押しかけ少女①
初めましての方は初めまして。そうでない方は、また会ったな。(これやってみたかった)
また、終わらせにくい物語を初めてしまった。そんな気がする物語です。
夢を見ている。夢を見ていると自分で分かっている夢だ。それのことをなんというんだったのかは忘れてしまった。
小さい子どもを連れた大人が、自分の親に頭を下げながらお礼をしている。
この光景は物心ついた時からたまに見ていた、この光景を見ることは好きではなかった。
苦虫を噛み潰したような昔の光景を見ながら、遠くから音が聞こえてきた。見ている光景がだんだん薄くなり、遠ざかり、目が覚めた。
…ーン、ピンポーン、ピンポーン
何度も玄関のチャイムを鳴らす音が聞こえてくる。この音は理由はないが好きではない。
宅配ならまた後でコンビニまで取りに行こうと考えまた眠りにつこうとする。しかし未だチャイムが鳴り止まない。
根負けして「くそっ」と悪態をつき、寝起きの顔で寝癖のついたままの髪で玄関のドアを開く。
そこには宅配のお兄さんは立っていなかった。それどころか、人が視界に入って来なかった。
寝惚けた頭のまま混乱し、ドアを閉めようとしたとき、下の方から声が聞こえてきた。
「すみません、お休みだったところなのに」
驚いて下に目を向けると、ランドセルを背負った少女とそれに似合わないその少女と同じくらいの大きさのキャリーバッグがあった。居た。
それに余計混乱し、動きがフリーズしてしまった。
「すみません、お休みだったところに。私、瀬尾亜希と申します。」
少女の自己紹介の名前に聞き覚えはない。聞き覚えがないので、
「家間違えてない?」
「え?あっすみません、高志野純さんのお宅間違えないですか?」
自己紹介が遅れました。俺の名前は高志野純です。以後お見知り置きを。
「間違ってないみたいだね」
「よかったです。あとこれを渡すように言われてます」
少女の手から少女らしからぬ便箋に少女らしからぬ字で書かれた「純へ」と書かれた手紙が手渡された。それを受け取って
「一旦上がろっか。荷物持つよ」
「ありがとうございます。お邪魔します」
押しかけ少女とでも言うべきか、朝からの突然の珍客を自宅に招き入れた。
『純へ
いきなりで悪いが女の子を預かって欲しい。
その子はうちの債務者の一人娘だ。
仕送りもその子の分増やしているから、金銭面は安心してくれ。
諸々の手続きは済ませてあるからその辺りの心配も必要ない。
この手紙を読んだら連絡を来れ。
高志野学』
高志野学は俺の父親だ。とにかく面倒なことを押し付けられた気分だ。とりあえず手紙の通り父に電話をして、ワンコールで切る。
「お分かりいただけましたか?」
「分かりたくないけど分かった。ひとまず家に居な」
少女を独り路頭に迷わす訳にはいかないのでこう言わざるを得ない。
「ところで純さん、部屋掃除していいですか?」
ほとんど掃除をしない生活を送ってきたせいで、机にはゴミやカップ麺の食べ後、床にはゴミや洗濯物が広がっている。
1時間かけた掃除が終わったところで、
「ごめん今日バイトだった。ご飯は冷蔵庫にあるの勝手に使って、食器も。帰るの夜遅くなるから布団は敷いてあるの使ってね」
大急ぎで準備をし出掛ける。
「行ってらっしゃいませ」
亜希ちゃんの声掛けに
「うん、行ってきます」
何年ぶりだろう。もう分からなくなってしまったくらい前に言った出掛けの挨拶を口にした。とても気恥しい気持ちに苛まれたが、
「まあ悪くないな」
いつもより足取り軽くアルバイト先へ歩いていく。
親が金持ちってその金どっから湧いてんねんって時に使いやすいよね。この設定何番煎じだよ。
ちなみに夢を見ていると分かってる夢は明晰夢って言うらしいです。ひとつ賢くなったね。
またお付き合い下さい。よろしくお願いします。




