春分
「かのゲームの騒動は政治家にまで飛び火してるわ。」
作者はため息をつく。
「確かに、近年、インバウンドにより外国からの観光客も増えてますから、問題なども出てきていますし、モデルにされた神社、地域の住民の不安や、説明を求める声もあるでしょうし。」
ゲームの約束事は、モデルにされた地域の住民には関係ありません。たかがゲーム、されどゲームです。
「うん…人間もそうだけど、運気が悪くなるとか…そう言うことってあるんかな?」
作者は渋い顔をする。
「どうしたのですか?」
私の質問に作者は苦笑でかえす。
「いや…なんかさ、もうすぐ、春分じゃない…日本じゃ彼岸になるんだけど…」
「はあ。」
「なんかさ、ご神体を壊した動画のモデルだと言われた神社って…大国主命が祭られてるらしいんだよね…」
作者は苦笑する。
「死後の世界を司る神様でしたね…」
私もため息が出てきた。
彼岸、この世とあの世が行き来できるその時期に、このゲームはリリースされるらしいのです。
「うん。こんな時にプレイヤーの自己責任でこんなゲーム、プレイして大丈夫なんかな(-"-;)」
作者は難しい顔になる。
象徴と思い込みと、ある程度の人心の熱量が集まると儀式と言うものは完成してしまいます。
専門家の難しい事はわかりませんし、そこからは外れているのかもしれませんが、それでも、『こっくりさん』やら占いなどの危ない遊びを経験してきた作者は心配に感じるのでしょう。
「確かに、あまり、良いとは思えませんね。」
私も作者の心配が理解できる気がしました。
「…ついでに、ね、そのゲーム、古墳を盗掘出来るらしいんだよ(T-T)」
作者はいたい顔になる。
「…確かに、それは絶句しますね。」
「一応、先進国の国家の象徴であり、現在、その一族と国家で管理しているお墓をご丁寧に地図つきで盗掘を促すとか…これ、個人でもアウトだよね?」
「確かに、まだ、リリースされていませんから、情報が正しいかどうかは判断しかねますが…個人のお墓でもやってはいけないとおもいます。」
「だよね…それに古墳…古墳って、なんか、よく分からないんだよ…何がどう作用しているか…
誤解してる人が多いけれど、神社は基本、払い事とかはしないんだよね。
物語でも、徐霊とかは霊能者とかお寺の供養でしょ?
そんな噂や本とか読んで育ったけどさ、古墳の話って、なんか、独特なんだよ…。基本、扱ってはいけないもので、お払いとか、そう言う流れにはならないんだよね(-"-;)」
作者は心配そうな顔になる。
「そうですね。」
「そうだよね(>_<。)いやさ、古墳って、わりと沢山あるんだよ。天皇陛下じゃなくてもさ、地方の豪族とかの…
でさ、古すぎて、丘みたくなってるわけよ。特別、なんの印もなく、ね。
でも、地元のジーさん、ばーさんは、なんか分かっていてさ、近づかないように怒るんだよ…
空襲とか徴兵とか、なんか、色々ハードな人生歩んでいたジーさんたちが、だよ?
それに、確かに、悪ガキが遊んでバチが当たったりしてたしさ。
まあ、酷いことにはならなかったけど、あれは、地元の子供だからで、いつもそんなに優しいとは限らないしね…
なんか…社会状況も目まぐるしく変わってきてるし、嫌な予感しかしないんだよね。」
作者は深くため息をつく。
「古墳については…まだ、分からない事も多いですから、確かに、心配ではありますね。」
「うん…しかし、よりによって、なんで春分なんかにリリースするんだろう?
春分って、キリスト教でも復活祭のカウントが始まるじゃん?
ここに来て、ローマ法王の体調がすぐれないとかニュースで見たよ…
なんか、嫌な予感しかしないよ。」
作者は私の腕にしがみつく。
「あまり、なんでも関連して考えない方が宜しいですよ?」
私は作者を抱き締める。
マラキの予言の最後の法王と話題になった2013年年から、確かに、年月が流れたのを感じました。
「うん…そうだね。今は、平和と法王様の回復を祈ろう…それにしても…私の話が…進まないわ(>_<。)」