プロローグ4
ここはアイクの町から南に行ったケルトの森の奥深く
「なんかあっけなく来ちゃったね。」
リリはサラに向かって言った
それもそのはず、ここまで4時間はかかる道を2時間しか掛っていない
「そうね。それもこれもこの地図のおかげね。シャナに感謝しなくちゃね。」
シャナが渡してくれた地図にはモンスターの生息地域や活動時間などが事細かに書かれていた
そのおかげかモンスターなどにはまったく会っていない
「さ!行きましょうか・・・」
「なんか出そうだよ~~」
目の前には今回の依頼の目的の大きな建物があった。
そうとう昔に作られたのかところどころ朽ちている。
2人はその大きな門をくぐり抜け建物敷地内そして建物内部へ入って行った
建物の内部は吹き抜けになっており1階には左右に扉が2つ
真中に2階へと続く階段があった。
とりあえず1番右の部屋から調べることにした
「おばけ出ませんように・・・・・・なにもいませんように・・・」
リリがぶつぶつと呟いて扉を開ける
パーティーはリリが前衛担当
サラが後衛担当なので自然とリリが先に行く感じになる。
ガチャ
部屋にはリリの願いがかなったのかトラップもモンスターも何もいなかった。
その部屋にはたくさんの書類の山に埋もれた机とクローゼットがあるだけ
「なんの書類かしら?」
サラは1枚の紙を手に取ってみる
紙はサラが持った瞬間ボロボロに崩れ去った
もう1枚手に取ってみた崩れた
もう1枚・・・・崩れた
もう1枚・・・・崩れた
「もうなんなのよ!!」
最後に1枚手に取ってみたら、不思議とその紙は崩れなかった。
サラは書類を読んでみる、だが何が書かれているのか読めなかった。
リリはクローゼットと悪戦苦闘していた
取っ手を持って思いっきり引いて開けようと思っても開かないのだ
「サラ~ちょっと来てこのクローゼット開かないよ~・・・・鍵がかかってるのかな?」
「う~ん、でも鍵穴らしきものは見当たらないし、後回しにしときましょ。それとリリこれ読める?」
サラがリリに持っていた書類を見せた
「え~~~読めないよ~。なんか不思議な文字で書かれてるね~」
「そうね。この紙は持って帰りましょ。何かの役に立つかもしれないし。それに誰か読めるかもしれないわ」
サラはポケットに紙をしまった。
1階の左の部屋も似たようなものだった。
「収穫なしか~」
リリが肩を落とした
「まだ2階があるわよ。それにまだ全部調べたわけではないからモンスターがいるかもしれないし。気を抜かないのよ。」
2階は階段を登ると真っすぐ通路が伸びていてその先に扉があった
いつもどうりリリが先頭で扉を開く
「・・・・・なに?・・・・・・ここ・・・」
部屋の中を見たサラの口から思わず声が漏れた
部屋の中には左右にずらっと白い丸い箱みたいなものが並べられていた。
すべて壊れていたり朽ちていたりともうボロボロの状態だ
異様な光景だった。
「なんだろう~これ・・・?」
リリがしきりに調べているが何も分からないようだ。
「リリ進むわよ。」
サラは奥を指差した。奥にはもう1つ扉があった
ギィ
扉はあっけなく開いた。部屋の中は薄暗かった。今までの部屋は窓などで外の光が入ってきていたがこの部屋は窓もなく薄暗かった。部屋の奥には1つだけ先ほどの白い箱みたいなものが、薄暗い部屋の中水色に光っていた。
「・・・・サラあれ何だと思う?」
リリがサラに向かってつぶやいた。
「分からないわ。でも・・・・」
「ここまで来て手ぶらで帰るのは・・・」
「「ねえ」」
サラとリリは声を被らせお互いの顔を見やり笑いあった
リリが自分の武器の短剣を抜き構えサラから一歩前にでる
サラは自分の武器の魔銃を構えリリの援護に回る
2人は一歩一歩"それに"近づいて行った。
プシュー
白い箱との距離があと5歩ほどとなった時、
白い箱の上側が音とともに開いた
そして箱からは薄い服を着た黒髪、黒目といった容姿の男が出てきた
男とリリ達の間でお互いがお互いを見つめあったまま長い沈黙が流れる。
「・・・・・いったい・・・どういう状況?・・・・」
男の口から洩れた言葉が薄暗い部屋に響き渡った