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老ウサギと裏庭でぼんやりする

 僕の家には小さな裏庭がある。

 特に手入れをしているわけではないので、いろんな雑草も生えている。

 その小さな庭にも木は植えてある。クマの木は高さ3メートル以上あり、庭一番の大木だ。その他に紫木蓮、楓、金木犀、ナンテンが植えられている。

ところで最近初めて見た花は、楓である。楓の花は葉っぱの下で開くのだが、紅色の花びらが2枚(だと思う)、蝶が羽を広げて葉の上で休憩しているような感じで雅に咲いている。49年生きてきて、初めて楓の花を見た!と感動したのだが、一方で自分はこの歳まで何を見てきたのだろか?という気がしないでもない。(後からわかったことだが、これは花ではなく実だとのこと。しかし、どうみても花のような気がするのだが・・・・・・)

 雑草もいろいろ生えていて、羊歯のようなもの、小さな笹、野バラっぽいもの、三つ葉、などなど名前をしらない草があちこちとしぶとく生きている。実は僕はそんな雑草が結構好きである。地味で謙虚・・・そんなところがいい。雑草といっても、タンポポやユキノシタ、サクラソウ、などは美しい花を咲かせてくれるので、観ていて非常に得をした気がする。今年はサクラソウの当たり年で、溝の端まで可憐な花を咲かせてくれていた。

 さて、この庭は今年12歳の老ウサギ、らぶが育ったところでもある。

 らぶは12歳なので、白内障のため目が不自由、筋肉が衰えたのか関節が硬くなったのか真っ直ぐ歩くこともできない。(いつも左側に傾いてよぼよぼと歩いている)若くて元気な頃は、この庭で放し飼いにすることはできなかった。当時は地面に金網の檻を直接置いて、その中にらぶを入れ、脱走させないようにしていた。放し飼いにすると、文字通り脱兎のごとく逃げるのだ。

しかし、今は耳を触覚がわりに、よろよろよたよたと歩くしかないので、放置しても大丈夫だ。らぶはオスは鼻をくんくんさせながら雑草をむしゃむしゃ食べたり、マーキング?のためにおしっこをしたり、そうかと思うと突然停止してぐーぐー眠りこけたりと、見ていて飽きない。彼を見ていると、自然とまわりの草や木にも目が行き、20分30分はあっという間に過ぎている。楓の花を発見したのも、らぶといっしょにいたときだ。

娘曰く「ウサギ小屋にいるときは、耳が垂れているけど、庭にいるときは耳がピンと立っているので、庭にいる方が嬉しいのでは」とのこと。ときどきアナウサギの遺伝子が命令するのか、地面を前足の強靭な爪でがっがっがっと掘っている。

ウサギは脳が小さいためか、らぶが猫や犬のように何かを深く考えていることはほとんどないと個人的にそう思う。食べること、寝ること、排泄すること、子孫を残すこと、ジャンプしたり走ること・・・ウサギの人生はシンプルである。

らぶは一度お見合いをしたけどうまくいかず、結局子孫を残せなかった。妻は「らぶの人生楽しかったのかなぁ?」と言い、母は「これだけみんなに可愛がられて、よかったのでは」と言う。しかし本人はそんなこと、どうでもいいといった雰囲気だ。まわりがどうあろうが、自分は自分のことで精一杯です!そんなところがまた、ウサギがペットとして愛され続ける人気の理由でもあるだろう。人生に疲れたら、ウサギを飼ってみればいいのではと思う。


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