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あの世界  作者: ろー
戦争
17/20

第13話

「まだ買うのかよ・・・・・・・」


ただいま良く晴れた空の下、朝からキョウイチ、リリ、シェリーは買い物の真っ最中だった。

今の出てきた店で十件目に突入しようとしていた。しかも全部服屋である。

シェリーの生活に必要なものを買うのではなかったのか、ほとほと疑問だが・・・・・

前に一度リリの買い物に付き合った事があるったのだが、その時は暗くなるまで荷物持ちをやらせられ二度とリリの買い物には付き合わないの事を誓ったのだが、負けているのである。キョウイチにもプライドがある、一度受けた勝負に負けているのだからゴチャゴチャ文句は言わないで黙って荷物持ちをしていた。

もちろんキョウイチの物は1つもないのは当たり前の真実である。


「ちょっとあそこで休憩しないか?」

キョウイチは腕いっぱいに荷物を持ち、歩くのにも四苦八苦していた。

たまに前から来る人にぶつかりそうになっては、謝る、ぶつかりそうになっては、謝るを繰り返していた。

そしてこのままでは、マジでやばいと感じたので目に着いたオープンテラスのオシャレなお店を指差して言った。

「キョウイチさんやっぱり少し持ちましょうか?」

シェリーがそんなキョウイチを見かねて助けの声をかける。

「シェリー気にしなくていいよ。キョウはあたしとの掛けに負けたんだし。それにキョウもまさかこんなか弱い女の子に、重い荷物を持たせようだなんて思ってもいないだろうしね。」


「・・・・・本当にか弱かったら俺が負けるわけないだろ」

キョウイチはボソッと聞こえないような声で呟いた。

「なに?なんかいった?」

「いやなにも・・・・」

それをどこから聞きつけたのか頭の犬耳をピコピコ動かしてリリが訪ね、キョウイチは内心焦りながらもその言葉を否定した。

「あの人だかりなんだろう・・・・」

見ると中央の広場にたくさんの人だかりができていた。

「ほんとですね。なにかやってるんですかね」

「よし!シェリー見に行くよ~」

そう言ってリリはシェリーの手を取って人だかりの中に突撃して行った。

「あ!ちょ!・・・・休憩は?」

キョウイチの放った言葉もちろん2人には届かなかった。

「はぁ~~~~荷物置いて行ったら・・・・・・・ダメだろうな~さすがに。」

キョウイチはそう呟いて荷物を持ったまま人ごみの中に突撃していった。





「みな!!!!!!良く集まってくれた!!!!みなも知ってのとおりルシード帝国が我らの国を侵そうとしている!情報によると奴らは邪信教団の手も借りモンスターまでも使役しているとのことだ!そこで我も義勇兵を募る!!我こそはと思ったものは、参加してほしい!ルシード帝国が通った後の大地には何も残らないだろう!みな立ち上がってほしい!めぐるましい活躍をした者には報酬を与えるとのことだ!!こたびの戦は聖戦である!繰り返すこたびの戦は聖戦である!!!」


キョウイチは途中で人ごみに突撃するのをやめていた。

なぜなら人ごみの後ろの方だがここからでも声が聞こえたからだ。


  聖戦だっってよ~

       どうする~?

   戦争がまた・・・・・・始まるのか

            絶対参加するよ俺

    俺らはいかないな

        英雄になってやるぜ

       ルシード帝国のやつらにひと泡吹かせてやる!!

  

たくさんの周りの声が聞こえる。たぶんこの話はすぐに町全体に広がる事だろう。


「・・・・・・・・・戦争か・・・・」

キョウイチはボソッとつぶやいた。

「あらキョウイチ君こんなところにいたの?」

キョウイチが人ごみを抜けだして人だかりから少し離れたところでリリとシェリーを見つけようと四苦八苦していると良く知った声をかけられた。

「サラさん。リリとシェリーとはぐれちゃって」

「キョウイチ君その歳にもなって迷子なんて・・・・」

「いやいや。サラさん話し最後まで聞いてくださいよ。人だかり見つけたらいきなり、リリがシェリーを連れて走って言っちゃたんですって。」

「あらそうなの。・・・・・・・キョウイチ君さっきの演説聞いて何か思うところがあったの?」

「え!?何を言ってるんですかサラさん。俺は別になにも・・・・・」

「はいはい。嘘はつかない。さっき神妙な顔してたじゃない」

「う!そ、それはですね~なんで戦争なんてするのかなと思って。俺まだこの世界の事あんまり知らないんで、バルト王国とルシード帝国が戦争中だって今知ったんですよね。」

「そうだったわね。じゃ~ギルドに行きながら話してあげるわ」

「え!なんでギルドに行くのですか?リリ達は探さなくていいんですか?」

「それはね。もしこの町で迷子になったり緊急に離れ離れになってしまった時にはギルドで落ち合うって。冒険者の間では決まっているのよ。ギルドがこの町で一番大きな建物だしね。」

そう言ってサラは歩き出した。キョウイチは手に荷物をいっぱいに持ちながらその後を追うことにした。



「キョウイチ君、バルト王国の王様バルト王、ルシード帝国の帝王ルシード皇帝、2人が六英雄だという事は知ってる?」

「はい、聞きかじる程度には・・・・」

「そう。一応六英雄についても説明しておくわね。簡単に言うと、種族戦争の時に人間達を倒すのに一番活躍した六人なの。そしてそれぞれは国を作った。アル公国、ルト教国、カッサーラ自治国、デスタ魔族国、バルト王国、ルシード帝国とね。そして六英雄には様々な特殊な能力があった。」

「能力?」

「そう能力。彼らは不老不死らしいわ。」

「不老不死ですか~?」

キョウイチが驚いたような声を上げる。当然だ、いきなり不老不死だなどと言われて信じるわけがない。

「そう。でも真実らしいのよ。現に今バルト王国を納めているのは六英雄のバルト本人だし、ルシード帝国を納めているのはルシード本人なのよ。」

「・・・・・・・・・」

キョウイチは黙り込んだ。サラが言うのなら真実なのだろうが、にわかには信じられない話だった。

「で過去に仲間だった者たちが今争っている理由だけど・・・・・・・一言で言うと、価値観の違い・・・・なの」

「価値観の違い・・・・・」

「ええ。ルシード帝王は大の為に小を切り捨てる。バルト王は大の為だろうと小を切り捨てたりはしない。この違い、たったこれだけの違いが戦争にまで発展してる。どちらも望んでいるのは平和なのに・・・・・・」

「なんでそんな・・・・・・・・・・」

「とても悲しいわよね・・・・・・・」

キョウイチは黙って考え込んだ。

「はい・・・・・・・・」

キョウイチはかつて共に闘った仲間と殺し合いをするなど想像したくなかった。それはとても悲しい事だから・・・・・・・

「分かりあえないのですか?」

「そうなのよね。かつてそう言った人もいたわ・・・・・・・・・長い時間が彼ら英雄の心に憎しみを植え付けたのかもしれないわね。」

「殺したから殺されて殺されたから殺して、それで何が残るんですかね?」

「分からないわ。何が正しいか何が悪いか、それは私達それぞれによって変わってくるものだもの・・・・・・・・」

キョウイチとサラの間に沈黙が支配した。

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

2人が黙って歩いている。お互いが何を考えているのかは、なんとなく予想はついた。

もうギルドは2人の目の前に迫っていた。

キョウイチはさっきからフト疑問に思った事を聞こうとした。

「サラさんなんでそんなに詳しいのですか?」

「あははは、昔ちょっとね~これ以上はさすがにキョウイチ君でもひ・み・つ・よ」

サラがキョウイチにチッチッチと指を振ってギルドの中に入って行った。

「・・・・・・ひみつね」

キョウイチはそれを唖然と見ていた。


「それにしても・・・・・・・・・重いな・・・」

キョウイチの両手にはいっぱいの荷物があり。

ギルドの前でキョウイチはその荷物を、どうやって持って入ろうかと考えているのであった。

読んでくださってありがとうございます

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