サイエンスはファンタシー2
晴れやかな午後の空を見つめながら、私は幸せなティータイムの準備を始めました。
本日は暑いので、スムージーを作ることにしました。
季節の果物を凍らせて牛乳とミキサーにかけるのです。
冷たくて甘いスムージーは、少し氷を多めに。その方が猛暑の時はアイスクリームよりも美味しく感じるはずです。
本当はランチもお作りしたかったのですが、それは贅沢な事でしょう。
なにしろ、数多くの未完を抱えていらっしゃるのですから。
スムージーと紅茶のゼリーで我慢しましょう。
何にしても、今日は張り合いのある一日です。
猛暑ではありますが、私の魔法が使える空間です。
小川を引いたひまわりの庭で、水の精と風の精のにワルツを踊ってもらうことに。
沢から流れる冷たい水を含んだ夏の元気な風が踊る庭は、夏の清々しい空気に溢れる事でしょう。
庭の壁に凛々しいカサブランカを並べましょう。
精霊が踊るたびに揺れて、夏の甘い香りが空間を色どうに違いありません。
ゼリーを冷蔵庫に入れて、あとは作者を待つばかりです。
「こんにちは。」
珍しい事に作者はワンピースと麦わら帽子のかわいらしい姿でやってきました。
「いらっしゃい。今日は、とてもかわいらしいのですね。」
私の言葉に作者は不貞腐れます。
「かわいくなんてないわよ。もう。でも、いいわよね?もう、リアルな世界ではこのデザインのワンピース、着れないんだもん。なんだか懐かしくて。」
作者は少し照れていました。
「いえ、かわいいですよ。」
私は作者の返事をかわすように歩き出しました。誰がなんと言おうと、私には可愛い女(人)なのです。
「………プリン買ってきたよ。いつも、もらってばかりだから、駅前の喫茶店のあんたの好きな牛乳プリン。」
「ありがとうございます。」
「ついでに、夏のブレンドも買ってきたわ。あとで淹れてくれる?」
作者はバスケットを見せながら言いました。
「はい。それでは、帽子を脱いで髪を整えてからお茶にいたしましょう。」
「髪っ(°_°)」
「帽子で少し乱れていますから。それに腰のリボンも。少し直した方がよろしいかと。」
私の言葉に作者は驚いて自分を見渡しました。
「あ、まあ、いいよ。そこまで面倒見させても、さ。」
作者は麦わら帽を脱いで苦笑します。私は彼女のバスケットをとり、そして、無造作に束ねられた髪に触れました。
「いけません。折角、懐かしいワンピースを着たのですから…これで、このワンピースとはお別れするのでしょ?」
私の言葉に、作者は少し悲しそうに私を見つめました。しわや白髪が増えたとしても、私には乙女だった頃と同じまま、夏の空の下、眩しく見えるのです。
「まあ、そういうなら。」
作者は少し困ったような苦笑を浮かべて了承しました。