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茶色いノート  作者: ふりまじん
おまたせしました ゲオルグさん
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ホラーファンタジー4

「そろそろ考えなきゃ…。そして、決めなきゃ。」

作者は少し早口で私に言葉をぶつける。

「ですよね…。三月になる前に投稿したいところですからね。」

私はそう言って伸びをする。

冬の午後の日差しの中に、春の甘い香りを感じた気がします。


「ふっ…。他人事のように(-"-;)

そうよ。去年はもう…コロナで滅茶苦茶だったわ(;_;)

今年こそ、別サイトで投稿するの。そして、小銭を稼ぐのよ…。

春が来るもの。

剛が…ケツメイシの『さくら』をBGMに帰ってくるわ。


田舎の駅に桜が舞って…

私は、その爛漫の花吹雪の中で、電車を待つのよ。」


一体、どこの話でしょうか?

最寄り駅に桜の木なんて生えていません。

突っ込みに迷う私に構わずに作者の妄想トークは続きます。


「改札に立って待つと、電車が来て…ドアが開くわ。 電車を待っていた人が、わらわらと改札をくぐり、それが途切れ、電車が出発すると、人の消えた改札に大きなトランクの取っ手を左手に握りしめて、剛が少し窮屈そうに横になりながら通ってくるの。 」


モデルは寅さんですね、わかります。


「私は、剛に笑いかけて…スマホを見せるんだわ。

そして、少し照れながらこう言うの。

『少しだけど…アンタの話、金になったよ。』って」


きゃー( ´艸`)

………(-_-;)


「よ、よかったじゃないですか、短編の構成決まりましたね。」

私は、盛り上がる作者を痛く感じながら苦笑する。

金になったよ…って、本当に下品な感じですが、くったくなく笑う彼女を見ていると、楽しんでいたフリマの作者を思い出して切なくなります。


この物語が…実質の最後のフリマ活動になるのかもしれないと考えると、何とか二万円、稼げないものかと頭を悩ませたくなるのです。


「え?どう言うこと?」

「だから、剛さんのエピソードを使うなら、スミレの作ったジローの話になりますよね?」

私の説明に作者は驚いた顔をする。

「いや…別にいいんじゃないかな?

確かに、こっちのゲオルグはルターをモデルにしてるけど、

私、マルチン・ルターなんて知らないもん。

顔もなんか、剛に似てなくもないし、ゲオルグの細かいところは剛で補填するから、アイツの話でもあるわけで。」

「それ、その何でもかんでも剛さんを入れ込むの、止めませんか?

一応、現在でも影響があるキリスト教の偉人なのですから、抗議がきても知りませんよ。」

私は、すぐに剛さんをモデルに間抜けなキャラ設定をし始める作者を不安に思う。

「でも、ゲオルグ、ルターじゃないし、

仮に、ルターだとしても、『ラノベ作家と予言の書』に接続するなら、異世界憑依になると思うから、別にいいんじゃないかな。」

作者は少し混乱しながらそう言った。


まあ…確かに、このサイトで活動を始めた動機は、剛さんの旅費を稼ぐ為でした。

作者が上手くまとめられないので、四年も色々な話を書くはめになっては居ますが、原点に帰れば、モデルは剛さんで間違いはありません。


「確かに、そう言われてしまうと、返す言葉もありませんが…

それでも、一度、こちらのゲオルグは、剛さん無しで考えませんか?」

私は、懇願するように作者を見た。


作者は私の顔をじっと見て、それから、何を思ったのか豪快に笑いだした。


「ふふっ。そうね…。貴方、脇役たちの管理人。ストーリーテラーだものね。

ええ。分かったわ。


貴方の意見、尊重するわ。」

作者はとても嬉しそうに笑い、くるりと回ってスカートの裾を遊ばせると、内緒話でもするように、

「ありがとう。」

と、私に言った。


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