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あの世界  作者: ろー
冒険者
10/20

第6話

「キョウこんなのはどう?」

「却下!デカすぎる。てかさっきからお前、まじめに探す気ないだろう。」

キョウイチ達は西の方の大通りにある武器屋で武器を探していた。

キョウイチ達は今訪れている武器屋で三件目だった。キョウイチは自分のピンとくる武器が見つからなかった。

「そ!そんなことないよ。ちゃんとまじめに考えてるって。・・・・・・キョウのわがままで何件目だと思ってるのよ。もうなんでもいんじゃない・・・・」

リリがさっきからキョウイチに持ってきてくれるものは、ギザギザがついた剣や、いかにも禍々しい曰く付きっぽいハンマーなど、キョウイチでは絶対持てないだろうと思う大剣など、マシな物は1つもなかった。キョウイチはもういい加減リリが言うように何でもいいような気もしてきた。

それにキョウイチは素人だから何を持っても一緒だとリリは言っていた

でもキョウイチは自分の命を任せる武器。自分の相棒を選ぶのだから慎重に選びたかった。

「まぁまぁリリ。キョウイチ君も悩んでいるんだから我慢してあげて。」

サラさんがそう言ってくれる。

「でも・・・・・・今日はもう遅くなってきたし、続きは明日にしてもう帰りましょうか?」

「賛成!!もう疲れた~~~」

リリがキョウイチに聞こえるようにわざと大きな声でそう言った。キョウイチはリリがジト目で見ているような気がした。キョウイチはリリの方を見ずに気がついていない風を装っておいた。

今日武器屋を廻って分かった事だが、色々な種類の武器があったが、サラが使っていた銃のような武器はどこにも置いてはいない。特別せいなのか、キョウイチはサラに聞いてみようと思った。

武器屋から外に出れば、もう周りが夕焼けに染まってきていた。

「さ、帰って夕食にしましょ。」

サラさんとリリが2人そろってキョウイチの前を宿屋に向かって談笑しながら歩き始めた。後にキョウイチがついて行く、キョウイチの前の2人は楽しそうに話していた。キョウイチは少し安心した。自分が何件も連れまわしたので、その事を少し気にしていたが、前の二人は全然その事を気にしているようではなかった。大通りにはたくさんの人がいた。家路を急ぐ人、酒場に入りこれから騒ごうというものなど色々な人々が行きかっていた。肩が今日だけで数えきれないぐらい道行く人に当たった。キョウイチはまだこの町の地理は覚ていない、迷子になったら大変なので必死に2人の後をついて行く。

今日一日中町を廻っていたが、やはりどこにも人間はいない。キョウイチは落ちそうになる気持ちを叱咤した。だがふとした瞬間に人間を探してしまうキョウイチはまだまだ割りきれていないみたいだ。

頭では理解していても心が認める事を拒否するのだった。


ズキ!・・・・・とつぜんまたあの頭の痛みが襲ってきた。

なんだ?何かが・・・・・

キョウイチはふとした違和感に立ち止まった。

~~~~~~~~~~~

!!!!!・・・・・・町の血相の中に混じって歌が聞こえてきた

一度聞こえたら、それからは魔法に落ちたように周りの音が消え、歌しか聞こえなくなった

どこか懐かしい感じの知っている歌だった。道のわきの路地の方から聞こえてくるようだった。フラフラとキョウイチはそっちの方に何かに引かれるように歩いて行った


ガチャ

「いらっしゃい」

気がつけばキョウイチは古ぼけた店のドアを開けていた。ここまでどう来たのか、まったく思い出せなかった。周りにはたくさんの誇りを被った武器や盾や鎧など色々なものが置いてある。キョウイチに声をかけてきた人は、ローブを深く被り顔が見えない。何歳なのか、声から判断して、その人がかなり歳がいっている事が分かった。

「おや?お前さん初めてかい?・・・・・珍しい事もあるもんだ・・・・・さて本日は何のようだい?」

その人がこっちに歩いてきながらそう言った。

「武器を探していて・・・・仲間と大通りを歩いていたら歌が聞こえて来て・・・・なぁ、あれはあんたが歌ってたのか?」

「ほほう・・・・・・・歌とな・・・・お前さん・・・歌に導かれて来たのか・・・武器を探していると言ったな・・・・・これをやろう。あの伝説の種族"人間"が作ったと伝えられているネックレスじゃ。もっとも"人間"でないと本当の力は使えんと聞くがの・・・・」


ローブの人はそう言って自分のローブの中からネックレスを取りだし渡してきた。

俺は細長い丸が二つ並ぶようにくっついているネックレスをもらった。

そのネックレスを首にかけるとなぜかは分からないが得体のしれない安心感に襲われた。まるでそこにあるのが当り前なように。


ズキ!・・・・・・ネックレスを見ていると頭痛が襲ってきた。


『・・・・・ウ!・・・キョウ!!!キョウ!!!!!』



気がつけば、俺は大通りに立っていた。

周りには大通りを行きかう人々。2人の後を付いて行きながら見た光景のままだった。

目の前ではリリが不安そうな目で俺の顔を覗き込んでいる。


「あれ?いったい?なにが・・・・?」


「もうやっと気がついた。さっきから変だったんだよ。サラとあたしが話して歩いてて、あたしがキョウに話を振ろうと後ろを見てみたら、急にキョウがいなくなって。2人で探してたら、ここにボーっと立ってたんだから。」


「まったく!キョウイチ君。私もリリも心配したのだからね。」


とりあえず2人には謝っておく。

・・・・・・さっきのは夢だったのか?たしか武器屋で変な人からネックレスをもらったはずなんだが

俺は首を触ってみる。するとそこにはネックレスが、どうやら夢ではなかったようだ。


「ん~~なにその変なネックレス。そんなの付けてたっけ?」


「さっき・・・・・もらった。」


「ふ~ん。まぁいっか。さ、キョウも見つかった事だし帰ろう~」


俺達はまた大通りを歩き出した。

結局、聞こえてきた歌の事を何も教えてくれなかった。

・・・・・・・それにしてもあの人は"人間"にしか使えないというネックレスをなぜ俺にくれたのか?あの人には聞きたい事がたくさんあったのにな。

そういえば、あの人には角も羽根も耳も何もなかったような気がする。

いったい何者だったのか・・・・また会えるような気がした。






俺達は宿屋に戻って夕食を取った。もちろん今日も俺はツケだ。

もし俺が払わなかったらどうするのかとロゼッタさんに聞いてみたところ、その場合はリリから徴収すると満面の笑みで言われた。それを聞いたリリが俺に早く働くように言ってきていたのだが。

今は宿屋の2階の寝室でベットに座ってネックレスを眺めていた。もちろんこの部屋もツケで貸してくれた。ロゼッタさんは本当にいい人だ。まぁ本当はベレッタさんと言うおかみさんが許可したから俺は泊まれたのだが・・・・


『主殿主殿』


うん?この部屋には俺しかいないはずなのに声が聞こえてきた。


「俺もついに頭がいかれたか?」


誰もいないはずの部屋で独り言を言う俺

・・・・・・はたから見たら頭おかしい奴に見られるよな~


『主殿~!』


「だめだ。今日は疲れてるんだ。もう寝よう」


俺はさらに聞こえてくる幻聴を無視して寝ようとした。


『あ~る~じ~ど~の!!!』


・・・・・・・・・分かったよ認めよう。俺の頭がいかれていなければ声が聞こえてくる。

そしてこの部屋には俺一人。そして"人間"が作ったと言われているネックレス・・・・

今日ある人にもらった。"人間"なら本当の力が引き出せるというネックレスが1つ・・・・・

・・・・・俺が頭いかれているのでなければ


「なぁ~もしかしてネックレスが俺に話しかけてる?・・・・・・・・・はははは・・・・そんな事あるわけないよな~」


『そうじゃ!まったく主殿は一向に我の声を聞こうとせん!』


「マジで・・・・・・記憶がないって言ってもこれぐらいは分かるけど・・・・絶対にネックレスはしゃべらない!これ世界の常識!!」


は!

ダメだダメだ。頭が混乱してきた。

俺は混乱してくるとあまり意味のない事を言う癖があるようだ。


『我は普通のネックレスではない・・・・"人間"に作られた武器"シンキ"というものじゃ』


「"シンキ"??何それ?てかなに?普通のネックレスではないって!?本当に人間に作られたのか?」


ネックレスに真剣に話しかけている俺

はたから見ればすごい不審者に見られるのではないのか?


『主殿待ってくれ。そんな一気に答えられん。まぁまずはさっきも言ったが我は"人間"に作られた"シンキ"じゃ。"シンキ"とはの~~~~』


このネックレスが言うにはこうだ、"シンキ"とは"人間"が作った"人間"の為の武器らしい。普段はネックレスだが"人間"のある力を送り込み武器に変身させるらしい。"人間"が作ったためか意思が宿っているらしい。そしてこのネックレスは前の持ち主の"人間"がいなくなった後ずっと眠りについていたらしい。


『そうなんじゃ。ここまでは分かったか?』


「おう」

ネックレスに肯いている自分がいる。そして、いつのまにかネックレスが話す事を疑問に思わなくなった自分がいた。


『我は"人間"が使いさえすれば最強の武器だというのに!・・・・・だがやっと我を使いこなせるかもしれない"人間"の主殿に出会えた。長かったの~~~ある者にはガラクタと言われ、ある者は我ををただのネックレスとして想い人にプレゼントしおった、またある者は我を魔よけの道具として使って・・・・・さっそくじゃが主殿我を握って武器を創造してみてくれんか?』


なぜかネックレスから哀愁が漂ってきた。もしこいつに実態があったなら悲壮感が漂っていそうで今まで色々と苦労したのだなと思った。


「そんな急に言われても・・・・・・俺記憶ないからな。」


『そうじゃった。主殿は記憶を失っているのじゃったな。ならば説明しよう、体の中になにか得体の知れないものを感じないか?』


俺は目をつむり体の中に意識を集中してみる。

すると・・・・・なにか特別な力が・・・・・あるわけもなく、何も感じない。


「何も感じないけど・・・・・」


『そんな!!主殿が本当に"人間"であるならば分かるはずじゃ。』


「あの~間接的に俺が人間じゃないと・・・?」


少し俺は落ち込んだ。

サラさんから俺には魔力がないと言われていて、俺には特別な力がないとあきらめていた時の事だから過度な期待をしてしまっていた。

俺も男だ、特別な力に憧れがないわけではない。


『そうではないが・・・・・う~ん・・・・我と対話ができる時点で"人間"で力があるはずなんじゃが・・・・・・うん?主殿?少し我を主殿の中に入れてくれんか?』


「!?・・・・・中に入れるって?」


『悪い悪い。説明不足じゃッたの実は主殿には力があると思うのじゃが・・・・だから主殿の心の中に入って調べさせてくれんか?』


「いいけど・・・俺はどうすればいいんだ?」


『主殿は目をつぶってくれさえすればよい。後は我が主殿を導く。』


「俺も一緒にいくんだな・・・・」


『当り前じゃ。それに主の心の中じゃ、もしかしたら失った記憶のかけらが見つかるかも知れんぞ。さぁ目をつぶって気を落ち着けるんじゃ』


・・・・本当に大丈夫なのか?

俺はネックレスに言われたとおりに目をつぶった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・・・・・ここは?


・・・・・・主殿!ここは主殿の心の中じゃ


・・・・・・・真っ暗で何も見えん!あとシキも近くにいるのは分かるんだが姿が見えん




「おう!そうじゃった。そうじゃった。これでどうじゃ?見えるようになったか?」


シキが何かしたのだろう。周りが明るくなってシキ姿が確認できた。


「見える見える。でもなんだその姿?」


俺の目の前には幼女が・・・・・10歳ぐらいだろうか

そのぐらいの女の子が腰に手を当てて偉そうにふんぞり返っていた。


「これか?これは主殿の趣味に合わせたつもりじゃが?」


俺の趣味って・・・・・・・そうだったの?


「すごく落ち込んでいるところ悪いんじゃが。シキとは我の事か?」


「そうだけど・・・・・てか俺の趣味って・・・・」


「主殿の心から感じ取ったのだ。間違いはないような気がするが?」


オーーーーーノーーーーー

俺はそうだったのか?・・・・・・・・・・いや!!大丈夫だ!!!

俺は普通だ!!そのはずだ!!俺を俺が信じないで誰が信じる!!!


「俺は普通だ、普通だ、普通だ、普通だ・・・・・・俺は・・・・・ブツブツ」


「シキ、シキ、シキ、我の名前~~~~~~~フフフフフ」


俺とシキは2人そろってブツブツ自分の世界に入っていた

もしもう一人がいたとしたらこう言うだろう

・・・・・・不気味に笑う幼い女の子と不気味にブツブツ言っている男の子・・・・・

・・・・・シュールだと・・・・




は!


俺は何を考えていたのだ。気がつくと、どうやら俺は物思いにふけっていたらしい。

俺の目の前ではまだシキがブツブツとつぶやきながら、にやにやとほほ笑んでいる。よほど俺から名前をもらったのが嬉しかったのか、見てるこっちからも分かるほどうれしそうだ。

そんなシキを見ていると"シンキ"だからシキと呼んだとは言いにくくなった。


「シキ、そ!そろそろ行かないか」


「おう!主殿すまぬ。そうじゃの、ぼちぼち行くかの」


シキが俺の手を引いて進んでいく

ここの空間は不思議な感じがして、居心地がいい。・・・・・俺の心の中だから当り前か

今俺たちは進んでいる。進むと言っても、この空間は地に足が付いている感覚がなく、だが進んでいる感覚がある。とても違和感がある。


「着いたの。たぶんこれの所為じゃな」


シキが不意に止まってそう言った。

シキが前を見つめているが、だが俺には何も見えない。


「シキ、俺には何も見えないのだが?」


「そうじゃな・・・・・もしかしたら心の自己防衛が勝手に働いて見せないようにしているのかもしれんの・・・・ならこれでどうじゃ?」


そう言ってシキが俺の額に触れた

その瞬間目の前の扉が見えるようになった

すごく大きな扉だ、あとすごく大きな南京錠が掛っている


「これが・・・・」


いかにも何か良くないものが入っています的な感じだ。

開けたら何か不幸な事が起こりそうだ。

すると扉の前にいきなり俺とそっくりな人が現れた。


「俺・・・・・?」


「はじめましてかな?俺・・・・ここを開くともう後にはひけないぜ。それでもいいのか?」


「主殿、こやつはここの番人のようじゃの。どうするんじゃ?」


シキが俺に聞いてくる


「俺は・・・・・シキ・・・・開けよう。」


「よう言うた。それでこそ我の主殿じゃ」


「ふ・・・・そうか。それがお前の選択なら俺は受け入れよう。だが時には忘れたままの方がいい事もあるということも覚えておけ」


そう言って俺のそっくりさんは消えてしまった。


「よしではやるぞ。主殿・・・・・」


ゴク!

シキはそんな効果音が聞こえそうな表情をしている

俺も同じような表情をしているのだろう。


シキが扉に手をかざした。

扉からまぶしい光が俺の視界いっぱいに満ちていく


そして俺は意識を失った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




『~~~~~~~~~~~』


ここは?

俺?・・・・・・と誰だ?

人間ではない・・・・

背中に羽が生えている


『キョウイチ・・・・・・やってくれ』


『分かった・・・・・・契約を・・・・』


『ああ・・・・・・必ず・・・・を滅ぼす・・・・』


『では契約を・・・・・・"~~~"を・・・・・結ぼう・・・・・』


分かった・・・・これは俺の記憶・・・・か・・・・

ところどころ飛んだり良く聞こえない事があるが・・・


ザーーーーーー


場面が変わった。


俺と・・・・・女の子?

この子も人間ではない・・・・・耳が長いのが印象的だ


『キョウイチ・・・・・・行かないで・・・・』


『ごめん・・・・・でも俺は・・・・・もう嫌なんだ・・・・』


『キョウイチ~~~』


女の子が俺に手を伸ばすが俺はその手を振り払うように歩き出した。


ザーーーーーー


また場面が・・・・


『キョウイチ・・・・・すまない・・・・・』


次の場面では・・・・・・・・・・・

俺は一瞬なにが起こっているのか理解できなかった。

俺が背中に羽が生えている男の子の胸に剣を突き刺していた


『!!!!!!~~~~~~~~』


俺は剣を突き刺している俺と共に声にならない悲鳴を上げた。



ザーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はもう見たくなくて目をつぶった。

・・・・・すると俺の意識は落ちていった




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