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9.僕は不死身の囚人になる(『鷹の目スキルを獲得、のぞきに使う』(14日)、『「MP消費を抑えるスキル」取得』(永続)、『スキル【不死身】を獲得』(永続))

お待たせし過ぎて多分忘れられている気がするです。

2019/10/22 22:00~2021/3/23 22:00の間に7名の方から感想、イベントを頂きました! ありがとうございます!

今回の【予約】は、マキ様の分を採用しています。

なお様ごめんなさい。


まだ日が昇ったばかりの早朝。

いつものようにチキンを肉球魔王様に持ち逃げされ、今日が始まる。


僕は今、畑にシラカブの種をまいている。

ハツカイモがほぼ全滅してしまったので、代わりの作物として、コッチノ町で種を買ったのだ。


シラカブはスープのお供としても、酢漬けにしても美味しいからね。

僕の畑の作物は全部売却用だけれども。


作物といえば、以前に出てきた柑橘かんきつ類をコッチノ町の商人に全て売ることで、僕の借金返済の目処めどはあと1年半まで減少した。

割と高値で売れたから、びっくりだ。

スキルを得てからというもの、混沌とした日々を送っているけれど、おおむね順調といったところかな。



「にゃーん」



茶色の毛皮のぶち模様の猫が、畑に居る僕の所にやってきた。

口の周りをペロペロしてるけど、虫でも食べたのかな?



「にゃーん」


「はいはい、水が欲しいんだろ。待ってな」



種まきを終え、種と猫に水を与えるために、井戸に水汲みに行く。

この猫も、出会った頃は両手に乗るサイズだったのに、今は大きなカボチャくらいのサイズになった。

月日の流れとは早いものだ。



◇ ◇ ◇ ◇



我が家の朝食は、最近はノルスが作っている。

僕とミーアの分を入れて3人分。


ノルスもミーアも、自分の分は食費を出してくれているので、家計に関してはあまり問題ではないのだけれど。



「おぇー、スープが薄いですぅ」


「黙れ露出狂。塩も香辛料もタダじゃないから嫌なら飲むな」


「ミーアは露出狂じゃないですぅ! アレはズークのせいですぅ!」


「それに関してはごめんよ」



ミーアは町中でパンツを見せた罪で一度投獄されたのだけど、お金を払って釈放してもらったのだ。

僕のこのクソスキルのせいで余計なお金がかかった。

本当、ろくなことしないなこのスキル。


――――――――――――――――――――――――

呼んだ? 今日のパンツの色は?

――――――――――――――――――――――――


「ノーコメント」



僕のズボンがずり落ち、パンツが丸見え。

もうノルスもミーアも慣れて無反応だ。

……嫌な慣れだな!!


そうこうしていると、僕の頭が輝き始めた。

このスキル、僕が使わなくても約1ヶ月ごとに勝手に発動するらしい。


周りの時間が止まり、スープをすすっている2人の動きが止まる。

そしてスキルが発動する。


――――――――――――――――――――――――

スキル【感想乞食】を発動。


以下の7つの感想を得ました。

感想ポイントを7ポイント獲得しました。


『何この…何…?』

『カオスが加速している!

よく考えたら、この少年死ぬまでずっとこの状態なんですね…しかし同情なんてしない!』

『久々ですが、ズーク君・・・なんて不憫な子(≧▽≦)プークスクス』

『>20日で実がなる芋、ハツカイモ 二十日大根芋版。響きがいいw

畑がアレでしたが柑橘が足しになりそう?でよかったです。デ〇ポンは美味いぞ!』

『カオスレベル! 10日分一気は天才ですね。笑

今更だけど…ズークくんの人生めちゃくちゃやんなぁ。…読者としては反省☆反省☆

次の子がいたらこの反省を生かすとして…ズークくんには引き続き実験台になってもらいましょう!

ここまでめちゃくちゃならこれ以上めちゃくちゃになってもあんまり差がない気がするし!ね、ズークくん☆

今読み返してきたのですが、本気でズークくん、かわいそうになってきました』

『10日分まとめて畑が荒れる。直す手間が減るのである意味ラッキーかもしれない』

『いやあ、久々ですが面白いですね。

主人公大変そうだけど彼女もゲットし、能力もアップしてますね』

……

――――――――――――――――――――――――



おい、クソスキル。

お前がやり過なせいで、僕を見てる神様的な存在の一部までもが当惑してるじゃないか!



――――――――――――――――――――――――

お、俺が悪いってのか……?

俺は……俺は悪くねえぞ。だって皆が言ったんだ……そうだ、皆がやれって!

こんなことになるなんて知らなかった! 誰も教えてくんなかっただろっ!

俺は悪くねぇっ!

――――――――――――――――――――――――



えっ、何で急に弱気になってるの?

かえって気味が悪いんだけど。



――――――――――――――――――――――――

このネタもう通じない世代きてるよなぁ……。

――――――――――――――――――――――――



何故だか知らないけどスキルが寂しそうにしている気がする。


ってか、やるなら早くしろ。


――――――――――――――――――――――――

所持感想ポイントは13です。

所持ポイント数5以上なので、ポイント1使用、およびポイント3使用の効果が強制発動します。

まずはポイント1使用から発動。

イベントを1つランダムで起こします。(その話限りで効果は終了)

――――――――――――――――――――――――


いつものように、宙に光のダーツボードが現れ、回り始める。

それから僕の側に光の弓と矢が現れ、弓が引かれる。

ダーツボードに書かれている文字は……



『スキル【不死身】を獲得』

『スキル『予約』を取得』

『《占い》旅の占い師に出会い、強制的に占われます(料金を取られる)』

……



頼むよ、これ以上僕を困らせるイベント来ないでくれよ。


バァーン!

ダーツボードに光の矢が刺さる。

そこに書かれているのは……



――――――――――――――――――――――――

ポイント1使用の効果は『XXXXXXXX』(※)です。

【鷹の目】の効果は14日です。14日したら【鷹の目】スキルは消えるよ。

(※ズーク君には見えない。【鷹の目】スキルを獲得してのぞきに使う)

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

鷹の目ホーク・アイ

説明:スキル使用時、自分を俯瞰ふかんした視界を得る。また、たかのごとく視力が上昇する。

――――――――――――――――――――――――


おおっ、スキル獲得!

ラッキー! 悪くない!


【感想乞食】が終わったのか、時が再び動き出す。


僕はさっそくスキル【鷹の目】を使ってみる。

ふーむ、自分の半径100mくらいを、上から見たような感じで見ることが出来る。

範囲内であれば、ズームして見ることも出来る。

これはなかなか便利なスキルだ。


でも【鷹の目】スキルが使えるのは14日だけかー。

うーん、何に使おう。


……やっぱり覗きかな!

女子が水浴びしている川に行くことにしよう!



◇ ◇ ◇ ◇



村の近くの川には水浴びするためのスペースがあるのだけど、木とわらで出来た囲いがあり、覗き見をする事は出来ない。

また、近くに腕っぷしの強い女子も立っているので、近づこうものならボコボコにされる。


だけど、【鷹の目】を持っている今なら!

女の子の水浴びを覗き放題だ!


僕は【鷹の目】の効果範囲内かつ見張りに見つからない場所に立ち、準備万端。

いくぞぉ、【鷹の目】発動!

おお、2人も水浴びしてるぞラッキー!

視界をズームアーップ!!



「聞いたかの~サヨさんや」


「知ってるぞぇミヨさん。ズークの坊やが、ノルスを……」



僕の視界いっぱいに広がる、シワクチャ80超えのババアの裸姿x2人!!

(若い子は居なかった)



「う゛っ、お゛えぇぇえええええええ!!!」



あまりの生理的不快感により、思わず僕はおう吐してしまう。



――――――――――――――――――――――――

ひゃははははは!! ざまぁぁぁああああああ!!!!

――――――――――――――――――――――――




「あっ! ズークこのやろ、こんな所で何してやがる!」



しゃがみ込んで吐いているのを、女番長に見つかってしまった。

ゴリラのようにガタイの良い女番長が近づいてきて、僕の胸倉を掴む。



「てめぇ、うら若き乙女の覗きとは、いい度胸してんじゃねーか!」


「わざわざババア2人の覗きなんてしないよ……」


「何でババアが2人だって知ってんだぁ? やっぱり覗いてんじゃねぇか!」



やっべバレた!

だけど僕は、ただ今おう吐するほど体調不良。(※自業自得です)


女番長に引きずられ、覗きの現行犯として村の牢屋に入れられた。


村に1つしか無い石造りの牢屋は、普段は冒険者が捕らえた盗賊とかを入れるのに使われるのだけど。

ちょうど誰も居なかったため、僕はそこに放り込まれたのだった。



◇ ◇ ◇ ◇



牢屋でしばらくボーッとしてると、村長がやって来た。



「村の役員の話し合いにより、ズーク、お前を2週間の禁固刑とする」


「そ、そんなぁ」


「罰金が無かっただけマシだと思え」


「はぁぁ……暇だからノルスと喋りたいんだけど」


「それでは罰にならん。2週間、食事を運ぶスカー以外の誰とも会わせない。

ノルスなんぞ連れてきたら……若い2人のことだ、牢屋の鉄柵越しにアレやコレやするだろう。

駄目だ絶対! そんな羨ましいこと絶対にさせんッ!

俺もあんな大きいおっ〇いを使ってあんな事やこんな事をしたいと言うのに!」(※村長はおっぱ〇派)


「ア ナ タ?」



村長の奥さんがニコニコして、後ろから村長の首に腕を回した。

何となくゴゴゴゴゴゴ、という擬音が聞こえてきそうな雰囲気をしている。

絞め殺す気かな?



「やぁハニー。この覗き魔に説教してたところだよ」


「村長の奥さん。さっきこの男、『あいつの胸がノルスくらいあればなぁ』って言ってたよ」


「おいズークてめぇ嘘つくんじゃねぇ!?」


「うふふふ。でも、それに近い事言ってたわねぇ?

息子と同い年くらいの娘に欲情するなんて。これはちょーっとオシオキしなきゃあねぇ」


「ぎゃぁああああああ!?」



村長はズルズルと引きずられていった。

尻に敷かれてるなぁ。


そして僕は一人ぼっちになる。

暇じゃい。


――――――――――――――――――――――――

続いてポイント3使用を発動します。

イベントを1つランダムで起こします。(効果が永続する)

――――――――――――――――――――――――


クソスキルのアナウンスが来た。

というか抽選がまだ残っていたらしい。


ダーツボードが再び現れ、その横に、杖を持った可愛らしい黒服の赤髪女の子が現れる。

さーて、何が当たるかな……


ぽこん!

女の子がダーツボードに火を放つ。

火と女の子はすぐに消えた。

って、危なぁ! 火事になったらどうするんだ!



――――――――――――――――――――――――

ポイント3使用の効果は『「MP消費を抑えるスキル」取得イベント』です。

スキル【予約】を与えます。

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

【予約】

説明:使用したいMP消費型のスキルや魔法を予約スキルに登録する

現在MP最大時の無駄になるMP回復分がこのスキルにストックされていき、使用MPが溜まった瞬間に順次発動出来る。

――――――――――――――――――――――――


やった!

有用スキルが手に入った!

これで【創造魔法】が使えるようになるかも!


スキルのせいで(※自業自得です)投獄されたけど、それを差し引いても運が良すぎる。


MPの回復は、1時間で満タンになるくらいの速度らしい。

つまり僕のMP回復は1日で240くらい。

【創造魔法】に使用するMPは1万超え。


MPを全然使わないと仮定した場合、【創造魔法】が使えるのは42日目以降。

1ヶ月半に1度使えるか、ってとこかな。


とりあえず、【創造魔法】を予約スキルに登録!

作る物は黄金の像(MP消費10,000)


【創造魔法】のリストには創造物の名前と消費MPしか表示されていないから、どんな物が出来るのか詳細は分からない。

なので、お金になりそうな無難な物をチョイスした。

来月が楽しみだ、ぐへへ。


――――――――――――――――――――――――

それと、スキル【感想乞食】発動時、所持感想ポイント13でした。

所持ポイント数/5(小数点以下切り上げ)回以上スキルを使用しなければならないので、13÷5=2.6。

切り上げで3。よって、3回スキルを使用しなければなりません。

あと1回スキルを使用してください。

――――――――――――――――――――――――



「確か、持ってるポイントの残りって9だよな!?

じゃあポイント8使用、自分で感想を1つ選んで発動、効果が永続するって奴が使えるんじゃないのか!」


――――――――――――――――――――――――

使えます。……チッ、気づいてしまったか。

――――――――――――――――――――――――


「よーし、ポイント8使用、自分で感想を1つ選んで発動、効果が永続する、を発動だ。

感想の一覧を見せてくれ。今から選ぶ」



【感想乞食】は、しぶしぶといった感じで光のボードを見せてくれた。

今まで起こったイベントの他に、起きたことのないイベントも選べるらしい。


今後、ポイント8使用を再び発動出来る機会が有るかどうかわからない。

だとすれば、この中で一番価値があるのを選ばないといけないな。


僕はうんうん悩み、イベントを1つ1つ検討していく。

この中で一番価値の有るイベントは何だろう。

金で決して買えないくらい価値の有るのは……


うん、これだ!



「『スキル【不死身】を獲得』で決定だ!」



――――――――――――――――――――――――

あ、それで良かったの? では【不死身】どうぞ。

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

【不死身】

説明:常時発動(MP消費なし)。いかなる傷、打撃、病気、苦痛やスキルを受けても肉体活動が可能となる。

(ただしダメージは受けます。痛覚耐性系&再生系スキルとセットでの取得をオススメ致します)

――――――――――――――――――――――――



「これで僕は無敵になったぜー!

……待って、ダメージは受けますって何だよ?

死ななくなるんだよね?」



――――――――――――――――――――――――

はい、体が真っ二つになっても死にません。真っ二つの体はそれぞれ動けます。

ですが普通にダメージは受けるし、めちゃ痛いです。

体の細胞全部が不死身になるから、普通だったら神経が駄目になって痛みすら無くなるような超重症の火傷でも、痛みを感じる事が出来るんだ!

やったね!

――――――――――――――――――――――――



「ただのドMスキルじゃんかクソがーー!!」



【痛覚耐性】や【再生】スキルとセットで取得しろ、って言われても、そもそもスキルは気軽にホイホイ入手出来るものではない。

僕に何個もスキルを与えている、この【感想乞食】スキルがおかしいのだ。


……まあいいか。

悔やんだところで後戻りは出来ないのだ。


【感想乞食】スキルが終了し、再び牢屋の退屈な時間がこたえる。


こんな狭い村なので、牢屋の見張りも居ない。

僕の事をある程度信頼(?)してくれている証でもあるのだろう。

話し相手でも居ればいいのだけど。


暇だから【鷹の目】でも使ってよーっと。



◇ ◇ ◇ ◇



夕食のパンを持ってきてくれたスカーに、僕の家の畑をみるようにミーアに言うよう頼んだ。



「何でミーア? ノルスにやらせたらいいだろ」


「ノルスはあんまり体が強くないからね」


「そうかぁ?」



僕はモグモグとパンを食べながら答えた。

ミーアは勝手に居候してるのだから、こんな時くらいこき使ってもいいだろう。



「で、だ。覗き、やったんだろ。どうだった?」


「ごっくん。シワクチャババアの裸を見ただけ……うっ、思い出したら……おぇぇええええ!!!?」


「うわ汚ぇ!?」



せっかく食べた食事をリバースしてしまった。


スカーは、雑巾ぞうきんを取って来てやるよ、とこの場を離れた。

あぁ、優しさが身に染みる。


――――――――――――――――――――――――

同性に心から優しくされたので、同性からモテた判定となります。

よってイベントの一部が、1度だけ凶悪化します。

――――――――――――――――――――――――



「おいクソスキル、どういうことか説明しろよ」



だけど【感想乞食】スキルは、この日はうんともすんとも言わなくなった。



◇ ◇ ◇ ◇



翌日。

僕の股から、いつものようにチキンが生えてくるはずなのだけど、様子がおかしい。


――――――――――――――――――――――――

イベント凶悪化!

上級悪魔招来!

――――――――――――――――――――――――



僕の股間から黒い歪が生じ、そこから黒色のにわとりが現れる。

待て、上級悪魔とか言わなかったか。


通常の5倍の大きさの黒い鶏の目は赤く光り、尻尾は蛇になっている。

こいつは、伝説の上級悪魔コカトリス……!



「コケーッコココ(俺っちは魔王ルシフォォー様に仕える上級悪魔の1人、名はチキン)」


「コカトリスじゃないのかよ!」



さらに、時空に穴が開き、いつものように肉球魔王様が……あれ?

赤髪で冒険者っぽい恰好をした、知らない女性だ。



「猫さんは忙しいので、私がやって来ました」


「誰?」


「ヨツバです。ま、私の事はどうでもいいでしょう。

さっさとチキンの奪い合いをしますよ」


「いや要らない」



いつもの鶏肉ならともかく、上級悪魔とか要らない。



「コケコッコ(俺っちはただのチキンじゃないぜ。従来の石化の目の力に加え、吸血鬼の力も手に入れた!

あん? お前、俺っちの仲間のバフォっち(※バフォォーメット。6話参照)を殺した奴だな!

よくもやってくれたな! くたばれ!)」



鶏が、目にもとまらぬ速さで、突いてきた。

僕の体がえぐられ、何ヶ所も穴が開く。



「いでぇぇえええええ!?」


「コケーッケッケ(はーっはっはァ! 俺っちは強靭・無敵・最強!

吸血鬼ヴァンパイアの力が加わった俺っちはまさにヴァンプ・オブ・チキ)」



ビキッ!

上級悪魔チキンが、一瞬で氷漬けにされた。


バリーン!

凍ったチキンの体が、8等分に砕けた。



「勝手に私の推しを名乗るのはやめてもらえますか。殺しますよ?」


「もう上級悪魔さん、死んでるんだけど」


「いいえ、まだ死んでません。

吸血鬼を殺すためには、神聖な力か、太陽の力が必要です」


「コ……コケー……(は、はは……そうさ、俺っちは体がバラバラになったって、時間が経てば元通りさ。

そして体が復活したらお前らを殺して、村人を殺して、この国の人間を殺して……)」



しかし、圧倒的な力を持つヨツバの目は、死にゆく者を見る目をしていた。

上級悪魔チキンは、何故か生きながらへびに飲まれるカエルの気持ちを感じ取った。


コォォォォォ。



「この呼吸です。不届き者の吸血鬼を殺すのは、やはり太陽の力を持つこの呼吸が相応しい!」



ヨツバが、氷で出来た剣を腕から生やし、チキンを一閃いっせんする。


じゅぅぅううううううううう!!



「コケ!?(うわぁ!? この力は!? 溶ける!?

凍ってたはずの俺っちの体が溶けて無くなるぅ!?

これは、この効果はまさか!?)」


「そうですよ! 太陽の力ですよ、このマヌケがァーッ!」


「ケェェェェェ!!?(ぎゃぁぁああああああああ!!?)」



上級悪魔チキンは、生きながらにドロドロに溶かされ、消えてしまった。

すげー。



「さて、帰りますか」


「これだけかき乱しておいて、そんなアッサリ帰るの!?」



ヨツバは黒い渦の中に飛び込み、消えていった。

……彼女は一体何だったの?



「いたたたた……」



脳内麻薬が切れたのか、思い出したように、体が痛み出す。


体に穴が沢山開いた僕は、まともに動くことが出来ない。

というか普通こんだけ失血してれば死ぬ。

【不死身】なので死なないのだけど。


その後、朝食を持ってきたスカーがズタボロの僕を見て、慌てて村長を呼びに行った。

村長には、牢屋の中のチキンが溶けた跡が、魔王ルシフォォーの配下の上級悪魔のものであると伝えた。


分かってたことだけど、信じてはもらえなかった。

死に際の者の狂言扱いされた。

真偽を判定出来る神父様は、王都に報告に向かってまだ帰って来てないのだ。


とりあえず、全身負傷した僕は、もう助かる見込みが無いとのことで、担架たんかで僕の家に連れていかれた。

誰にやられたか村長やスカーに何度も聞かれたけど、上級悪魔チキンだ、と何度も伝えた。

多分、僕をこんなにした奴は村人の誰かだと思ったんだろう。


そして僕は家の布団に横たわり、ノルスとミーアに泣かれつつ、意識を手放したのだった。


……。


…………。



翌日、僕の体は元通りに戻った。

傷も全て塞がっている。

【不死身】すげー。


そして、その後また投獄された。

まだ刑期が残っていたからね。

残念。


次回は節目の10話ですが、いつになるやら。

ズーク君の残り所持感想ポイントは1です。


現在のズーク君の状態

●スキル【感想乞食】【猫まっしぐら】【創造魔法】【印象操作】【予約】【不死身】

●永続効果

・異性だけにモテると修羅場、同性にモテるとイベント凶悪化、男女両方からモテると・・・?

・畑の作物を狙った害獣がくる!スキルを使った際にダイスロールして奇数なら勝ち偶数なら負けてちょっと作物食べられる

・今日のパンツ何色か教えて?教えてくれる場合「そのパンツと同じ色、または柄の羊をゲット」教えてくれない場合「強制的パンチラ」

・毎日、股からチキンがでてきて、チキン長者になるはずが、肉球魔王さまズが追いかけてチキンレース成金か?


※【創造魔法】の【予約】:黄金の像(MP消費10,000)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ズークくんは猫パの会議に呼ばれているのでしょうか? (こっちで書くことによってズークくんのポイント稼ぎをしています、お許しください)
[一言] レーザーポインター食いつき悪いんですね、頭いい!きっと「あの赤い点はまやかしじゃ!騙されんぞ!」って思っているのですね。 ちなみにうちの猫様たちも気まぐれ屋さん様のお猫様と同じ短毛種なんで…
[良い点] 更新嬉しいです!わーい!いつも笑わせてくれてありがとうございます。 予約スキルよかったねえ、ズークくん!MP消費がなお様の予約スキルアイディアに繋がってすごいです。 バフォォーメットさん…
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