作者、ジャンヌダルクを語る4
さて、ジャンヌダルクを語ろう。
魔女ジャンヌについて。
ジャンヌダルクは聖女として映画や小説に描かれる。
が、彼女は異端として火刑にかけられた。
彼女は生きている時には、人心を惑わす魔女として敵方には認識されていたのだ。
裁判は、ジャンヌダルクが不利になるような細工をされたと言うけれど、イングランド人がジャンヌダルクを聖女では無いと固く信じていたのは確かだと思う。
それでなければ、火炙りなんて、恐ろしくて執行できないからだ。
では、イングランド人が迷わずジャンヌダルクの奇跡を否定できたのはナゼか?
それは、ノルマンディが迷うことなく彼らの土地だからだ。
ネットで少し調べただけでも、わらっと出てくる。
ノルマンディとは、フランク語で北の人と言う意味で、かつて、フランスに上陸し、暴れまわったバイキングにフランス王が土地を分け、暴れるのを止めさせたのだそうだ。
その土地がノルマンディで、彼らは定住し、農業をしながらキリスト教に改宗し、壊した教会を建て直して行ったのだそうだ。
で、後にノルマンディから1066年ヘイスティングの戦いで、イングランドを征服、ウィリアムス1世になったんだそうだ。もう、この時にはロンドンは首都になったらしいから、なんか驚きだ。
だから、イングランド人からしたら、ノルマンディは自分達のルーツであり、人間同士の戦いで、故郷を取り上げられたとしても、神様、特に大天使ミカエルが、田舎娘に彼らの帰還を阻止させるなんて信じられなかったのだと思う。
ノルマンディ地方にある有名なモン・サン・ミッシェルは、カロリング期に作られていて、多分、彼らの先祖も海をわたり、石を積み造り上げた教会だとおもう。
ミッシェルとは、大天使ミカエルの事だ。
キリスト教に改宗し、教会を建て直し、祈りを捧げ続けた彼らからしたら、ジャンヌダルクの
大天使ミカエルのお告げで、イングランド人を追い払う。
と、いう大義名分を素直に飲み込む事なんて出来るはずもない。
そして、テンプル騎士団の話でも書いたけれど、14世紀、フランス王フィリップ四世は、戦費を稼ぐためにユダヤ人の財産を取り上げ、フランスから追放している。
追放されたユダヤ人の中には、イングランドに逃げたものも居ただろう。
彼らにしてもまた、こんな一方的な言い分を信じる事は出来なかったはずだ。
言いがかりをつけて、財産を奪い、故郷を捨てさせたフランス王の血筋は消えたのだ。
テンプル騎士団の呪いなんて、面白おかしく噂する者もいるくらいだ。
例え、世界中の全ての人間が、あの惨劇を忘れ去ろうとも、モン・サン・ミッシェルの大天使ミカエルが忘れるわけは無いのだ。
彼らの立場でジャンヌダルクを見つめると、この、無知な少女が憎らしく感じてくる。
彼からしたら、ジャンヌダルクこそ、人心を惑わせる魔女であり、焼き滅ぼさなければいけない人物に見えたに違いない。
実際、ジャンヌダルクのような存在は危険なのだ。
世界をよく知りもしないで、神と交信するような人物は。
ヒトラーとナチスのオカルト話もそうなら、
ロシア皇帝とラスプーチンもそうだ。
そんな目線で見ていると、シャルル7世がジャンヌダルクを不用意に助けられなかったのもわかる気がする。
まあ、多分、そうしたのは、頭のいい家臣の誰かのような気がするけれど。