8.僕は町に行く(『ミカン! 3日に一度、柑橘類が幾つか落ちて来る。種類はランダム。』(30日)、『スキル【印象操作】の獲得』(永続)、『丁半でモグラor作物が病気に』(14日))
大変おまたせしました! 1万字超えちゃったです……長ぇorz
2019/6/24 22:00~2019/10/22 22:00の間に5名の方から感想、イベントを頂きました! ありがとうございます!
貯まった1円玉を、村にやって来た商人(ノルス家とは違う所)に売ろうとしたら、一緒に居たノルスに止められた。
「そんな二束三文の値段は論外。私なら、もっと高値で捌ける。
今度、コッチノ町で売ろう」
家に置いていても邪魔だから売ってしまおうと思ったのだけど。
クソみたいな値段で売るより、高く売れた方がいいに決まってる。
ノルスに勝算があるのなら、任せてみよう。
◇ ◇ ◇ ◇
家で狩りの道具の手入れを行っている最中、スキル【感想乞食】が発動する。
僕の体が光る。
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スキル【感想乞食】を発動。
以下の5つの感想を得ました。
感想ポイントを5ポイント獲得しました。
『修羅場が想像していたのとちょっと違った。
修羅場ってこんな肉体言語的な感じだったっけ?』
『足しときます つ◆』
『極悪な暑さの夏が来ましたし、薄幸の主・ズーク君のために、誰得、ブーメランパンツ男だらけの水泳大会』
『すごい…話数を重ねる毎に面白くなっていくのです!』
『カティど変態やとおもったらただの守銭奴で安心しました。』
……
…
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僕がスキルを使っている間は周りの時間が停止する。
猫たちがじゃれ合っているポーズで停止している。
ノルスが夕飯の支度をしているけど、その手も、火も止まっている。
手首だけ縄で縛られたミーアは、筋トレの腹筋をしていた姿勢で止まっている。
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所持感想ポイントは11です。
所持ポイント数5以上なので、ポイント1使用、およびポイント3使用の効果が強制発動します。
まずはポイント1使用から発動。
イベントを1つランダムで起こします。(その話限りで効果は終了)
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宙に光のダーツボードが現れ、回り始める。
それから僕の側に光の弓と矢が現れ、弓が引かれる。
ダーツボードに書かれている文字は……
『ラッキースケベ(永続した場合ヒロインゲット……かも?)』
『スキル【不死身】を獲得』
『アリ ダイスに応じて何らかのアリが現れ、更に振ってプラスマイナスが分かれます』
……
…
はいはい、どうせ変なイベントが来るんでしょ。
もう諦めてるよ。
ズキュウウウン!
光の矢が的に射られた。
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ポイント1使用の効果は『ミカン! 3日に一度、柑橘類が幾つか落ちて来る。種類はランダム』です。
効果は30日です。
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柑橘類か。
貰えるなら何でも貰うことにしよう。
……落ちてくる、って、また1円玉みたいに殺傷能力高いことになるのかな?
今度また、木箱を交換所で貰ってくるか。
ハァ、出費が痛い……。
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続いてポイント3使用を発動します。
イベントを1つランダムで起こします。(効果が永続する)
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宙に光のダーツボードが現れ、回り始める。
「どうもサトウです」
……いつの間にか、知らない茶髪の人が隣に立っている。
SOGEKI!
知らない人は弓で的を射たと思ったら、消えてしまった。
何だったの?
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ポイント3使用の効果は『スキル【印象操作】の獲得。
効果:対象の自分への印象(どのように思っているか)を変更する。
その効果は一日後に消えてその対象は変更されていた間のことを覚えている。
またその対象は効果が切れて一日後までこのスキルの効果を受けずどんな事にも冷静になれる。』です。
効果は永続します。
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あれ?
スキルの獲得?
しかもこれって……お、おおおお!!
ついに有用スキルゲットキターーー!!
スキル使用中の事を相手が覚えてるって話だけど、後から変更出来ないような商談とかに、こっそり使ったら最強じゃないの?
やべー、僕、大金持ちになれるかも!!
スキル【感想乞食】が終了し、周りの時間が動き出す。
「ノルス! やったよ!
僕、大金持ちになれるんだ!」
「……白昼夢でも見てるの?」
「寝言は寝てから言うものですぅ」
二人とも辛辣ゥ!
僕のスキルの事は話しているはずなのに、それ関連だってわからないのかな。
いや僕が一人で勝手に舞い上がっていただけなのだけども。
「白昼夢じゃないよ。スキル【印象操作】を得たんだ。
相手の自分への印象を変更するスキルだ。
効果は1日だけ、スキル使用中の事は覚えていて、次の1日はスキルが効かない。
ノルスなら、それがどれだけ凄いスキルか分かるよね!」
「なるほど。行商人に向いているスキル。
村や街を去る前にスキルを使って交渉すれば、デメリットが帳消しになる」
「でも戦闘には役に立たなそうですぅ」
ふふふ、コッチノ町へ行くのが楽しみになってきたぞ!
1円玉を高値で売りさばいてやる!
決意を秘め、僕は寝ようとしたが
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おっと、スキル【感想乞食】発動時、所持感想ポイント11でしたよねぇ?
所持ポイント数/5(小数点以下切り上げ)回以上スキルを使用しなければならないので、11÷5=2.2。
切り上げで3。よって、3回スキルを使用しなければなりません。
あと1回スキル使ってください。さぁ、はよ。
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え、えぇー……さっき時間が止まってた時に言ってよ。
調子狂うなぁ。
まあ仕方ない。
ならポイント1使用の効果を使うことにしよう。
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ポイント1使用を発動。
イベントを1つランダムで起こします。(その話限りで効果は終了)
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宙に光のダーツボードが現れ、回り始める。
僕の側に光の弓と矢が現れる。
そして、僕の隣に、マッチョなハンターっぽい人が現れ、そいつが弓を引く。
シュイン・シュイン・シュイン(威力を溜める音)……ビシュッ!
矢はボードを貫通し、僕の家の壁も貫通した。
って、オイ! 何してくれてるんだよ、このクソスキル!
いつの間にか、マッチョハンターさんは消えていた。
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ポイント1使用の効果は『6面サイコロ二個で丁ならもぐら出現、地味に退治してください。
半なら作物に病気が!自力で対策してください』です。
1日1回起こります。効果は14日です。
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僕の畑をいじめるのはいい加減やめろー!!
もぐらに病気って、どっちも嫌すぎるだろ。
あと対策って何だ。病気の対策とか知らないし。
まぁいい。明日どうするか考えよう。
おやすみなさい。
◇ ◇ ◇ ◇
むにゃ、むにゃ。
ゴツゴツゴツ!
痛い! 痛いって!
何だよ!
目を覚ますと、見慣れない拳よりもやや大きな黄色の果物がそこら辺に転がっていた。
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今日の柑橘類は、ブンタンでーす。
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あぁ、昨日当たったイベントか。
一応ザルを被って寝ていたのだが、ダメージを防ぎきれなかったようだ。
この果実、かなり重いっぽい。
まぁいいや、後で食べよう。
僕は起きあがり、家を出る。
そして井戸に水くみに行く。
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起床後5分経過!
超高級チキン肉が股から出現します。
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ポン!
僕の股が膨らみ、ズボンから肉が出てくる。
「よぉズーク! ノルスとはどうなんだ?
ヤったか? ヤったのか? おっ○いの感触はどうだった?
言え! いや教えてくださいお願いします」
スカーが朝っぱらから気色悪い顔で、気持ち悪い事言って近づいてきたので、ズボンの中のチキン肉を投げてやった。
「うぉっ? 何だこれ。くれるのか? サンキュー。
……ん? 何だお前」
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1分経過!
肉球魔王様ズが追ってきます。
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「にゃー」
どこからともなく茶トラデブ猫の肉球魔王様が現れ、お肉を持ってるスカーの手に飛びついた。
がぶりんちょ。
「痛ぇ!?」
「にゃー」
スカーは手を噛まれチキン肉を落とし、肉球魔王様はお肉を口に咥えて、テクテク歩いて去ってしまった。
「持って行かれた……!! 一体何なんだ?」
「僕のスキルだよ。毎日股からお肉が出てきて、猫に狙われるんだ」
「意味分かんねー」
僕だって意味が分からない。
◇ ◇ ◇ ◇
その後、僕は畑仕事を始める。
精霊の実をつけていた植物も世話していたけど、結局あれから実をつけず枯れてしまった。
なので今植えているのは、20日で実がなる芋、ハツカイモだ。
普通の芋より甘みや味で劣るけど、簡単に栽培出来るし、貴重な食料となるのだ。
まぁ僕の畑で採れたこいつらは全部出荷してしまうのだけど。
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害獣が発生しました。
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そしていつも通り、害獣が現れる。
今日はカラスだ。
いつも通り【猫まっしぐら】を使う。
にゃーにゃー言いつつ、猫ズが僕の側にやって来る。
さぁ、やっておしまい!
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ダイスロール!
目は6です。
撃退に失敗しました。
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猫ズとカラスが威嚇しあっている。
もう一回、【猫まっしぐら】を使う。
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ダイスロール!
目は5です。
撃退成功です。
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猫ズが飛びかかり、カラスが捕まった。
そして首を噛まれて、息絶える。
猫ズは今日のご飯を獲得したようだ。
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続いて6面サイコロを2個振ります!
合計が偶数なら丁! もぐら出現、地味に退治してください。
合計が奇数なら半! 作物に病気が発生するので自力で対策してください。
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あー……そういえば昨日当たったゴミイベントもあったっけなぁ。
期間限定だからまだマシか。
ところで丁半って、確か賭け事だったよね。
僕もお金に余裕が出来れば、やってみたいなぁ。
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ダイスロール!
目は6、4です。
合計は10で偶数なので、もぐら出現!
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モコモコと地面が盛り上がり、青いモグラが出てきた。
何故かスコップを持っている。
「モグー!」
そいつは僕のハツカイモをスコップで掘り起こし、ムシャムシャ食べ始めた!
「って、おい!? 何で獣がスコップなんて使ってるんだよ!
僕のハツカイモ食べるな、この畜生がァ!」
急いで家に戻る。
あのモグラは強そうだから助っ人を頼むことにする。
「ミーア! 害獣駆除、手伝って!」
「わぁい、旦那様に頼られたですぅ」
「むー」
「ノルスは危ないから、留守番しててね」
ミーアの手首のロープを外してやる。
そしてロープと自作の槍を持って、畑に戻る。
「あのモグラだよ!」
「魔獣っぽいですぅ。
討伐して、コッチノ町に持っていって、お金に変えるですぅ」
ミーアはモグラにナイフを投げる。
が、モグラがスコップでナイフを弾く。
何アイツ強い。
ミーアは近づき、モグラに短剣で斬りかかる。
モグラはスコップで防ごうとするが、ミーアはスコップの持ち手を狙い、スコップを落とさせた。
そしてミーアはそのままモグラを斬りつけた。
モグラは絶命する。
「ふぅ……討伐難易度Cくらいありそうですぅ」
「むっちゃ強いじゃん」
ホブゴブリン・リーダー並って、ヤバいだろ。
そんなのが毎日来るのか。
やめろよ。
◇ ◇ ◇ ◇
昼、僕はカノ山へ行き、仕掛けてあった罠を解除する。
明日からコッチノ町に出かけるので、罠の様子が見れないからね。
なお罠を仕掛けっぱなしにした者は怒られ、山での狩猟や採取が禁止されるから注意だ。
山から帰る途中、木の実を採取しつつ、ふと思う。
今回のイベント、僕が畑を放置している間も害獣やモグラが湧くの?
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当然湧きます。
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ってことは、ミーアには留守番してもらって、畑の世話をしてもらうことにするか。
あのモグラを処理出来るのは彼女しか居ないし。
◇ ◇ ◇ ◇
夕方。
家に帰って、さっそくミーアに留守番を頼んだ。
「嫌ですぅ! ミーアだけ留守番なんて嫌ですぅ!」
「ワガママ言うな、このオタンコナス」
「うるせーですぅ! デカ乳馬鹿女!」
「まぁまぁ2人とも喧嘩しないで」
ミーアとノルスが罵り合っているのを、間に入って止める。
「だとすると困ったな。畑の作物が害獣に食べられるのはともかく、モグラ魔獣が発生するのは危険だぞ。
僕が居ない間に村人に危害が及ぶのは避けたい」
――――――――――――――――――――――――
モグラ魔獣をはじめ、イベントのターゲットは基本的にズークと、ズークの畑の作物のみです。
村人には危害は及ぼさないです。
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「じゃあ最悪、畑は放っておいても大丈夫か。あっ、ミーアには後で畑の被害総額を請求するからね」
「理不尽ですぅ!?」
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ちなみに、遠方へ外出する際は最大10日分、イベントを前倒しに出来ます。
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それを早く言えよ。
じゃあさっそく前倒しに……
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了解!
イベント10日分、前倒しにします!
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「待てぇい! 何勝手に最大日数分、前倒しにしようとしてんだよ!」
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悪いかゴラァ!
俺に気持ち良くイベントを起こさせろ!
俺はお前が苦しむ姿を見ていたいんだよ!
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「何なのこのスキル……」
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害獣が発生しました。×10
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連続でダイスロール!
目は2、6で合計は8で偶数なので、もぐら出現!
目は6、2で合計は8で偶数なので、もぐら出現!
目は4、1で合計は5で奇数なので、作物に病気が発生!
目は3、3で合計は6で偶数なので、もぐら出現!
目は1、5で合計は6で偶数なので、もぐら出現!
目は3、2で合計は5で奇数なので、作物に病気が発生!
目は5、6で合計は11で奇数なので、作物に病気が発生!
目は2、2で合計は4で偶数なので、もぐら出現!
目は1、6で合計は7で奇数なので、作物に病気が発生!
目は2、2で合計は4で偶数なので、もぐら出現!
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アナウンスがヤバいことになっているので、急いで扉を開ける。
「やべぇ! 何だこれーー!!?」
僕のハツカイモが、朝まで元気な緑色だった葉が、黄色になってるーーー!?
しかもモグラ多数、イノシシやカラス、野良犬やら色々な奴らが、畑を掘り返してハツカイモをムシャムシャ食べる。
「くっそぉ! やめろお前らー!!」
僕は畑へと駆け出そうとしたけど、ノルスとミーアが僕の服を引っ張って引き止める。
「さすがにアレ全部相手するのは無理ですぅ。死んじゃいますぅ」
「こればかりはミーアに同意。危険過ぎる」
「だって、僕のハツカイモが! 借金返済がーー!」
ゴン!
「痛ぇ!?」
ゴン、ゴン、ゴン!
「何、何なの!」
僕の頭に、謎のオレンジの果物が降ってくる。
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今回の柑橘類は、デ○ポンです。
甘くておいしいぞ!
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コツン、コツン!
「ちょ!」
コツコツコツコツ!
「や、やめろー!」
僕の頭に緑色の小さな実が降ってくる。
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続いて出た柑橘類は、スダチです。
魚に合うぞ!
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「ズーク、大丈夫?」
「もうやだぁ……」
ノルスが頭をナデナデしてくれる。
僕のメンタルはボロボロだよ。
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超高級チキン肉が股から出現します。×10
――――――――――――――――――――――――
ポン、ポン、ポン!
ポポポーン!
今度は僕のズボンの股から肉が発生した。
ビリビリビリ!
僕のズボンが破れた。
「……。……うわぁああああーーーーん!!」
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1分経過!
肉球魔王様ズが追ってきます。
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どこからともなく現れた肉球魔王様はチキン肉を回収した。
「にゃー(これは酷い)」
周りの惨状を見た肉球魔王様は、仕方ねぇな、って顔して散らばってる柑橘類をフワフワ浮かせて籠に詰めてくれた。
その後畑の方に行って、あっという間にモグラ退治と害獣駆除してくれた。
そして僕の破れたズボンにチョンと触ると、シュシュッとズボンが直ってしまった。
「にゃー(あばよ)」
肉球魔王様は、黒い歪みに飛び込んで消えていった。
何というお人好し。
僕のスキルとはえらい違いだ!
「……ズークのスキルって大変そう」
「そこは同意ですぅ」
こうして僕は、10日分のイベントを前倒しにしたのだった。
なお、畑のハツカイモは9割駄目になってしまった。ぐすん。
◇ ◇ ◇ ◇
翌日。
僕らは3日に1回の、ドコノ村とコッチノ町を往復する寄り合い馬車に乗り、コッチノ町への向かうことにした。
昼前には到着するはずだ。
猫たちに関しては、自由に出入り出来るように家の玄関を少し開けている。
帰ってきた時に居なくても、まぁそれはそれで仕方がない。
1円玉に加え、前倒しイベントで手に入れた柑橘類も、きっちり持ってきている。
寄り合い馬車は2つあり、僕らが乗ってる馬車にはコッチノ町に住むジジイが乗っていた。
道中、ジジイが自慢話をする。
「ワシが若い頃はシルバーランクの冒険者でのぉ、この一帯の魔獣をバシバシ倒しておったんじゃ、かかか」
ジジイのこの話は、5回目である。
僕らはほとんど聞き流している。
……そうだ、せっかく得たスキル【印象操作】を使う、絶好の機会だ。
よーし。試しにジジイに使ってみるぞー。
スキルを発動する際、僕の右手が真っ赤に光る。
お金を稼げと轟き叫ぶ。
範囲は、僕の声が聞こえるくらいの距離、みたいだな。
――――――――――――――――――――――――
ジジイ→ズークの印象を変更します。
どのように思ってるか、を変更してください。
――――――――――――――――――――――――
じゃあ試しに……思わずお小遣いをあげちゃいたくなる孫みたいな感じに変更してくれ。
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了解! トランザム!
――――――――――――――――――――――――
「ワシが若い頃はシルバーランクの……んん?
よく見るとお主、ワシの孫にそっくりじゃのう!
これも何かの縁じゃ。ほら、お小遣いをあげよう。なぁに、遠慮するでない」
「どうも」
わーい。
お金ゲットだぜ。
そして、しばらくして。
「ワシが若い頃はシルバーランクの……んん?
よく見るとお主、ワシの孫にそっくりじゃのう!
これも何かの縁じゃ。ほら、お小遣いをあげよう」
「えっ? いえ、結構です」
「なぁに、遠慮するでない」
何故か2回目のお小遣い、貰っちゃった。
いいのか?
そんな事が5回ほどあり……
「ワシが若い頃はシルバーランクの……んん?
よく見るとお主、ワシの孫にそっくりじゃのう!
これも何かの縁じゃ。ほら、お小遣いをあげよう……無い!
ワシの財布の金が無い!
オイそこの女ども! ワシの金を取ったな!」
「知らないですぅ」
「知りません」
やっべ、調子に乗ってお小遣い貰いまくったら、ジジイの財布の中身全部すっちゃったっぽい。
ジジイがノルスに掴みかかり、ノルスはジジイの感覚を過敏にする。
「ギャァァァアアアアアーーー!!」
「ほら、今のうちにお金返してあげて」
「……仕方ないなぁ」
またお金が減ってるのに気づかれても面倒だから、全額財布に返してあげた。
ジジイが何度もお小遣いをくれようとしたので、もう一度スキルを使って元に戻そうとしたが、どうやら【印象操作】は1人につき1日1回っぽい。
使いどころは慎重に考えなければ。
◇ ◇ ◇ ◇
コッチノ町。
それほど大きな町ではないが、西方面に整備された街道が領都まで走っており、周辺の町や村は、まずコッチノ町を経由して領都へ人や物を運搬している。
その影響で、辺境とは思えないほどそこそこ栄えている町でもある。
コッチノ町に着いた僕らは、まずミーアの案内で冒険者ギルドへ顔を出し、宿の手配をしてもらうことにした。
ギルド経由だと、いくらかお得になるらしい。
冒険者ギルド内部は、昼間から大男達が、楽しそうに酒を飲んでいた。
「このあたりで魔王ルシフォォーの配下の上級悪魔が現れたらしいが、既に倒されたんだってよ!」
「しかも倒したのが1村人だって話だろ? 嘘くせぇよなー!」
「「ギャハハハハハ!!」」
魔王という存在は、長寿のエルフとかでない限り、ほとんどの者は伝記に残っている話しか知らない。
昔話、おとぎ話扱いされているのだ。
王族など国に関わる者ならともかく、庶民にはほとんど危機感が無い。
「宿の手配、終わったですぅ。
ひとまず荷物を預けに行くですぅ」
冒険者ギルドを出る。
そして宿屋に到着だ。
さすがに部屋は僕の家よりは狭い。
ま、そんなに長期滞在しないし、別にいいか。
1円玉の入った袋と柑橘類の入った籠を、とりあえず部屋に置いておく。
交渉に使うために1円玉数枚、柑橘類を数個ほど持ち出す。
取引が決まったら、部屋に取りに来るとしよう。
◇ ◇ ◇ ◇
ノルスには、僕の【印象操作】スキルの事を伝えている。
だけど、彼女はスキルに頼らない交渉でなんとかするから任せておけ、とのことだ。
「多分ズークは、これからもスキルによる獲得物を、コッチノ町で取引をする事になるはず。
だったら、一度きりの取引じゃなく、長期的な関係を築いた方がいい。
私の家族が信頼している商人を紹介する」
僕は商売に関しては門外漢なので、ノルスに任せることにしよう。
「ミーアは別についてこなくていい」
「酷いですぅ!?」
――――――――――――――――――――――――
寒くなってきたけど、体調に気をつけてね!
じゃあ今日のパンツ何色か教えて?
――――――――――――――――――――――――
「何が『じゃあ』だ。言うわけねーだろクソが」
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生意気言いやがって! くらえパンチラの刑!
――――――――――――――――――――――――
ズルッ。
ミーアが履いていたズボンが、町中で脱げる。
ふーん、青色か。
「きゃぁああああ!」
「獣人が突然脱いだぞ!」
町の人が気づいて騒ぐ。
ノルスも気づき、ミーアも自分の下半身を見てびっくりしている。
「アンタ何してんの!?」
「ミーアのせいじゃないですぅ!?」
「貴様かー! ここ最近現れた露出狂の噂はー!」
憲兵っぽいのが現れ、ミーアが追いかけられて、僕らの元を去っていく。
僕が悪いのか? いや、でも僕のパンツの色を答えて、あの羊を再び出すわけにいかないしなぁ。
「邪魔者は消えたし、今からデートしよう」
「ノルス、僕は君のたくましさが羨ましいよ……」
ミーアがどうなったのか気になるけど、先に用事を済ませてしまおう。
ノルスの言ってた商人が居るという店にたどり着く。
店に入ると、カウンターでお○ぱい魚拓を広げて嬉しそうにしているオッサンが「ギャァアアアアアアーーー!!」居たけど、ノルスが殴って気絶させた。
魚拓はよく見たら、猫の足跡、もとい肉球マークがついている。
「にゃー(どれ、俺も追加してやろう)」
ぺったんこ。
いつの間にか現れた肉球魔王様が、肉球スタンプを追加した。
それって店の商品なんじゃ?
いいのかなぁ。
◇ ◇ ◇ ◇
オッサンの目が覚めたので、交渉の時間だ。
このオッサンの名前はルードとか言うらしいけど、オッサンで十分だ。
オッサンが広げていたのは、なんとノルスのおっ○い魚拓だったらしい。
出来心で買ってしまったと。
ノルスの物だったとは知らなかったようだ。
しかも奥さんに内緒で購入したらしく、黙っていてくれ、とのこと。
弱みを握ったノルスは、オッサンを脅しつつ交渉に成功。
今後も何か持ってきたら高値で優遇してくれるらしい。
「ところで、ノルスさん、あなたにお父様から手紙が届いていますよ」
手紙の内容は、治ったのなら王都に来てね、お金はオッサンに払ってるから、オッサンと一緒に来てねとのことだった。
「嫌。私の魚拓で喜んでる変態と一緒に行くとか貞操の危機」
「さすがに友人の子どもに手を出したりしませんよ……」
「私はズークと暮らすことにした。王都行きは断るから、その旨を書いた手紙を送って」
「……お父様から怒られますよ?」
「書かないのなら、私のパパとルードの奥さんに、私がセクハラされたって伝える」
「お手紙ちゃんと書かせていただきますッ!」
僕らは用事を終えたので店を出る。
柑橘類の籠は宿まで取りに来てくれるとのことなので、あとはのんびりするだけだ。
一応柑橘類のイベントはまだ残ってるので、1ヶ月後に村まで商人を派遣しろ、と伝えておいた。
こうして僕らはオッサン相手に商談をし、コッチノ町での用事を終えた。
ついでに町で色々と買い物をして、2日後にドコノ村に帰るのだった。
ズーク君の残り所持感想ポイントは6です。
ミーアは罰金を払って釈放されています。
【追記】残りポイントの計算間違っていました。




