恋の手ほどき、お受け致しますわ。~プロローグ~
恋も教養も、そして男性への接し方も何もかも、全て書物に書かれていた知識を鵜呑みにしているだけ。彼女の物心がつく前に、両親は自由気ままに自由恋愛旅行へと行ってしまった。王族子女ドリアーヌは、魔術騎士サシャをお供に引き連れて、自分も自由恋愛に旅立つことを決心。果たして恋と教養と気持ちの変化を彼女は素直に受け入れることが出来るのでしょうか。
「お待ち下さい! 王族たる貴女様が、城を守らずにどこへ行こうとされるおつもりか?」
「決まっているわ。わたくしも自由恋愛旅行とやらに羽を伸ばすの。子女に全てを任せる王など、それはもはや、国を治める器なしと誰もがみなすことよ! わたくしにだって、恋愛とやらに現を抜かす権利はあるはずだわ。騎士の貴女にわたくしを止める権利があるとでもいうのかしら?」
「しかしドリアーヌさまは恋のイロハなど、まるで存ぜぬではございませんか! いえ、恋はおろか常識も知識も教養も、その全ては古書に書かれていたことを出まかせにおっしゃっているだけに過ぎませぬ。そんな貴女様が、どうして知らぬ外へと旅立たれるとお思いなのでございましょうか」
「お、お黙りになってくださるかしら。それならなおのこと、城に留まっていてはそれら全ての新しき知識を覚えることなど出来はしないわ。そうでなくて?」
「左様にござりまするが、私めは男性のことをドリアーヌさまにお教えすることは出来かねます。私めは、王に仕えるだけの騎士。それだけのお役目にございます。どうしても恋をお知りになりたいと仰るのであれば、私めを供にお連れ下さりますようお願い致します。ただし知らぬ国で出会う男性方との接しは、貴女様だけのお力でお進みくださいませ。私めは害をなす輩、害となる知識を与える者を排除するだけに止まらせて頂きます」
「そ、それで構わないわ。サシャに恋のほどきを受けられるなら城を出る必要なんてないもの。貴女はやるべきことをするだけでよくってよ。わたくしだって王族ですもの。何だってやればできるはずだわ!」
「期待しております。そして、いずれ傍らに置くお相手を、王女たる貴女様がお決めになられることを期待しております」
「ふふん、いいわ。恋など簡単に決まっているわ! わたくしの魅力を存分に知らしめてみせるわ」
王族子女ドリアーヌは、王不在の城を留守にして仕えの騎士をお供に、自由恋愛旅行に行くことを決めた。恋の相手と共に戻って来たその時、王女ドリアーヌとその相手との物語が幕を開くかもしれない。