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悲しい鍋、苦しい鍋

「哀しい鍋と苦しい鍋」

 20年以上前のことだけど、僕は京都に住んでいた。福祉関係の仕事をしていたのだが、同じ職種の仲間と忘年会をやろうということになった。当時みんな貧乏で、会費は3000円ぽっきりで、忘年会なので鍋(?)ということに決まった。たまには変わったものが食べたいということで、それじゃあ「かにすき」はどうだという意見が出て、みんな「おーっ、それはすごい!」ということで、「かにすき」に決定した。

 賢明な読者諸兄はこの時点でお分かりかと思うが、貧乏な青年福祉労働者は無知なのである。20年以上前とはいえ一人3000円の「かにすき」とはどんなものであるか?その鍋を見たとき、僕らは言葉を失った。

「蟹が、な、な、ない・・・」

「ホント・・・・・・」

 鍋の中には数本の貧相な蟹の足があり、白菜、ねぎ、しいたけ、豆腐がお茶を濁していた。そのときの味は覚えているはずもなく、逆上したわれわれは居酒屋で痛飲したのである。これが「哀しい鍋」の物語である。

 もうひとつの「苦しい鍋」の話をしよう。

 この話は最近のことである。

 おととしの3月末に山口県の湯田温泉に奥さんと二人で旅行した。山口県といえば「ふく」! インターネットで方々検索し、安くて美味しそうで小奇麗そうな旅館を予約した。(僕の奥さんは美味しいものを食べる事に関しては、異常に頑張る人です)期間限定の「ふく」のコース(大特価)をゲットしたわれわれは(奥さんと僕ですが)西の小京都と呼ばれる山口市を目指したのです。

 ところで、その「ふく」のコースは創作料理で、だから和洋混合で、それで途中でステーキも出てきたんよ。(山口弁です)大変美味しかったのだけど、量がすごい。途中のステーキでお腹がいっぱいになってしまった。まだ「ふく」をほとんど食べていないのに・・・どーするんだ?

 しかし、うちの奥さんはこのような状況で異常な力を発揮する人だった。以前北海道のすすきのに飲みに言ったとき、(これも20年以上前のこと)おつまみの量が大変多くて、それを見ただけで食欲をなくした僕を尻目に完全制覇した強者です。

今回も「もったいない!」の一言で、ふくさし、ふくちり、ふくぞうすいを完食! 私も彼女の気迫の巻き込まれて、うんうんと唸りながらも、同じく完食。美味しいけれど苦しい鍋の物語でした。

 最後に一言、旅館の夕食はどうしてひとり分が3人前くらいあるのでしょうか? 謎ですね。



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