表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茶色いノート  作者: ふりまじん
おまたせしました ゲオルグさん
6/498

ホラーファンタジー3

冬の静かな午後。

私達は美術館の中庭の芝生を眺めながら少し歩く。

作者は、爽やかな青空に気持ちが落ち着いたのか、少しだけ穏やかな顔をしていた。


「じゃあ、少し話をするね。」

作者は顔を上げて私をみる。

私はその生き急ぐような表情を笑顔で受ける。

「どうぞ。」

言葉少なくそう言って、作者の書きたい物語に集中した。


「私、この3年間、この話も忘れたわけではないわ。

で、この辺りの話を作るに当たって『祓魔師』の短編を書いたんだけど、これ、私、結構、気に入っていて、少し話を考えていたんだ。

だから、それをゲオルグでもやれると思うのよ。」

作者は話ながら少し迷うように、途中、途中で言葉をつまらせた。

「そうですね。本当に…様々な事を考えますよね。」

私は、この3年の七転八倒を思い出す。

『祓魔師』は、はじめの頃の作品で、分けのわからない所もあるのですが、作者は気に入っていました。

中世を知るための習作でもあった『祓魔師』は、魔女狩りと異常殺人がテーマでした。


「うん。ルターについても軽くは調べたよ…でも、変な事を書くと面倒になりそうだし、

私は、後のドイツ語、ドイツ文学へと続くルターの作ったドイツ語の聖書の話に興味があったから、

あんまり、宗教のイメージを持たせたくなかったんだよ。


ドイツ語の話になれば、北欧神話やルーン文字の話とかになると思うけど、

キリスト教の坊さんだと、その辺りに色々固い話になりそうなんだもの。


ルター自身は、わりと気楽な人みたいなんだけど、

信者の人からしたら、現在でも尊敬する偉い人だと思うから、バカな事はさせられないでしょ?


と、言うか、この場合は、プロテスタントの模範になるようなイメージで書かないといけない気がするのよ(-"-;)

面倒くさい…。


だから、カソリックの偉い人に破門されて、宗教やら教義に疑問を感じながら生きていても文句の出ない1521年からの話にしようとしたんだわ。」

作者は思い出すように言う。

「そうでしたね…。確か、ゲオルグも、謎の人として、あえて身分を語らないことで、更に批判をかわそうとか考えていましたよね?」

「うん。この時代、食いつめて、さ迷う人間は沢山いたろうし、実入りがよければゲオルグ…ルターを名乗る偽物も沢山いたと思うのよ。

だから、読者に責められた時には、偽物として成敗されてもらおうか、とか、考えていたんだ。」

作者は、そう言って苦笑する。

「私は、あまり、そう言った作戦は好きではありませんが……、まあ、心配しなくても、そんな面倒なコメントは来ないと思いますから、好きに考えれば良いと思いますよ。」

私は、この3年、ドイツの地図を見ながらブツブツ言っていた作者を思い返す。

古本屋で、ヨーロッパの旅行ガイドを買ってきて、ライン川をなぞっていました。


「そうね…、始めた頃は、もっと、感想やら批判が来るんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、いい感じに底辺作家だもんね。

なんか、web小説サイトだと、なろうが一番アクセスがあるんだって。


つまり…他のサイトだったら、もっとアクセスがないらしい(T-T)


250円…貰えるんかな(T-T)

私、ホラーが一番評価貰えてる気がするんだよね…

これで、250円行かなかったら、『ラジオ大賞』なんて、どうなるんだろう(-"-;)」

作者は、ふと現実に引き戻されたように暗い顔をした。

「文字数からいって、もう少しはアクセスが稼げるはずですよ。

確かに、ユニークは少ないですが、最後まで読んでくださる読者が多いのですから。」

私は、困りながら慰める。

この3年、他のサイトへ行ったことはありませんから、どうなるのか検討もつきません。


ただ、『ラジオ大賞』がweb小説を書く主婦の話なので、悪い結果になったとしても、小説の設定に生かせるとかなんとか…

慰める言葉も見つかりやすいですし、

完結すれば、ご祝儀のポイントが貰えるかもしれません。

そんなこんなで、何とかモチベーションを持ち直そうと、今のうちからシュミレーションをしながら、そう言った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ