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最終章 星明かりの夜に

星明りの夜に(限界集落に住む)


 僕は夜ときどき散歩をする。メタボ対策のためには、本当はジョギングすればよいのだが、元来怠け者の僕はのろのろ歩くことが多い。(たまに数十メートル走って満足してしまうのだ)

 僕の住んでいるところは四国の山奥で標高200メートル以上の集落だ。夜になると昼以上にひっそりとしていて、散歩をしていても街灯が薄ぼんやりとした光を落としているだけ。都会のように人工の光が溢れていないので、澄んだ空気の中、星がよく見える。

月の出ていないある夜、暗い道を歩いていると、気づいたことがあった。空を見上げると険しい山々は真っ黒なのだが、夜空は星明りで山よりも薄っすらと明るい。山の深い黒よりも空は僅かに白っぽい黒なのだ。こんな光景を楽しめるのは、山奥に住んでいる特権だろう。

 だからといって僕の住んでいるところが住みやすいといえば、そうではない。平成の大合併で村が町に吸収されてから人口減少は凄まじい。3年前の合併時には1800人余りいたのが現在では現在では約1630人・・・・・・。地元で働いている友人の実感では実数としては1500人を切っているのではないかということだ。村役場がなくなると、その周辺の商店は一気に減少する。診療所も入院施設は廃止され、高校の分校も募集停止となった。共同体として辛うじて機能しているが、様々なところでほころびが出てきている。そして、一番問題なのが、そこに住む人たちが「寂れるのは仕方がない」と諦めていることなのだ。(僕も含めて)

 

 おそらく日本全国のほとんどの田舎が同じような状況だと思う。田舎はますます過疎に拍車がかかり、都市部とその周辺は相変わらず人が増えていく。僕はもともとこの地域の人間ではないので、正直現状に対してそれほど深い思い入れはない。現実問題として果たして今後、今住んでいる所で住み続けていられるか? という危惧があるだけだ。しかし、それでも今進んでいる事態はおかしいのではないかと思う。森林や田畑を抱える生産拠点である上流域が解体すれば、もっぱら消費専門の下流域(都市部)はちゃんと機能するのだろうか?

 世界はますますボーダーレスになっているような気もするし、その反動で保護主義的な色合いも浮かんでいる気もする。はたして円やドルでずっと外国のモノを買うことができるのだろうか?

 わからない。

 そして僕は10年後、いったいどこにいるのだろう・・・・・・。


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