第1話
かつてストリック王国を窮地に陥れた魔王が、300年の時を経て復活しようとしていた――。
「勇者たちよ、よくぞ参った! 我が国の命運は、かつて魔王を倒した勇者の子孫であるそなたの手にかかっておる! 魔王討伐を頼んだぞ……!」
ストリック城の玉座の間。
国王が、力強く命を発した。
ひざまずき、真剣な面持ちで命を聞く、勇者と仲間たち……
勇者ラックは、国王の言葉を深く受け止めると、キリリと目を開き、言い放った。
「……お断りします!!」
「「何?!」」
「な、な、何と申した勇者?!」
国王が驚きのあまり玉座から滑り落ちる。
ラックは真剣な眼差しで訴えた。
「申し訳ありません、国王。しかし魔王を倒してから300年……我が王国はずっと平和でした。だからその間、俺の父さんも、じいさんも、じいさんの父さんも、曾々――中にはばあさんもいたと思いますが――とにかく! 誰も勇者になるための鍛錬をしてこなかったのです、もちろん、この俺も!」
「な、なんと?!」
「だから俺――」
ラックは息を吸うと、胸を張って言った。
「勇者レベル、『0.2』しか無いんです!」
「「0.2ぃい?!」」
「0.2って……! 勇者、正気か?!」
信じられない顔をして腰の剣に手をかける女戦士リシア。
「『レベル1にも満たぬ』と?!」
とんがり帽子を落っことしそうになる魔法使いバルド。
「そんなレベル、聞いたこともありません……!」
眼鏡を掛け直しながら必死に古文書をめくる賢者エルマー。
「だからすみません。俺、無理です。他の勇者を探してください!」
勇者はそう言い残し、玉座の間を飛び出した。
だがその時、
「お待ちください勇者様!!!」
国王の娘である王女が現れた。
「魔王を封印できるのは、聖なる血を受け継ぐ勇者様だけだという言い伝えなのです! どうかお力をお貸しください……!」
「お、王女様……!」
ラックの手を取り瞳をうるませる王女。
ラックはその真剣な眼差しに心を動かされた。
王女は美少女だった。
「……わかりました、王女様。この現勇者、必ずや魔王を討伐してみせます……!」
かくして、『レベル1にも満たない勇者ラック』の無謀なる魔王討伐の旅が幕を開けた。
勇者ラックの旅、ゆるスタート。
全4話完結まで毎日12時投稿予定です。




