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運動会の少女

前回から7ヶ月開いてしまいました

残暑が続くある日

「純さん、これを見てほしいのですが」

緊張した面持ちで少女はランドセルの中のファイルからプリントを取り出す。

その内容は運動会のお知らせだった。


「なるほどね、これをお父さんかお母さんに渡すようにすればいい?」

俺にとってはごく当たり前の質問をしたのだが、少女の返答は思ってもみない応えだった。

「パ…お父さんたちは来れないそうなので、純さんに来てほしいんです」

「俺?」

「はい、ダメですか?」

考える。俺自身運動会に父親が来ることはなかったが母親は小学生の時は来ていた。そして小学生で保護者が誰も来ていない同級生もいなかった気がする。となると現在保護者である俺が行くべきなのだろう。


「わかった。この書いてある日でいいんだよね」

「いいんですか?」

少女は驚いた表情を浮かべている。断られると思っていたのだろうか。

「いいよせっかくだし見に行くよ」

「ありがとうございます」

余程嬉しかったのか小さく「やった」と呟きルンルンとした様子でお知らせのプリントを片付けたあと、宿題を取り出し算数の計算問題に取りかかった。

「宿題終わったら言ってね、ご飯作ってるから」

「はい!」


少女が来てから、慣れてきた料理をしに台所へ向かう。

この時にはまだ少女の気持ちや言動をよく見ていなかった、いや少女だと思い見ようとしてなかったのだろう。

21歳フリーターの自分があのようなことを考える余地もなかったが。


運動会前日、唐揚げを揚げている。明日の弁当のためだ。

小学校は基本給食なのでこのように弁当を作る必要は無いのだが、運動会の日は別らしい。

そのため少女にリクエストを聞いたところ唐揚げいいとの答えだったので現在作っているわけである。

少女にとって弁当とは唐揚げらしい。


「よしお弁当完成。明日も早いしもう寝ようか」

「はい、おやすみなさい」

声がうつろうつろしている。できるまで起きていたようだ、先に寝ていいと伝えたはずだが。最近増えている気がする、そういう年頃ということにして注意はしていない。


そして翌日の運動会当日、まさに秋晴れという見事な快晴になった。

「晴れてよかったね」

「はい!天気予報通りでした」

この一週間ずっと今日の天気を気にしていたのだ。大人びているとはいえやはりまだ小学生の少女だ。


児童席と保護者席に分かれ、昨日作った弁当を片手にござを引いて腰掛ける。

運動会自体は滞りなく進み、昼ごはんの時間になり、それなりに上手く出来た唐揚げや作り慣れてきた卵焼きを食べ午後からの競技に向かう。

「私頑張るので見ててくださいね」

「うん応援してるよ」

「ありがとうございます!!」


少女はクラス対抗4×100mリレーのアンカーを務めてた。

足速いんだなという感想とともに、一生懸命に走る姿を見て感動してしまった。

結果としては2位だったが素晴らしいものを見せてもらった気がする。


帰りにご褒美として少し高いアイスを買って俺なりの金メダルをプレゼントした。

次回はいつやろな?

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