ゴンドラの歌
静かな午後です。
作者の打つキーボードの音だけが部屋に響いていました。
私は、作業が終わるの待ちながらゼリーを作りはじました。
今日はさくらんぼの入ったライチのゼリーです。そして、梅酒の準備もはじめましょうか。
梅の実を水に浸して型にゼリーを流し込みます。今日はダージリンにしましょうか。
「時影、お腹すいた。」
不意に声をかけられて驚きました。作者です。
「はい、昨日、作り置きしたクッキーでよければ今、お持ちします。」
私は笑いかけました。最近は、作者の訪問の少なくなってきたのでお菓子も、惣菜もストックだけはたくさんあるのです。
「嬉しい。私、時影のチョコクッキー大好き。」
作者が嬉しそうに若います。
「ありがとうございます。」
私は少し照れながら言いました。作者はクッキーをパクりと口に入れて、それからため息をつく。
「また、小説、終わらないよ( ;∀;)」
作者は深々と溜息をつく。
「そうですね。あと、最後2000字の小説を、あそこまで改変するなんて。」
苦笑してしまいます。作者の言う話は江戸川乱歩の『悪霊』をモチーフにした物語の事だと思います。
「そうよね。私だって、こんなになるなんて、思わなかったんだもん(T-T)」
作者はアイスティーを飲みながらぼやいた。
「まあ、長くなったのは仕方ありません。それで、今日の困り事はなんでしょう?」
私の質問に作者は少し安心したように笑う。
「うん、向井って登場人物が暴走していてね。と、いうか、小説を書いていると登場人物が勝手に動くというじゃない?」
作者は同意を求めてきました。
「そのようですね。」
私は軽く同意する。しかし、作者の登場人物は作中ではなく彼女の悪夢で主に活躍するのです。
「私は違うのよ。勝手には動かないんだけれど、書いていると、見つけなくてもいい何かを見つけるのよ。
なんていうのかな?私の考え方では思い浮かばないんだけれど、描き始めると向井のパートは向井の思考で考えるから、思いもしない資料を組み合わせたりするんだよ。で、今は終われなくて戦ってる。」
作者はアイスティーをゴクゴク飲みだした。
「物語の人物に感情移入するのですね。」
アイスティーのお代わりを入れる。今日は暑いので喉が乾くのでしょう。
「うん。それで、矢絣の女の謎を作者目線せ探し始めていて、乱歩の参考資料を考察し出してるんだよ。」
作者は深くため息をつく。それから、ソファーにもたれて目を閉じる。
「お願い、少しだけ眠らせてくれる?眠るまでの少しの間、あなたのピアノが聴きたいわ。」
そう言って作者は『ゴンドラの歌』をリクエストした。
すいません。間違えて保存ではなく投稿してしまいました。
なんだか、頭がこんがらかって。
でも、読んでくれてありがとう