第2話
主人公記憶喪失だけど
都合のいい事だけ忘れています
・・・なんという御都合主義!!
「人間という種族は絶滅してるわ。・・・・・・・・・5000年前にね」
サラの口から飛び出した言葉をキョウイチは理解できなかった。
彼は酷く混乱していた。
・・・・・・・いやいやいや
・・・人間が滅亡しているのなら今ここにいる俺は何ですか?
・・・幽霊??アンデット??死人???
「・・・そんな・・・・・」
キョウイチは唖然としていた。
何も考えれなくて本当に頭の中が真っ白だった。
考えてみてほしい、気が付いたら目の前には女の子2人組がいてなんであの場所にいたのか思い出せないし、思い出そうとすると意味不明の頭痛がする状況を、そしてその子達から人間は滅亡しました・・・・って信じられるか!!!
キョウイチは自分の頭の中で考えるのをやめた。
「キョウイチ君。あなた本当に・・・・」
そんなキョウイチを見てサラは、自分の感じた事が正しいと確信する。
彼は"人間"なのではないのだろうか、と
「でも!!!サラ・・・・魔人族の可能性もあるよ。あいつら人間にあこがれているから、魔法で人間に近い姿に変身しているらしいし。」
リリは必至にサラの言葉を否定した。
5000年前に滅亡したはずの人間がここにいるなんて普通の頭の人が信じられるわけがなかった。
「リリ聞いて・・・・キョウイチ君、悪いけど私達が初めて君と対峙した時、あなたに魔力感知の魔法をかけさせてもらったわ。その結果キョウイチ君からは魔力を感じなかったわ・・・・。それにその髪の色と目の色の黒・・・黒なんて色今まで見た事も聞いたこともないわ。その事から考えてキョウイチ君が"人間"でないとは容易には否定できないと思うのだけど・・・・どう思うリリ??」
サラはリリに自分の考えを伝える。
「あたしは・・・・サラが言うならそうじゃないのかって思うけど・・・・」
リリの中で否定していたのにサラの言葉を聞いて一気に、そうではないのかと思えて来てしまった。
「キョウイチ君を町まで連れて帰ろうかと思うのだけど・・・リリ?」
キョウイチがまだ頭の整理をつけれなくて沈黙している中
2人の話はどんどん進んでいく、キョウイチはフラッとよろめいてクローゼットみたいなとこの取っ手に手をついた。
ウィーン
「え??」
奇怪な音を立ててクローゼットがキョウイチの持ったところから勝手に左右に開いた。
中には男物の服と1枚の手紙?が入っているようだ。
「あ!!あたしがどれだけ引いても押しても空かなかったクローゼットが開いてる!もしかして・・・・お宝!!」
リリがキョウイチを押しのけるようにクローゼットの中を覗き込んだ。
ここの遺跡に入ってから一度も金目のものには出会っていなかった。
出会ったのは変な自分が人間だと言い張る男一人、このままでは赤字だ、と思っていたリリの行動は素早かった。
「なんだ~~男物の服と何これ?手紙???読めないし・・・・」
それを聞いて、手紙から何か惹かれるものがあり、キョウイチはリリの手から手紙を奪い取るように取った。
「ちょっと!あんた何するの!?」
と奪い取られたリリはプンスカ怒っている。
なぜかは分からないがキョウイチはその手紙を読まなければいけないような気がした。
その手紙には変な文字が書かれていた。
ズキ!・・・・・キョウイチの頭に本日何度目かの頭痛が走る。
いやこの文字は見覚えがある・・・
父さんが好んで使っていた文字だ・・・・
うん??・・・・父さん・・・・???
俺には父さんがいたのか・・・
ズキ!・・・・あいにくこれ以上は、今は思い出せないが文字は読める。
”息子へ
すまなかった、いきなりで。だがああするしか方法がなかった。
もし運が良ければまた会えるだろう。
父より”
父さん・・・・・今は一体どこに?
どうやらキョウイチには父親がいたらしい。
運が良ければまた会えると書いてあったでキョウイチの気持ちは少しだけ楽になった。
父親の事は黙っていた方がいいな、キョウイチはなぜかそう思った。
キョウイチが読み終わった後しばらくして、その紙は崩れてしまった。
まるで役目を終えたみたいに。
「~~~~~~~ちょっと~~~聞いてるの!?」
どうやらちょっとの間思考の渦に浸かっていたらしい。キョウイチはリリの話などまったく聞いていなかった。
「ごめんごめん。リリの話聞いてなかった。」
「~~~~~!!!!!!いい度胸ね~~さっきからあたしを無視したり!あたしから物を奪ったり!それに初対面のあたしをいきなり呼びすてで呼ぶし!」
リリがキョウイチに突っかかる。
「まぁまぁリリ。それよりキョウイチ君、あなた私達と一緒に来る?ここに置いて行くのもかわいそうだし」
サラが間に入ってきてくれて、リリは怒りの矛先が遮られたからかむくれている。
キョウイチは・・・・ちょっとかわいいと思ってしまった。
「サラ!こいつあの人間かもしれないいんだよ・・・・・危険じゃないかな?」
リリがサラに忠告をする。
「ならどうするのよリリ。ここに置いていくつもり?」
「それは・・・・・」
それはできなかった。
サラが言うのだからキョウイチは人間の可能性が高いのだろうが、リリの第六巻が言っていた。絶対に厄介事だと。
キョウイチは考えていた。
サラさん達と一緒に行く・・・か・・・・・
どうしようか?・・・・・・・・・・ってもう選択は1つしかないんだよな
この2人は信用できるような気がする。話した感じ悪い人達ではない。今の俺にはこの2人以外に頼る人がいない。それに2人とも猫耳、戌耳と合わさって美人だ
2人で歩いていたら美人姉妹とかですごく絵になりそうだ。
「はい!こちらこそついて行かせてください。サラさん」
答えが決まったキョウイチはそう返事をした。
「ほらキョウイチ君もこう言っていることだから。連れて行きましょうリリ。」
サラが最後のひと押しをリリに向かってする。
「分かったよ~・・・・サラがそう言うなら、でも覚えといてあたしはまだ、あんたを信用したわけではないから。もしサラやあたしに何か変な事したら・・問答無用でやっちゃうから」
リリがそう言ってキョウイチに腰の短剣を見せるように叩いた。
キョウイチの表情が一瞬で凍りつく。
・・・・・こわ!!
・・・今度から少し考えて発言しようかな・・・・
「彼はなかなか使えると思うわ。キョウイチ君これを読んでみて。」
サラがポケットから紙きれを取り出しキョウイチに渡した。
何々・・・・キョウイチは何気なくそこに書かれている事を声に出して読んだ
「コールド・・・・スリープ?について・・・・・の実験報告書のようです。」
そこには細かに実験台階の事が乗っている。
案の定キョウイチが読んだ瞬間にこの紙も崩れてしまった。
「あんた!この字が読めるの!?」
リリがすごく驚いている。
が、キョウイチには何がすごいのかは全く分からなかった。
「どうリリ?私達が読めもしない文字を読む少年。連れていくのにこの条件はだけでは納得できない?・・・」
「もう!分かってるよサラ~、まぁ・・・あのその・・・よろしくね・・・・キョウ」
リリがそっぽを向きながらそう言った
恥ずかしいのか、わずかに頬が染まっているのはお約束で
「キョウ?」
「うん。キョウイチって名前長いし。変だし。キョウって方が呼びやすいし。カッコいいよ」
変と言われ、勝手にあだ名まで付けられたキョウイチはしかめっ面をした。
・・・・・まぁいっかな・・・
そんな思いもあったのは確かなのである。
「よろしくリリ、サラさん」
「よろしく、キョウイチ君」
「よろしく、キョウ」
この日キョウイチに初めて仲間ができた
「・・・・・・・ってちょっと待って、なんでサラはさん付けであたしは呼び捨てなの?なんかおかしくない!?」
「それは・・・・・・・・・・サラさんは見るからに年上っぽいし。あとリリは見るからに同い年か、むしろ年下っぽいから」
「ちょっと待ってね・・・キョウって何歳?・・あたしとサラ同い年で今年で20歳なんだけど・・・」
げ!!!まさかの年上!
たしか18歳・・・のはず
「・・・・・忘れちゃったかな・・・・」
「ウソね」
サラさん~~~~~~~~~~
10月14日編集