冬の日の少女
別れというものは突然と言うが大概は分かっているものだ。しかし俺はそれを分かっていながら見て見ぬふりをしていた。この生活が続くと思っていた。
もう寒くなった土曜日の朝、突然玄関のチャイムがなった。
「出てくるね」
「はい」
「はいはいお待たせしました」
扉を開けると、少女に似た大人の女性が立っていた。
「どちら様で?」
「すみません、高志野純さんですか?」
「はい、そうです」
「私、瀬尾亜希の母です」
似ている訳だ。一体どうしたのだろうと考えていると、状況を察したのか少女の母が話し出した。
「亜希を迎えに来ました」
「そうでしたか、ちょっと待っててくださいね」
冷静に答えたが脳内はパニックになっている。
迎えに来たということは、少女離れるということだ。それがいつか来るのは分かっていた、分かっていたはずなのに。
少女を呼び、母の前に連れて行く。
「ママ….」
読み込めていない表情で呟く。
「亜希ごめんね迎えに来たよ」
少女の母は涙を流し、少女に抱きつく。
「亜希帰ろうね」
少女の母がそう言うと少女は予想もできない返事をした。
「帰りたくないここにいる」
時間が止まったようにその場が凍りつく。
「やだもっとここにいたいの」
少女は続ける。
「私は純さんのことが好きだから一緒にいたいの!」
少女と言えど小学校5年生の思春期の女の子だそういう話も学校でしているのだろう。
いったんこの場を収めるため、少女の母に言う。
「明日また来てくれますか?急だったので少しこの子とお話させてください」
「わかりました。急にお邪魔して申し訳ありませんでした」
少女の母はひとまず帰っていった。
少女と話し合う。
「どうして帰りたくないの?」
「純さんと一緒がいいからです」
「お父さんとお母さんとはいたくないの?」
「いたいですけど、純さんがいい」
男冥利に尽きる言葉だが相手は小学生だ、冷静に返答しなければ。
「その言葉はとても嬉しい、でもね今の俺のままだと今の君は楽しくても今後絶対に大変なことになる。そして君もこれから色んな人に出会う。もっと色んなことを見て知ったほうがいい。だから一旦お父さんとお母さんのところへ帰って色んなこと経験してそれでも俺のところに居たいって言うならおいで」
「わかりました。でも絶対に戻ってくるので待っててくださいね」
「楽しみにしてるよ」
翌日少女はこの家から出ていった、俺の頬にキスを残して。
あの日から7年が経っていた。
28歳になった俺はなんとかフリーターから脱却して正社員として働いている。
7年前のあの部屋からは立ち去り新たな部屋で暮らしている。広くはないが1人ではちょうどよくもう住み慣れた。
冬が終わり春になろうかとしているそんな季節の休みの日の朝。
あの時からもう習慣になっている早起きに朝ごはんを食べていると、玄関のチャイムがなった。
「はいはいどちら様ですか」
と扉を開けると、
「すみません、お休みだったところなのに」
目の前にはあの日の少女が成長したような女性が立っている。
「すみません。高志野純さんのお宅ですか?」
「間違ってないね。そういう君は?」
「私、瀬尾亜希と申します」
思わず笑みがこぼれる。
聞きたいことは山ほどあるがとりあえず、
「おかえり。荷物持つよ」
長いこと開いたら完結なんやめたほうがいいよ
ご拝読ありがとうございました。また会える日がこれば会いましょう




