プロローグ3
「あんたも毎回毎回大変だね・・・」
私はサラ
今目の前にいて私に話しかけている人は
私達がよく利用している宿屋のおかみさん名前はベレッタさん
この宿屋は2階が寝室で1階が酒場と、私達冒険者にとってはありがたい構造をしている
このおかみさんも昔は冒険者だったという噂を良く聞く。真実を直接聞いた事はないが・・・・。
腕はそこらの冒険者より引き締まっている。
何度かよっぱらいを店から追い出しているのを見た事がある。
下手な冒険者より強い・・・直接見た感想だ
私が今何をしているかというと・・・・待っている
私の相棒・・・妹分・・?のリリが着替えて降りてくるのを本日2杯目の紅茶を飲みながらだ
まったく・・・いつもあの子は寝坊するのよね
夜遊びは控えろといつも言っているのに遊び歩いてばかり
たまには本気で怒ろうかな・・?
と真剣に悩んでいる。
「仕方ないよお母さん。リリ昨日夜遅くまで私と遊んでたし」
ベレッタさんの隣から話しかけている女の子は
ベレッタさんの娘でこの宿屋の看板娘のロゼッタちゃんだ
どうやってベレッタさんから生まれたのか不思議に思うぐらいこの親子は似ていない
「ロゼッタ・・・・あんた・・・・また遊び歩いてたのかい?しょうがない子だね。」
「まぁまぁお母さん。この歳の女の子は夜遊びにあこがれる時期なの」
「なにを意味のわからない事言ってんだい。・・・まぁでもあんたは夜遊びしてても1度も手伝いをサボった事ないからね」
ロゼッタちゃんはリリと良く夜遊び歩いているのに宿屋の手伝いを1度も寝坊などでサボっているのを見た事がない。
・・・まったくリリにも見習ってほしいものよね
「私はお母さんの自慢の娘ですから」
ロゼッタちゃんはベレッタさんにそう胸を張って言った
クスッ
2人の親子の会話がおかしくて私は少し笑ってしまった
ドタドタドタドタ
「サラごめん~~」
そんな時リリが階段から転げるように降りてきて
私の前に来て平謝りだした
「はいはい許してあげるから・・・・・・だから寝ぐせついてるわよ」
この子は私の愛すべき相棒・・・妹分・・・家族・・・のリリだ
私は手櫛で寝ぐせを治してあげようと髪をなでる
はたから見たらほほえましい光景に移りそうだ
「えへへへ・・・やっぱりサラは優しいな~。あ!!ロゼッタ!ベレッタさん。おはよう~・・・てかロゼッタなんで普通に元気そうなの?」
「フフフ・・・気合いかな??」
「もう!ロゼッタばっかりずるいよ~~」
リリが頬を膨らましてむくれている
「だいたいロゼッタはさ~昨日も・・・・」
「では出発しましょうか、リリ。日が暮れるまでに帰りたいですし」
長くなりそうだったのでリリとロゼッタちゃんの会話を切ることにした。
「う・・・ごめんサラ。」
リリがシュンとなる。リリの自慢の戌耳も今は垂れ下っている
「ベレッタさん、紅茶ごちそうさまでした。紅茶代はリリにツケといてください」
「はいよ!!あんた達気をつけて行ってくるんだよ」
ベレッタさんが元気よくそう言って、紅茶の空のカップを持って厨房の方へ歩いて行った
「ちょっ!!サラ~~~あたし最近お金ないんだって~~」
「夜遊びばかりしてるからでしょ・・・・それに誰が朝早くに集合しようなんて言ったのかしら?」
「う~~~~~~・・・・ごめんなさい・・・」
ちょっとかわいそうだなと思ったけど、この子にはいい薬になるかもしれない。
「行くわよリリ、あ!そうだった、出発前にギルドに寄ってから行きましょう」
「サラさん、リリ行ってらっしゃい。あとリリ昨日貸したお金早く返してね」
・・・・まったくこの子は・・
「ロゼッタもうちょっと待って・・・・・・ってサラちょっと待ってよ~」
呆れてもう何も言えないわね。
私は宿屋の扉を開けて外に出て行った
今日もいい天気だ・・・
私達が今拠点にしている町アイクの中央に位置するのが冒険者ギルド
かなり大きな建物で町で1番目立つと思う
私達のような冒険者や傭兵やハンター色々な人や人種が利用する
仕事斡旋場みたいなところだ
私達は中に入る。今日もたくさんの人が談笑したり仕事の掲示板を見たりしていた
もう何回も来ているので慣れたもので受付まで一直線に歩いて行った。
「おはようございます。サラさんリリさん。」
受付嬢の・・・・シャナが挨拶をしてきた
「おはよう~~シャナ~」
「おはようシャナ。早速だけど昨日言っていた依頼の遺跡までの地図を頂戴」
「はい。サラさん」
まるで待っていたかのようにすぐシャナは地図を取り出して私に渡してくれた
「ありがとう。シャナ」
私は地図を受け取るとすぐに出口の扉の方へ歩き出した。
「じゃ~行ってくるね~~」
「気を付けてください。その遺跡は最近発見されたばかりで何があるか、どんなモンスターがいるのか分かりません」
「大丈夫大丈夫!あたしとサラなら余裕だって」
リリがシャナに手をヒラヒラ振ってこちらに走って来ていた
「さぁ~出発!~~お宝お宝」
満面の笑みでそう言って手を空に突き出している
まったくこの子は・・・
「フッ・・・そうね。行きましょうか」
サラの顔にも笑顔が浮かんでいた。