作者、無怖公に混乱す3
私が混乱し、無怖公が怒っている中、ジャック・ド・モレーの霊は嬉しそうに無怖公の記憶を検索していた。
霞のような不安定だった姿から青年の時の、はつらつとした姿に変わり、魅力的な笑顔を振り撒きながら、友のたどった人生を見つめてる。
テンプル騎士団は、フランスで悪魔にされたとしても、異教徒と戦うスペインや、諸外国ではその処遇は悪くは無かった。
騎士団の解散は覆らなかったけれど、それなりに彼らは人生を送ることが出来たようだった。
そう、私のテンプル騎士団最期の総長モレー、彼が一番気にしていたのは、聖杯とかの遺物よりも家族や仲間の事。
だから、時間稼ぎの為に激しい拷問を受けても、決して負けず、生きながら火炙りにされて死ぬ事を選んだ。
と、言うわけで、テンプル騎士団の宝探しの設定はモレーに却下され、なんだか面倒くさい騎士団の話になる。
本物の宝とは、家族と友人。
それはベタであっても、それなりに嫌いな展開では無いけれど、物語の始まる前から友情や家族を宝にされるのは、話を作る人間には痛い。
しかし…。よくまあ、こんな都合のいい人物がこのタイミングで浮かび上がるもんだ。
無怖公。十字軍に参加したために、ヨーロッパの殆どの騎士団に面識がある設定が可能になる。
つまり、無怖公の人脈と記憶をたどれば、テンプル騎士団の、モレーの仲間のその後が知れるわけだ。
幸せそうに、仲間のその後を調べるモレーを見つめながら、
人は垣根
人は城
情けは味方
仇は敵
と言う武田信玄の言葉を思い出した。
ああ、モレーのモデルは信玄かぁ。100年戦争の戦国武将シリーズ、つづくのかな。
まあ、モレーの資料なんて殆ど無いみたいだし、武田信玄をモデルに考えるのも、まあ、悪くないかもしれない。
戦国武将と言えば、無怖公は、織田信長のイメージで頭の中を走っている。
これは悪くない。
まあ、信長のような激しい性格では無怖公は無いと思うけれど、彼は、ヨーロッパ全土に商業路を作り上げよう、なんて考えていた可能性はある。
楽市楽座なんてつくり、商業を発展させようとした信長に通じるところもあるかもしれない。
無怖公が生まれたのは、フランスのディジョン。マスタードの有名な産地で、色んなバリエーションのマスタードが手に入るらしい。
勿論、ディジョンは歴史も古く、ローマ時代からのワイン(商業路というべきか?)街道が、ディジョンからリヨンにかけて延びているんだそうだ。
リヨンまでつづくと言うことは、そこからロワール川を下れば、地中海に出ることが出来る。
また、ブルゴーニュは、ジャンヌダルクの故郷ドンレミ村を通りフランドルへと続くマース川が流れ現在のオランダでライン川へと運河を繋いでゆく。この川の道をもって、あの大きなヨーロッパ大陸を縦断出来るのだ。
無怖公とブルゴーニュの人たちが、執拗にフランドルやネーデルランド近辺を欲しがるのは当然の事だろう。
また、フランドルからは、複数の運河がながれ、ライン川へと…遠く黒海、東洋へと続く商業路に連結する。
この川の事実だけでも、十分に話が作れて、蘭子に物語を返すなら、これくらいの事実の方が話が進むのだが、まあ、仕方ない。
モレーに付き合うか。
しっかし、ボンヤリと私についてきていたギョーム・ド・ノガレは姿が見えなくなった。
無怖公の強いキャラに吹き飛ばされてしまった。
はぁ…。
なんだろう?この「ノストラダムス」関係の話は、不思議と話が混乱する。
私には設定通りに書ける話と、ストーリーに振り回される話がある。
もう、一年。終わりたいけど終わらんし、
やめてしまうには、長く書きすぎた。
まあ、読者もいるみたいだし、ブックマークがゼロになるまでは、続きを探してみる。
と、言うわけで、読み辛いとは思いますが、こんなスタイルで続きます。
面倒くさいし、読んでいる人にも申し訳ないんだけれど、しかし…
話は面白いんだよなぁ…。
100年戦争なんて、何度聞いてもチンプンカンプンだったし、ジャンヌダルクの話も、聖女と宗教の話だと思っていたけれど…
まさか、ここに来て
テンプル騎士団やら、最後の十字軍やら、ドラゴン騎士団まで登場するなんて思わなかった。
やはり、自分で作るとなると、自分の好みに添うのだろうか?
まさかの戦国武将とコラボが出来るとは思わなかったし。
でも、本編からは随分と違う方向に流れているようで心配にもなる。
私は、「プロバンスの赤いしずく」と言う少女小説のあらすじの為に資料を漁っているわけで。
戦国武将と騎士団の殺伐とした話なんて、書きたいわけでは無いんだけれど。
が、まあ、少女小説が思い付かないから仕方ない。
無怖公と共に、ヨーロッパ最大の商業路を手にする帝国を夢にみるか。