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第1話 終わりと始まり■

小説書き初心者で文体や言葉回しがかなり

拙くお見苦しい可能性が高いです。

書きながら整えていきたいと思います。

私はとあるゲームで世界一の実力を持っている。

誰よりも強く勇敢で何者にも怯む事だってないし

怯えることもない。

自分の人生をこれに捧げ時間を費やした

現実は辛く厳しいけどこれがあるから

なんとか人の形を保ち生きていられたと言っても過言ではない。


そんな私の命と言っていいほどまで没頭したゲームが

今まさにサービスを終了しようとしている


「嘘だ……」


画面の前で大号泣しながら頭を抱える。

サービス終了の告知があったのは数ヶ月前。

長いようで短かった10年の月日に思いを馳せる。

荒廃的な世界観を舞台にしたオンラインアクションゲーム

そのゲーム性と豊富な衣装に惹かれて始めた

確かにここ数年は少し迷走気味でどうしたんだろうと

思っていたけどまさかここまで追い詰められていたとは……


泣きはらして真っ赤になった眼をこすりながら

専用の機械を頭に装着し、ゲームを立ち上げる


「お帰りなさいませ緋衣様」


…とゲーム中の自室でいつものようにローダンがお出迎えをしてくれた

この子はサポートキャラポジションのNPCでお知らせやログインボーナスを

渡してくれるだけの存在なんだけど

課金をすることで見た目の変更が可能である

ちなみに私はこの子をイケメンにカスタムしました。


「…はぁ。ローダン君とももうお別れなんだね」


最後だからと沢山スクショをしながら話しかける。


「ご用件はなんでしょうか」


朗らかな笑みを浮かべる彼からログインボーナスを受け取り

運営さんからの最後のメッセージを読み自室を後にした。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



少しだけ歩き広場に着くと見慣れた子を見つけ

沈んだ心が少しだけ上向きになる。


「おはよう。緋衣ちゃん」


私の数少ないネット友達のYuraちゃん

可愛らしいアバターと発言で私の癒しでもある。

現実でもきっと可愛い女の子に違いない。


「おはよ、Yuraちゃん。珍しいねこんな時間に」

「だって今日で終わっちゃうんだもん。少しでも長い時間居たいなって。

 早めにログインしてみたの」


にこりと微笑んでエモートして見せるYuraちゃんに思わず頬が緩む。


「ね、早くクエストに行こうよ最後に幻のレア素材手に入れたいんだ」


急かすように飛び跳ねるYuraちゃんの後に続いて私もクエストに参加する。

幻のレア素材とは、排出が0.001%未満の激レア素材で

サービス終了間近の現在でもGET情報が全くなく、むしろ誰かが流したデマなんじゃ

ないの?という噂まで流れている素材だ。

ゲーム内アイテムをほぼ全て入手している私としてもなんとしてもお目にかかりたい。


「よし、頑張るぞ~!」


戦場に着きYuraちゃんが魔法を唱える彼女はどちらかというと

支援型のキャラで私は前衛特化型のキャラだ。

と言ってもただ支援をするだけでなく前線にも出てきて

敵をなぎ倒すものだから心強い。


「ザコ敵からは流石に何も落ないね。やっぱりボスかな」

「そうだね。奥に進もう」


時折目の前に現れる敵を倒しつつ奥に進むと

画面に収まりきらないくらい大きな敵が現れた。

これがまた固くてすばしっこくて結構厄介なんだけど

もう何百と倒して弱点も攻撃パターンも覚えてしまっている。


「Yuraちゃん支援お願いね。すぐ済ませてくる」

「うん!気をつけてね」


一気に加速し敵に近づきその巨大な身体に登る

こちらを振り落とそうと大きく体を揺さぶってみせるが

武器を突きたて落ちないようにしがみつき頭部まで上り

目玉に大きな攻撃を放つ。


「ーーーーーーーー!!!!」


敵は金切り声を上げて体を丸める。

通常はこの声を聞くだけで身体が麻痺状態になるんだけど

全属性無効のチート級の装備を纏っている私には全く効かない

装備にかなりお金をかけてるからこのぐらいは防いでもらわないと。

更に追い打ちをかけるように何度も目玉を狙う。

身体は硬いが粘膜の部分は柔くダメージが通りやすい

敵のゲージがごりごり削れていくのが気持ちがいい。


「ーーーー!」


また金切り声をあげる。何度やられても効かない

先程より少しか細いその声に終わりが近いか?と

また攻撃を放とうとした瞬間


「ーーーーーとう」


悲鳴のような絶叫の中で聞き覚えのない声が聞こえた気がして思わず固まってしまった。

今まで何百と倒してきてこんな声は一度も聞こえた事がない。


「あ…」


思わずバランスを崩してしまい頭部から落下する

攻撃がくるかと一瞬焦ったが敵の体力を削りきった

みたいで向こうの身体が崩れかけていた。


(レアアイテムはドロップしなかったか…)


少し残念な気持ちでその姿を見つめていると


「おめでとう」


また聞き覚えのない声が聞こえて

瞬間、私の視界がブラックアウトした


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



「ん?」


次に画面が付いた時にはゲーム内の自室にいた

どうやら回線が落ちて強制的に戦場からログアウト

してしまったらしい。

時計を見るとサービス終了まで残り30分を切っていた


「……あれ?そんなに時間経ってたっけ」


確かゲームを始めたのは午前中。でも今は

23時30分になっている。そんなに時間が経っているとは

まるで記憶にない。

不思議に思ってベッドで暫く考え事をしていると

ローダン君が自分のすぐ側に居ることに気がついた。


ローダン君はイベントがある時以外は定位置から動かない筈なんだけど……


「おはようございます。緋衣様」


あぁ、もしかしてこれ最後のイベントなんだろうか

だとしたら間に合って良かった。運営さんも粋な事を…

それにしても今日でローダン君ともこのゲームとも

お別れなのか……そういえばYuraちゃんはどうしてるだろう…


「おや、本日は写真を撮って下さらないのですね」

「!?」


ぼんやりと考え事をしていると唐突に話を切り出され

ベッドから転げ落ちてしまった。こんなモーション

あったっけ


「写、写真……!?スクショの事?」

「すくしょ……?」


ふむ。と小首を傾げるローダン君を見て物凄い

違和感を感じる。というか普通に会話が成立している

事実と、自分のアバターがまるで自分の身体のように

動かせる事に気が付いて、ローダン君に手を伸ばす。


「触れる!!!」


急に頭を撫でられたことに驚いたのかローダン君は

少しだけ顔を赤くした。それをみて私は確信した

これは夢だ。

だってこんなモーションある筈がないし

こんなにヌルヌル自分の身体が動かせるはずも無い。

もしかしたらサービス終了というのも私の悪い夢?


それならやりたかった事をやってやろう、とめいいっぱい

ローダン君を撫でくり回す。されるがままに固まって

いる姿が可愛くて仕方ない。自分好みにカスタム

したのだから愛着が湧かない筈がないんだよね。


「あ、あの……」


そういえばYuraちゃんはどうしてるんだろう。

夢とはいえこれだけリアルなら何処かに居るかも

しれない



「あの、緋衣様……そろそろ」

「ローダン君、私ちょっと広場に行ってくるね」

「え、あ……はい。お気をつけて。」


困惑してるローダン君に見送られながらすこし急ぎ足で

広場に向かう。時計を見たらゲーム終了まであと15分に

なっていた。


「yuraちゃん!」

「緋衣ちゃん…!」


広場でぽつんと1人で佇んでいるyuraちゃんを見つけて

急いで駆け寄る。


「よかった。もう会えないと思った……」

「ごめんね急に回線落ちして。」

「実は私もそうだったの。復帰に時間が掛かってたみたいで

気が付いたらこんな時間に…」

「そうだったんだ!会えてよかったよ」

「うん。本当に……………あの……それでね……?」

「?」

「…………」


なんだか言い出しにくそうに俯き、yuraちゃんは黙ってしまった

どうしたんだろうと顔を覗き込むと目に涙を浮かべて震えていた


「Yuraちゃ……」

「……お別れしたくない。」

「え?」

「このゲームが終わったら、私と緋衣ちゃんはもう2度と会えなくなっちゃうでしょ?」

「……あ」


yuraちゃんとはゲーム内で出会ってもう6年になる

とはいえ交流はゲームの中だけでオフ会とかメールの

やり取りとかはしたことが無いし連絡先も知らない。

確かにこのゲームが終わりを迎えてしまえば

もう出会うことはないのかもしれない。


「その前に緋衣ちゃんに……」

「ねぇyuraちゃん。嫌でなければ連絡先交換しない?」


そう思った途端寂しくなってついこんな事を口走ってしまった

急にこんな事言い出して気味悪がられたらどうしよう。


「あ、ええと。その……」

「……うん。勿論だよ」


にこりとはにかんでみせたyuraちゃんはすぐに

ゲーム内メッセにアドレスを送ってくれた

これでお別れする事がなくなる。一安心


「…それでね、緋衣ちゃんずっと言おうと思ってたんだけど……」

「うん?」


yuraちゃんが再び話を切り出した途端。

まるで世界が消えてしまうようなノイズが足元から

ざあ、と広がった。慌ててyuraちゃんを見ると

まるで何も気づいてないかのように平然と話を続けている


「ーーなーー。」


ぶつん、ぶつんと文字が途切れyuraちゃんが

何を話しているのか読み取れない


「ねぇ!yuraちゃんこれ……」

「ーー。ーーん。」


「ーーごめんね」


今度は視界がどんどん白くなっていく

自分の身体が飲み込まれていくような感覚に恐怖を覚える。

もう夢から醒めるのだろうか。

言いようのない不安を抱えながらも呑気にそんな事を考えていた



夢から醒めることはなく、このゲームの中に閉じ込められる事になるなんて思いもせずに。



キャラ設定のようなもの



挿絵(By みてみん)

緋衣(主人公)左とYura(右)

挿絵(By みてみん)

ローダン君

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