英雄と転生
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転生する上での最低限の情報を聞いた。
それによると───、
・転生しても今の記憶は引き継がれるらしい。
・どんな家に産まれるかはランダムだが、比較的裕福な家に生まれるらしい。
・力は一旦失うが俺の努力次第で今以上にもなれるらしい。
・幸福の女神シノアによる加護があるらしい。
・複雑な運命の絡み合いがあるらしい。
・あと、転生特典として困ったことがあれば夢の中でシノア様と数回は面会できるらしい。
・ある程度育てば一度、シノア様自ら俺に面会するらしい。
「───以上が転生についてです」
「わかりました」
実感はわかないがそのうち、湧いてくるだろう。
「· · ·」
「えっと· · ·オルガさん?どうしてそんなに私を見つめているのでしょうか· · ·?」
真剣な顔でシノア様を見つめる俺。
そしてそれに疑問を抱くシノア様。
だが、理由はきちんとある。
誰もが納得するようなきちんとした理由が。
「あ、最後にシノア様のその大きくも小さくもない胸を目に焼き付けようと──」
「───っ!!」
顔を赤らめ、シノア様は手で胸部を覆う。
あれ。
あれれ。
あれれれれれれ。
俺はさっきみたいに胸を突き出すようにしてくれると思ったんだけど。
いやでも、このウブな反応もいい。
深呼吸をして落ち着いたシノア様が俺に言う。
「──では。オルガさん、よろしいでしょうか」
「あ、いえ、もうちょっと目に────」
「· · ·では。オルガさん、よろしいでしょうか」
「· · ·はい」
一度は反意したものの何故か笑顔に恐怖を感じた俺は同意する。
俺が同意の意を示すと、シノア様は立ち上がり、両手を大きく広げ、薄いピンクの髪がふわっとなる。
「オルガさん!あなたは今、神からの使命と共に再び下界へと旅立ちます!どうか、あなたの2度目の人生に多くの幸福がありますように!!」
幸福の女神シノアはそう言うとありったけの神力を込めて神々の最高位に属する魔法を放つ。
「───『転生』───!」
そして俺の意識は遠くへと去っていった。