届いてません!
……申し訳ございません。こちらも詳細はお答えしかねます。」
追放代行を使うようなパーティは、何か後ろめたいことがあるものだ。
だいたいは完全追放プランに決まる。
「完全追放プランで……はい! ありがとうございます! 今後の詳細については後でご連絡します。
今後も、パーティ追放代行〈ザマア〉をご贔屓に!」
また一件、つまらぬ仕事を引き受けてしまった。
この世界に勇者候補として召喚されて、はや10年。
自分がパーティを追放された経験を活かしてこの仕事を始め、ようやく軌道に乗ってきた。
「ーーおい、聞いたか。また仲間が増えるぞ。追放仲間がな」
「そっすね兄貴! ここまで長かったでっせ!」
「結局お前のきもい喋り方はついぞ直らなかったな」
「でも、あっし、兄貴がいたからこうして追放された後もセカンドライフを送れてるっす!」
「いいセカンドライフだろう? 追放された仲間達で秘密結社をつくるなんてな」
「おっす! にしても、〈ザマア〉もだいぶ大所帯になってきたっすね~」
「ああ、やっとだ。これであの忌々しい女王様どもをぶっとばせる。
おい、各支部に通達だ。──革命の時は近い」
追放される勇者候補をリーダーに代わって完全に追放する。
──死体の偽装から身分の抹消まで、すべて行う。
そして戸籍上は死んだも同然のヤツを、革命の同志として引き取る。
「パーティ追放代行業者」あらため、裏社会のレジスタンス組織〈ザマア〉にようこそ!
ネタ段階でした。いつか続きを書くかも。




