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僕は君にありがとうを言いたい

作者: みなみ

初めて君に会ったのは小学生の時だった。


笑顔が素敵な少女だったね。


僕はそんな君に一目ぼれだった。


僕に沢山話し掛けて来てくれたり素敵な笑顔を沢山見せてくれたよね…


でも……


僕は喋れない。


目を見てじゃないと表現できない僕を見て君はたまに泣いて居たね…


そんな君におかぁさんが僕が喋れないんだよって一生懸命教えてたね…



ごめんね…?



そして君は紗英(サエ)ちゃんと言うことを僕に教えてくれたね。


可愛い名前だなぁって思ってまた嬉しくなったよ。


僕は走り回れるしご飯も自分で食べれるし別に何不自由なかった。

喋れないのが嫌だったけど……



でも紗英ちゃんは笑ってくれるし話し掛けてくれるし一緒にお外にお出かけだってしたよね



楽しかった!


だから君にありがとうを言いたい……


紗英ちゃんが高校にあがったのを切っ掛けに僕の体調は悪くなってきたよね…


耳が聞こえにくくなって目も何かもやが掛かったみたいに見えにくくなってきた…


紗英ちゃんの笑顔もいずれ見えなくなりそうだ…



そして病院では白い服を着た人が僕に「老化ですね…」と言って来た…


聞こえにくい耳にすすり泣く声が聞こえて来た……



あ〜…



思い出した…



僕は……


人間じゃぁない……



紗英ちゃんと一緒の人間じゃぁない……



あぁ……



僕は…



犬だ……



急激に寂しさが襲って来た…


僕は紗英ちゃんと同じ目線に立つことは出来ない。


許されない。


僕は…


紗英ちゃんより先に…



死を…

死を悟った。




長くないのは自分でも気付いて居た。


見えなくなる目。


聞えなくなる耳。


いずれ無くなるこの体。


ありがとう……


それだけを伝えたくて僕は精一杯声をあげた。


紗英ちゃんがびっくりしたように体を震わせていたね?


泣いてるのかな…


泣かないで欲しいなぁ…



それから1ヶ月…


僕は静かに……


冷めない眠りについた…


18年間ありがとう…




僕は幸せだったよ?


だから逝けたんだ。


紗英ちゃんの笑顔が好きだった。


紗英ちゃんに笑って欲しいなぁ…


そして「ありがとう」って言って欲しかった。


笑顔でだよ??


僕は君が大好きだから泣顔より笑顔のが好きだから笑って欲しいなぁ…



それから何日も僕は紗英ちゃんを見ていた。


でも……


ずっと泣いていて


ずっとずっと泣いていて…


笑顔が無くなった。



また数日たった。


僕はまだ逝けずにいた。


死んでからどのくらいたったであろう…



でも今日はいつもと違う笑顔の紗英ちゃんが居た!


手元には小さな小さなダックスフンド。


笑顔を久し振りに見て僕ははしゃいだ!


部屋の中を思い切り走り回った!


本当に嬉しかった!


笑顔の相手は僕じゃないけど…



はしゃぎまくってるとダックスフンドが僕に気付いてこっちを見ている。


(紗英ちゃんいい子だからよろしくお願いします)


僕はそう伝えると紗英ちゃんをまた見て


僕のコト忘れちゃ嫌だからね?


お迎え来たからもう…


行くね?


二度と会えないけど僕は紗英ちゃんのコト絶対に忘れないから…


あとは頼んでおいたから!


じゃあ…



また会おうね?


また会える時が来たら笑顔の紗英ちゃんを見せてね?


じゃあ……


さよならじゃなくて……


えっと…


おやすみなさい


大好きだよ!


最後まで本当にありがとうございます!!感想などなどお待ちしてます♪

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