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茶色いノート  作者: ふりまじん
100年戦争
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奈美、男心を語る。4

そうだった…。西洋の戦い方は、ダイナミックだった…


古代ギリシアやローマの長い槍を持った兵士の事を思い出して作者はため息をついた。


そう、昔のハリウッド映画にあるように、西洋の槍兵は、個別でなく団体で行動する。アジアン・大河の話をしていてつい、映画「少林寺」の見事な槍の闘いを思い浮かべてしまったが、所変われば…なのだ。


西洋では並んで長い槍を敵に向ける。

で、一糸乱れず前進するのだ。

だから、兵士も出来るだけ体格差が無い方が良いはずで、女性が混ざるなんて考えられないのだろう。

で、その兵士のつき出す槍で作られる槍襖を突破するために考えられたのが、ツバイハンダーだ。RPGに出てくるような、長いものだと2m近い刃渡りの剣で、ドイツやスイスの傭兵はツバイハンダーをふるい、その槍をなぎ倒すのだ(~_~;)。

この、馬鹿馬鹿しいほど現実場馴れした戦い方は、本当にあったらしく、マスケット銃が主流になる前のジャンの時代には、存在している可能性は高い。(イングランドのヘンリー王は、新し物好きでマスケット銃とか使ったりしたとか、見た気がしたけど…)


女性が騎士と闘う場合、とんでもないハンデをもらえる(穴に騎士が埋められたり)西洋では、美少女槍使いなんてのは、想像しづらい存在なのだろう。


「女性に槍なんて持たせませんよ。」

ジャンは、いとおしそうに奈美を見つめた。この少女のような小さな体で、この人はどんな苦労をしたのだろう?あの狂暴なイングランド兵に追いかけ回されたりしたのだろうか?

長い戦争で、男は減るばかりだし、外国からの傭兵は素行が悪く、すぐに略奪や悪さをしようとする。

そう、「100年戦争のフランス軍」デビッド・ニコル著、(株)新紀元社の本を読んだ作者、思った以上の世界観に混乱していた。


確かに、傭兵はいるたぁー思ったよ。が、終盤も近くなると、フランスの混乱は私の予想を上回っていた…。


まあ、はじめは貴族を招集して軍を組織していたけれど、後半には外国からの傭兵も沢山入ってくる。


ドイツやスイスの傭兵が主かと思ったけど、ジェノバのクロスボー兵や、ラグーザ兵と言われたイタリア系の軽歩兵なんかも参加していたんだそうだ( ; ゜Д゜)


コンドッティエーレと言うヘタレ傭兵の話を書こうと考えていた私は、気弱なイタリア人のイメージが、クロスボーを片手にゴルゴ化してゆくのを静かに見守るしかない。


ああっ。まったく。


また、調べないといけないのかっ!


と、ため息をひとつ。作者がついたのとは違う、少し胸が締め付けられるため息を奈美は漏らした。

「ジャン。あなたって、わりと古風で優しいのね。でも、旗を持つより現実的よね?」

奈美は、ジャンヌダルクを思い出す。諸説はあるが、彼女は剣の代わりに旗をもって先頭に立った。

「そうですね。戦場の本当の勇者は、旗持ちと笛吹きですからね。」

ジャンは、切なそうに目を細める。


さて、ジャンヌダルクが旗を持って軍隊を率いたのは有名だが、「100年戦争のフランス軍」他で知り得た情報を重ねてみる。


当時は、古典的な槍や剣の戦いから、銃などの投機に兵器が代わり始める時代だ。


戦場で一際(ひときわ)目立つ白亜の騎士を狙うのは、イングランドとフランスに分かれたジェノバのクロスボー兵


記憶が正しければ、イングランド王が採用したマスケット銃と、大弓部隊。


ツバイハンダーを振り回し、先人きって襲ってくるドイツやスイスの大男。


この環境で旗を持っていたと考えると、ジャンヌダルクはなんか、凄い気がする。神がからなければ、恐ろしくて立ってなんていられないだろう。


で、第一次大戦でもいたらしいから、この時代にもきっといただろう、笛吹男。

彼らも戦闘はしない。

上官の命令を素早く伝えるために殺し屋が蠢く戦場でひたすら笛を吹く男達だ。


もう、美少女とか、胸の話をするような雰囲気では無いわね〓


奈美は、重苦しくなる場の雰囲気に苦笑した。

で、胸がどうこうなんて話をしていた勝矢が小さく思えた。が、勝矢はアジアン・大河の感想なんだから、槍の使い方も違うし、作者は勝矢が少し可愛そうに感じる。

まあ、こんな風に、動かしてみると見える世界があるから、習作は必要なのだ。

が、殺人鬼の未来を持つジャンが、段々いい人に見えてきて、ちょっと迷走しそうな嫌な予感も抱えてしまう。


「私たちが戦いますから、あなたは槍なんて持つ必要は無いのですよ。」

ジャンは、自分に言い聞かせるように強く言った。

イングランドとの長い戦いの出口はそう遠くない未来にある。それもあるから、シャルル7世は、積極的にジャンヌダルクを助けなかったなんて説も見かけたし。

「戦争はもうすぐ終わります。フランスの勝利で。」ジャンは、真面目な顔で奈美をみた。

もう、いい加減、外国人が増え続ける殺戮の地としてのフランスは見飽きたのだ。


この当時、傭兵は傭兵団(コンパニー)と言う組織を作り、野武士が軍事コンパニーを作り、契約をとって戦った。

契約期間は約2ヶ月が相場らしい。


建築現場だって、もう少し長い契約をするところを2ヶ月とは。

なんだか、短期の派遣社員のような軍隊だ。2ヶ月の期間社員に命を張った責任なんてとれるわけもないと思う。


で、外国人部隊には、ナバールのムスリムまでいたんだそうだ。


ジャンが奈美に驚かないのもなんだか頷ける。


ああ。そうして、荒くれの若い男が動くなら、夜の華、風俗の女性もそれに伴って動いてゆくのだ。

この話、結構面倒くさい。

作者がモヤモヤするなか、ジャンは、固い決意を誓っていた。


ジャンヌダルクを助けよう。そして、フランスと平和を取り戻すんだ。と。


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