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戦乙女


ミナトと別れた後 装備屋によって皮革の丈夫そうな服を買った 鎧ほどとは言えないが現実世界の衣類よりは安心感がある


「さて 行くか」


気持ちを切り替える意味であえて声に出して歩き始める 街を抜け森の中を進んでいく


程なくしてゴブリンの集団と遭遇した

数は 1.2……5体 前回の森では多くても3体だった


ゴブリン達はこちらの動きを警戒しているのか動かない


「チッ」


無意識に舌打ちが出る

やり辛い 我先に突っ込んで来てくれたほうが楽だ


お互い警戒しながらジリジリと距離を詰めていく


この空気に焦れたのか辛抱出来なくなった2体が威嚇しながら距離を詰めてくる


(掛かった!!)


大きく前に踏み出し2体を射程に囚える

抜刀で斬り伏せると残りの3体は怯んだのか後退る


そのままの勢いでゴブリンを斬り倒していく

レベルアップの恩恵か最初の頃より剣撃のスピードも威力も上がっている気がする


「ふぅ」


最後のゴブリンが跡形もなく飛散するのを見届けて一息ついた


俺は剣術に秀でている訳ではない

それでもここまで圧倒出来るのは職業ランクのお陰なのだろう


そもそもCランクって高い方なのだろうか?

何てことを考えながら随分と進んだ気がするが一向にモンスターが現われる気配がない


拍子抜けだな


すると前方から微かに何かの音が聞こえる気がする


音の方へ進んで行くと 何かがフラフラとこちらへ向かって来るのに気がついた


距離が縮まりやっとその正体がトロールであることを認識する


2m程の巨躯で肌はゴブリンより濃い深緑 何かの獣の毛皮を腰に巻いている ゴブリンの否にならない程の圧力を感じる


だが様子がおかしい 右肩から先がない

まるで何かに抉り取られられたように見える


傷口から紫色の血を流しながらトロールは地を鳴らす要な咆哮と共に突っ込んでくる


掴み掛かろうと延ばした左腕を抜刀で切り落とし

ガラ空きの胴体目掛けて刀を振り下ろす


トロール膝から崩れ落ちると粒子になり散っていった


耳を澄ませると鮮明に音が聞こえる

鉄のぶつかる音と叫び声

これは……戦闘音だ


気付けば駆け出していた


音はどんどん近くなっていく


(襲われているのか?)

焦る気持ちを抑えつつ進むと拓けた場所に出た


(いた!)

赤髪の女戦士が十数体のトロールに囲まれている


(助けないと)

思いと裏腹に身体が動かない 


女戦士の戦いに目を奪われる


トロールの攻撃を華麗に避けると手に持った槍でトロールの身体を突く


トロールの身体には大きな風穴が空き 崩れ落ちる


「綺麗だ」

無意識につぶやく


それは戦いと言うにはあまりにも美しかった


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